そんなアイルーたちの主神になった女神は、今日も元気に赤ちゃんたちを抱っこしてあやしている。
ベルたちも時々、面倒見てあげてる。一番強いのはおはぎでもベルでも無く、お母さんことマザーアイルー。
「さあここがボクらの新しいホームだ」
『『『にゃおにゃおっ♪』』』
まだおむつも取れていないアイルーたちが勢いよく門の鉄格子をすり抜けて中へと入り、建物の中に入っていく。
ヘスティアの勝利にアポロンの全財産の没収に、眷属の無理矢理な
アポロンのホームを取り上げたヘスティア・ファミリアは、ホームを見に来るのだが………
「にゃーにゃーっ!」
「にゃえーんっ」
「えぐっ、えぐっ」
「マンマーーーっ!」
泣きながら出て来るアイルーたちに驚く。中にはおむつを大きくする子もいる。
ヘスティアはどう言うことだと憤慨しながら中を見て、ツインテールは怒髪冠を衝く。
「なんだこの悪趣味な石像はっ!!子供たちの精神衛生的に悪い、すぐに撤去だ撤去っ!!」
自分大好きなアポロンの趣味全開な石像などの置き物に、アイルーたちはヘスティアの命令にすぐに撤去にかかる。彼ら鍛冶師班はこの手の仕事が得意なのだ。数日もあれば全部撤去して、新しいホームとして暮らせるだろう。その間はテント暮らしだ。
お母さんアイルーたちが子供たちをあやし、ベルたちも石像の数に嫌な顔をする。
こうして出ばなはくじかれたが、ヘスティアたちは順調に大きくなっていく。
◇◆◇◆◇
リリを筆頭に物を運び、ヘスティア・ファミリアが念のため武装してある物をギルドに運んでいた。それはドロップアイテムと魔石だ。
いままでベルを通して売り払っていた魔石だが、数が数なだけに少しずつ消費する、ベルの探索の邪魔にならないように少しずつにしていた。
だがギルドが
謝らなかった連中に後悔させてやるため、本当に素直に話したヘスティア。アイルーたちは普段深層、51階層付近で活動している。ロキ・ファミリアでも5日掛かる道のりをどうやっているんだと聞かれたが、そこまで詳細に教える義務は無いとヘスティアははっきり言ってやった。まさかテレポート的なスキルを持つアイルーがいて、同族なら行き来可能にしていると知られる訳にはいかない。
アイルーたちが管理する資金が、ファミリアの資金より大きいことにロイマンが顔を歪め、アイルーたちの登録を断った受付は青ざめる。
そしてそんなことをしていれば、深層のドロップアイテムや魔石が大量に保存されることになる。いまはそれを売り付けに来た。
「み、みんな見てるね………」
「まあそりゃそうだな」
ヴェルフにも深層のドロップアイテムや素材に触れる機会があるが、あまりもらうのもあれだから断っているが、上質な物を回してもらっている。元々アイルーたちが使用する物が上質すぎるのだ。
いくつかすぐに売れたが、全部買い取ることができないため持ち帰る物もあった。売って欲しい商会が出て来たが、それは猫であるアイルーを無視、または見下していたところなので全員が断った。売ったのはヘファイストスのところだけ。
ちなみに正式発表されたアイルーたちのLvなどが、ギルドを通して発表されて、ヘスティア・ファミリアは大派閥の仲間入りを果たした。なぜなら非戦闘員を外せば低くてLv3しかいないアイルーたち。これにはロキも顎が外れるほどあんぐりだ。
次の神の会議が楽しみだ。ヘスティアはLv3になったベルの為に良い名前を考え、アイルーたちの名前も考えだす。ごり押しでその名前を通す気マンマンである。
こうして3日でホームを建築するアイルーたちのおかげで風呂場、鍜治場、畑に研究所などが出来上がり、アイルーたちも神々に狙われるが、全員がうまく逃げている。彼らはヘスティア以外に仕える気は無いのだ。
◇◆◇◆◇
リリは悩んでいた。まさかのアイルーたちは非戦闘員以外Lv3であり、Lv1は自分だけ。ヴェルフや命は各々強力なスキルを持ち、Lv2である。
ヘスティア・ファミリア、戦闘を行うサポーターで一番足手まといでは無いか。そう考えるリリは今後の自分に悩んでいた。
(いずれアイルー様たちと共に潜るでしょう。その時、リリはベル様と一緒にいられるかどうか)
そう考え悩んでいる時、服の裾を引っ張られる。
「リィリィえほん~」
幼いアイルーたちが絵本らしき本を前に出す。リリに読んで欲しいのかにゃおにゃお言いながら取り囲まれた。
「はいはいいいですよ、ちょっとそこに座りますか」
椅子に座り、アイルーたちは嬉しそうに周りにいる。もうサポーターとして付いて行けなかったら、この子たちの相手でもしようかと考えながら、本を開く。
「………」
するとリリは無言で動かなくなり、本がペラペラとリリの意思とは関係なくめくられていく。幼いアイルーたちはにゃににゃにっ!?と戸惑い、半泣きで動き回り、ママーッ!と言いながらヘスティアの下に出向く。
その様子をにゃんと満足そうにしている白衣を着たアイルースイーツ。神秘持ちのLv3であり、アイテム作りのスペシャル。
もちろん、神秘と魔導を使い、魔法を強制発現させる本を作り出し、たまに誰彼構わずに読ませるアイルー。たまに別のファミリアの冒険者も巻きこまれるほど、自分で作るグリモアを見せたがる。
こうしてリリが魔の手に落ち、強力な魔法を発現する。リリの悩みは解決したが、なんとも言えない結果になった。
◇◆◇◆◇
こうしてヘスティア・ファミリアはロキ、フレイヤに並ぶファミリアとして名が売れた。これに伴い、エンブレムを大きく掲げた。猫のにくきゅうマークが付いた鈴に炎と言う紋章。アイルーとベル、ヘスティアをモチーフにした物を掲げるヘスティア。
「新団員の諸君、良く来てくれた」
『『『にゃおにゃおーっ!!』』』
アイルーたちがまたたくさん来た。それにリリとヴェルフ、命は白目を剥きそうになる。
他に団員らしい人はカサンドラとダフネだ。カサンドラはヒーラーの上に、予知夢じみた能力があるらしいので助かるし、ダフネは団員の扱いに長けている。
だが彼女たちも猫しかいない状況に驚いていた。
「他にも団員が来てもいいんですけど、やはり猫の下に就くのは嫌なのでしょうか?」
プライドだけは高いですねとリリは呆れ顔をして、ヘスティアは知るものかと微笑む。
「彼らの強さを信用できない子なんてこっちから願い下げさ、とりあえずこの子たちは面接を受けた後、ウチで採用するかどうか決めよう」
「不採用の子もいるんですか?」
「元気な子とかはアルテミスのところに行ってもらおうと思う。アルテミスのところだとメラルーたちと協力してもらうのさ」
そんな会話をして面接が始まる。強さを求める子や家族を養いたい子はヘスティア・ファミリア。それ以外はアルテミス・ファミリアを紹介するのであった。
◇◆◇◆◇
料理人やお母さんアイルーが料理を作り、知り合いのファミリアを呼んでのお祝い準備をする。呼んだのはヘファイストスとミアハ、タケミカヅチのところだ。
ミアハはナァーザの腕を戻せられるか考えていたらしいが、ナァーザに怒られ、マカロンから「派閥運営と引き換えにくれた腕は、生身の腕よりも大切になったのですよ?」と言われ、そうかとミアハは納得。だが生身の腕を取り戻したい際は言うように言っておいた。そんな機会は一生来ないだろうが。
マカロンたちは治療系のファミリアから引き抜きが行われている。治療して欲しいと言う依頼も舞い込んでいる。正直、値段設定をどうするか悩んでいたので、リリに丸投げした。リリが適正価格をミアハと相談して、治療を開始する予定だ。
引き抜きに関してはアイルーたちはヘスティアに恩義があり、決して裏切らないと言う誓いがある。彼らは決してヘスティアの下を去る気は無い。
ヘファイストスも深層のドロップアイテムなどの買い取りをしてくれると言うありがたい言葉を聞き、ベルは団長として早く深層アタックに加われるように成長を誓う。
おはぎは風になびくエンブレムを見ながら、思い出していた。びしょ濡れで現れた女神を見つけ、温かいスープを渡して共に暖を取っていた頃を思い出す。
「………にゃ」
この先、なにがあろうと家族を守る。その誓いを叶える為に、とある異端の子供を守ると誓ったおはぎは、オラリオ最強になる日も近い。
おはぎがそう考えていると、ヘスティアに抱っこされて、席へと移動する。
子供たちが喜び、仲間たちが笑顔の席へと座るのであった。
これにて物語として一段落、区切りをつけます。後はオマケとか、思いついたのを1、2話載せますね。
ヘスティアは幼年期アイルーと一緒に寝てるよ。ベル君も一緒に寝てほしいと心の中で企んでるよ。
アイルーたちの技術は独特で、ヴェルフは弟子入りして学んでる。命はアイルーと一緒にお風呂によく入る。
リリは料理作ったり、下の子の面倒見たりしてます。そこに春姫も混ざりますね。
カサンドラはマザーやベル君に悪夢を話すよ。アイルーたちも信じてもらえない苦しみを知っているから、頭の隅には覚えてくれるから、カサンドラはアイルーたちの事を信頼してる。ダフネは事実を受け入れて、アイルーたちの指示を聞いたり出したりしてる。
アイルーたちのダンジョン内の救助活動は表向きになったよ。本当は魔法の練習台にしていただけだけど、良い事だからやめないんだ。アミッドが虎視眈々と治療院に向かい入れようと考えてるよ。
それではいまはここまで、お読みいただきありがとうございます。