No.1銃手ですがオペレーターとしてA級を目指そうと思います 作:宮川アスカ
誕生日ストーリーは話が進み次第書くよ!
玉狛第一対玉狛第二の団体戦当日。
玉狛第二の転送前の作戦室。
「おさらいだが、作戦はこの前話した通りだ。勿論戦況によっては変わるが、軸としてはこれで行く。俺には見えない現場での指示や対戦中の判断は三雲くんに任せる」
「分かりました」
幾ら柚月が優れた指揮官だとしても、オペレーターに分かるのはレーダーでの情報のみだ。相手や自分達の細かい動き等は、戦っている本人達に一任するほかない。
「さて、もう少しで転送だが、3人共新しいトリガーの方は大丈夫そうか? 特に雨取ちゃんなんかは少し癖のあるトリガーをお願いしてるしね」
「大丈夫です。柚月さんに色々教えてもらいましたから。サポートの方はよろしくお願いします」
「オーケーオーケー。その辺は任せて」
「それにしても柚月先輩、面白い作戦思いつくね」
「まぁ、こんな戦い方普通のしないからなぁ。今回は相手が何倍も格上だ」
柚月の見立てでは、作戦が上手く決まる可能性は五分五分。上手く決まってもワンチャン勝てるかどうかといったところだ。
そんな話をしているうちに、転送開始の時間が近づく。
「1個でもミスれば終わりだが、そう気負う必要は無い。はなっから勝てる可能性なんざ低い相手だ。楽しくいこう!」
「「はい!」」
「おう!」
4人の意識が合わさったところで、玉狛第一、玉狛第二の6人が転送位置につく。
開けた市街地に鳴り響くブザー。
玉狛第一対玉狛第二。開戦である。
対戦が開始され、それぞれの隊員が動きだす。
バックワームを起動し、レーダーから消えたのは雨取のみ。
『まずは手筈通り、合流優先。雨取ちゃんは狙撃位置まで移動。3人共玉狛第一と会敵しない様に注意ね』
「「「了解」」」
序盤の展開としては柚月の読み通り、お互いに合流優先。
玉狛第一の戦闘スタイルとしては、小南が前衛を張り、木崎と烏丸の2人が後方の中距離から援護する形。
実力は玉狛第一の方が上。無理に自分達のスタイルを崩さず、堅実な戦いをするのが定石だ。
一方の玉狛第二も、三雲と空閑が合流との指示。
空閑以外が単独で戦えない以上、スナイパーである雨取は除き、三雲と空閑が合流するのも定石だ。
しかし、合流の中で会敵する事態は玉狛第二としては避けたい。合流が優先とはいえ、全員の個の力が強い玉狛第一としては、会敵した場合戦闘にあたった方が有効的だ。
特に今回の柚月の作戦では、三雲のトリオン量は重要になってくる。なるべく消費しない為にも、準備が揃うまでは無駄な戦闘は避けたい。
ではここで、両隊が合流をしている間に今回のルールを紹介しよう。
基本ルールはB級ランク戦と変わらず。実力的判断のもと、地形選択権は玉狛第二にある。
そして、柚月が選んだのは、市街地A。夜の天候は晴れ。
この市街地Aは、全マップの中で1番オーソドックスとよべる地形だ。
他の細かいルールとしては、木崎のトリガーは通常の8枠のトリガーを使用。そして、木崎専用トリガーであるフルアームズと、烏丸専用トリガーであるガイストの使用禁止。
小南の双月と、そのオプショントリガーであるコネクターは空閑の許可のもと、使用可能である。
空閑自身、小南との戦闘回数は多い。お互いの部隊のスタイル的にも、空閑と小南が戦うのは必然。
今まで経験してきたのが双月であった為、急な変更は逆に戦いにくいというのが、空閑の意見だ。
さて。それはさておき、先に合流したのは玉狛第二。転送位置が若干悪かった小南が未だ合流できておらず、2人がかりで小南を落としに行こうとするが、小南のメテオラによる中距離攻撃で上手く間合いを詰めきれず、その隙に玉狛第一も合流。
現在エースを先頭に、両部隊が鉢合わせ状態にある。
そして、戦闘が開始されると思われたその時──
『よし。雨取ちゃんお願い』
「はい」
柚月の指示が出た直後、ズドンと言う重い音と共に、両部隊の間を切り裂く様に雨取の砲撃が放たれる。
破壊音と共に、横にあった建物が崩れ落ちる。
全員の視界が奪われた中、1つの影が静かに動く。
「!」
「……止められたか」
爆発による砂煙の中、空閑が得意とする乱戦と機動力を活かし、小南に攻撃を仕掛けるが、小南も双月でその攻撃を受け止める。
『奇襲か』
『でしょうね。いかにも柚月先輩がやりそうな事だわ』
『今のを防げたのは大きいですね。千佳の場所がわれました』
『ああ。宇佐美、弾道の解析を頼む』
『りょうかーい』
突然の出来事の中でも、玉狛第一は冷静を保てている。秘匿通信を使い、4人で現状の状態について分析し、共有する。
玉狛第二としては、お互いが合流した以上、単純な火力の押し合いでは勝ち目はない。この中で1番奇襲に優れた空閑の長所を使った攻撃ではあったが、流石はA級トップ部隊。そう簡単には落とさせてくれない。
更に、烏丸が言った通り玉狛第二としはこの攻撃を防がれたのは痛い。
スナイパーの居場所がバレてしまった以上、形勢は一気に傾く。
(このまま、戦っても押し勝てそうだが千佳を残しておくのは厄介だな。人が撃てないとはいえ、爆発に巻き込まれ被弾する可能性もある)
玉狛第一の指揮官である木崎は、ここからの展開を瞬時に判断し、周りに指示を送る。
『京介は千佳を落としに行ってくれ。宇佐美はサポートを頼む』
『『了解』』
スナイパーは、撃ったら逃げるのが常識だ。1番機動力のある小南を向かわせるのが確実ではあるが、玉狛第一としては小南には確実に空閑をマークして貰いたい。
『雨取ちゃん。とりまるがそっち向かってる』
「了解です」
そして、烏丸が木崎達の元を離れきった時──
『今だ』
それを見計らっていたかの様に、柚月の声が3人の耳に届く。
『『『了解』』』
柚月の合図と共に、三雲と空閑。2人の姿が小南達の目の前から消える。
(! カメレオンか……!)
カメレオン。トリオン体を透明化し、視認できなくする隠密トリガー。
しかし、姿は消せるが音は消せず、バックワームとは違いレーダー等のトリオン反応を欺く事はできない。
『宇佐美、レーダーの位置情報頼む』
故に、オペレーターからは何処に居るのかが1発で分かるのだが……
『レイジさん! ダミービーコンが発動されてて、居場所が分からない!』
『! いつの間に!』
木崎と小南が目をやると、そこには無数の黒い球体がふよふよと浮遊していた。
ダミービーコン。敵のレーダーにダミーのトリオン反応を捉えさせ、位置を攪乱させる事のできるトリガー。
黒い浮遊した球体の装置を設置した後、オペレーターが起動することで球体の所在地に隊員を模したトリオン反応を出現させることができる。
見えない程の大きさでは無いが、夜の暗闇では、黒いダミービーコンを瞬時に見つける事は難しい。
カメレオンは使用中、他のトリガーを使う事はできない。つまり──
『使用者は千佳か』
『でもいつの間にこんな数のダミービーコンを。千佳はスナイパーでしょ?』
『……恐らく千佳は狙撃位置に着く前にどちらかと合流していたんだろう。その時にダミービーコンを渡している可能性が高い』
木崎の読み通り、雨取はバックワームを使用した後、狙撃位置に向かわず1度近くにいた三雲と合流しダミービーコンを渡した後に、狙撃位置に移動していた。
雨取自身は狙撃位置に移動しながらダミービーコンを撒き、その後の雨取の砲撃で起きた砂煙を利用し、三雲がダミービーコンを設置仕切れば、この状況の完成だ。
『さて、ここからは1つのミスが命取り。気張っていこうか』
ここからが、柚月の考えた打倒玉狛第一の策の本領発揮である。
正直言って、自分でオリジナルの作戦考えんの普通にムズい。
若干の矛盾とか生じる可能性あるし、我ながら随分めんどくさい設定を考えてしまったものだよ。