No.1銃手ですがオペレーターとしてA級を目指そうと思います   作:宮川アスカ

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ワートリ2期始まりましたね〜
作画良すぎて震えました。
って事で、どもども宮川アスカです。これまた書くのが難そうな設定が思いついてしまいましたよ。
まぁ、良ければ読んでみてください。


第1話 注意勧告

『玉狛第二』という部隊がある。いや、まだ全員が全員B級隊員では無い為、部隊と言うのには語弊があるかもしれないが、そこは割愛させてもらおう。

 おそらく、部隊で唯一未だC級隊員の白髪の少年は、すぐにでもB級に上がるであろうから。

 

 まぁ、そんな事は良いとして、その玉狛第二のリーダーである三雲修は悩んでいた。

 

 部隊構成についてだ。

 

 玉狛第二は、アタッカー、シューター、スナイパーがそれぞれ1人ずつに、オペレーターを加えた計4人の部隊構成だ。

 この構成は、1番オーソドックス且つ安定性のある構成。それ自体は三雲も分かっているし、特に不満も覚えていない。

 では彼は何について悩んでいるのか。

 

 その答えは、オペレーターにあった。

 

 別に、オペレーターが実力不足だとは、少しも思ってなどいない。むしろ、玉狛第二のオペレーターである宇佐美栞は、過去に現A級3位である風間隊のオペレーターを勤めていた事があるほどの逸材だ。

 それに現在では、玉狛第二だけでは無く、その先輩達にあたる玉狛第一のオペレーターも勤めている。

 

 そう。そこが問題なのである。彼女は2つの部隊を掛け持ちしている。

 玉狛第一はランク戦に参加するわけでは無い為、ルール上の問題があるわけでは無いのだが、それはあくまでルール上ではの話しだという事に、三雲は気づいたのだ。

 

 いや、今回の大規模侵攻で気づかされたと言う方が正しいだろうか。

 

 界境防衛組織、通称ボーダーの本来の仕事は、ランク戦ではなく、市民の安全を守る事だ。

 故に普段は、防衛任務が行なわれているのだが、部隊を組んでいる者達は部隊での任務が基本となる。そうなると、宇佐美への負担が大きすぎるのだ。

 玉狛第一が参加しないランク戦や、普段の防衛任務なら、玉狛第一と玉狛第二のシフトが被らないよう上層部が組めば問題は無いだろう。

 しかし今回の様な大規模侵攻では、そうも言っていられない。B級以上の全部隊、全隊員が、市民を守る為にネイバーと戦わなくてはならないのだ。

 そうなれば、宇佐美は一気に6人の情報を処理しながら指示を出さなくてはならない。それに、多くの市民の命がかかった戦場で、ミスなど許されるはずが無い。

 幾ら腕のたつオペレーターと言えど、それを正確に行うというのは、そう容易ではない。

 

 故に、三雲には決断が必要だった。

 

 次、いつこの様な事態が起こり得るか分からないし、いつ起きてもおかしくは無い。それに、もう少しで今期のB級ランク戦が始まる。

 玉狛第二は、このランク戦に照準を合わせている。

 連携等の事を考えても、新しいオペレーターをチームに引き入れるのであれば、早いに越したことはない。

 

「誰かいませんかね?」

 

 新しいオペレーターといっても、三雲はボーダー内での他の隊員との深い繋がりはあまり無い。

 そこで、彼の玉狛支部の先輩である、自称実力派エリート、迅悠一に聞いたところ──

 

「うーん。まぁ、いるにはいるけど……」

 

 ぼんち揚げを食べながら、どこか歯切れの悪い返事が帰ってくる。

 ポケットからスマホを取り出し、文字を打ち始めたかと思うと、三雲の方を見る。

 

「メガネくん、この後予定空いてる?」

 

「はい。空いてますけど……」

 

「よし! じゃあ、とりあえず会いに行こうか! アポは取ったから」

 

「……え?」

 

 土曜日の昼下がり。いきなりの事に状況が飲み込めていない三雲と、鼻歌交じりの迅。2人は、林道支部長の運転のもと、ボーダー本部へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────

 

 

 

 ボーダー本部にて、俺は城戸司令に呼び出されていた。

 城戸正宗。歳は確か40位だった気がする。左目に大きな傷があって、一昔前のヤクザみたいな感じ。まぁ、とりあえずボーダーで1番偉い人だと思ってもらえばおっけーだ。

 

「城戸司令。話というのは」

 

「国近、注意勧告だ」

 

 あっ、やっべぇ。何となく話の内容分かったわ。

 

「君がA級からB級に落ちた時を合わせ、これで2度目だ」

 

 俺はボーダーに結構長い事いる。迅さんや小南、今目の前にいる城戸さんの様な最古参ではないが、今ではそこそこ古参の1人だ。

 こんなちゃらんぽらんな俺でも、元はとあるA級部隊の一員だったのだが、そのA級部隊は解散。

 皆がそれぞれの道を行く中、俺はソロで活動してたんだが、俺はどうにもゲーム好きで怠慢な性格なもんでね。防衛任務にそこまで入るわけでもなく、家で妹とゲームして本部で個人ランク戦をする日々。

 それに見かねた、上層部に俺は注意勧告と共にA級からB級に落とされたわけだ。

 

 まぁ、正直文句は言えん。A級は固定給だ。それも結構良い額の。

 それを、こんなたいして働かない様な奴に払うほど、社会は甘くない。

 B級に入ってからも、まぁ、同じ様な生活を続けていたわけなんだが、遂に2度目が来てしまったか……

 

「君の実力は我々上層部もかっている。その為ここまで甘く見てきたが、先日の大規模侵攻。我々はもっと力をつける必要がある事が分かった。そしてこの先に控えている遠征」

 

 城戸司令はそこまで言うと、こちらに目を向ける。

 

「君には再びA級に戻ってもらう。勿論、君も他の隊員と同じく例外ではな無いがな」

 

 ……なるほど。理解しましたよ。

 つまりは、俺にA級に戻れと言う命令ではあるけど、特別に上層部が戻してくれるわけではないと。

 戻るなら、他のB級と同じくメンバーに空きのあるA級部隊に入るか、新たに部隊を作る、または既存のB級部隊に入って、ランク戦でA級を目指せと。そういうことですか。

 

「分かりました。出来る限りの事はします」

 

「期待している」

 

 俺はそれだけ言い、小さく礼をした後部屋を出た。

 

 

「さてと、どうしたもんかね〜」

 

 まぁ、1番手っ取り早いのはA級部隊に入る事だな。有難いことにフリーの期間に結構スカウトは受けていた。

 特に熱心にスカウトしに来てたのは加古さんだけど、あそこ全員女なんだよねぇ。正直ないかな。チャーハン食べたくないし。

 太刀川隊とかは結構ありな気がする。太刀川さんがあんな性格だし、肩の力抜けそうだよね。

 それか、B級の部隊に入るのもありだな。ニノさんとカゲの所なら安定して上位取れそうだし、たまにはそういうヒリついた勝負も悪くない。

 1番現実味がないのは、新しい部隊を作ることだろうか。

 

 むむむむむ。迷うな……

 

「まぁ、なんにせよ上は遠征を視野に入れてるみたいだし。そうなると今期のランク戦までには答え出す必要がありそうかな」

 

 そんな時、ポケットに入れてあるスマホが振動した。

 なんだろうか? と思い、スマホを取り出してみると、新着メッセージとして迅悠一の文字が表示されていた。

 

「迅さん?」

 

 メッセージを開くと、そこには『今本部にいるか?』という文が。

 

 

『いますよ』

 

『今からお前に会ってもらいたい

 人が居るんだ。この後空いてる?』

 

『一応』

 

『じゃあ、今からそっち向かうわ』

 

 

 ? 俺に会わせたい人? 

 急に連絡が来たかと思えば、どういうことだろうか? 

 まぁ、いいか。どうせなら迅さんにも、こっちの話を聞いてもらおう。良い気晴らしになるかもしれん。

 

 スマホの電源を切り、再びポケットに戻す。

 迅さんが来るまで、暇でも潰そう。

 俺は少し軽くなった足取りで、ランク戦ブースへと向かった。




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