星屑の残光   作:エタノール

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漂う鳥の子守唄

「あ、光った……」

「え~ぇ、どれどれ?」

「ほら……あそこ……」

「うぅ……流れ星は一瞬だから見えないよ……」

「口が開いてる……」

「ふえ!?うぅ……」

「さ、帰ろう……きっと明日こそ見れる」

「…………うん……明日も晴れると良いな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君を守るよ……この身が傷付こうとも……君を守る。

例え隕石が君に落ちてこようとも、殺人鬼が君にナイフを振り上げようとも……

必ず私が全てを受け止めてみせる……ほら、もう君を怖い目に合わせる奴はいない。

誰かがナイフで君を怖がらせるなら……私は太刀でそいつを消し飛ばす……

誰かが槍で君を怖がらせるなら……私は鉄杭でそいつを消し飛ばす……

ひとつ……ひとつわがままを言うのなら……

 

 

 

 

君にもう一度会いたい……

 

 

 

 

 

君を守る為に力を手に入れたのに……守るべき君はもういない……

君は何処に行ったのだろう……天国だろうか?それとも輪廻転生……次の人生だろうか?

 

君が目を覚まさなくなって200と15年が経つ……

何の事はない……きっと私の寿命が長過ぎるんだ……

 

今日は私の319回目の誕生日だ……

君の104回目の誕生日以来誕生日パーティーはやっていない……

君と私が誕生して105年目に私は君を守る為の術を手に入れた……

遅すぎる誕生日プレゼントだった……

もう土に還ってしまった君の傍で私は空を見る……

 

 

 

 

 

星屑の残光が見えた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうど400年経過した頃

私と君の座っていた場所が突然爆発した……凄まじい爆発だった……幸か不幸か手に入れた力の効果で熱も何もなかったが、衝撃だけは私に襲い掛かってきた……衝撃に目を細める中、私には巨大なキノコ雲が見えた……

君は粉々に砕けて溶けて消えてしまった……

私は眠る君すら守れなかった……

 

 

 

450年経過した頃、人間がゾロゾロやって来た……

私を見て生きてるだの何だの言ってきた……放射能の影響がないのかだの煩いので手に入れた力で黙らせた……

50年前の爆発よりも数倍の爆発が起きたが、君がいなくなってしまった今、この場所には特に価値がない……大穴ができようが私の知ったことではない……

 

 

 

500年目……珍しい訪問者が訪れてきた。

1日、2日……訪問者は何も言わずに私の横に立っていたが、私は変わらず空を見ていた……

3日、4日……訪問者は変わらず私の横に立っていたが、私も変わらず空を見ていた……

5日……6日……変わらず訪問者は私の横に、私は空を見ていた。

7日目……遂に訪問者が話しかけてきた……

 

「私という存在に疑問を感じないのか?」

 

私は空を見ながらおかしな事を聞く奴だと思う……

静かならそれでいい、空を眺めていられるなら、例え何もないところから現れた少女の存在なんて気にするべき事ではない……

しかしどうやら長らく喋らなかった為に私は喋ることを忘れてしまったようだ……返事をすることができない。

 

「無視……それでもいい、返事をくれるまで私はここに居続ける」

 

面倒な奴だ……

 

1000年経った……雪の日……地球というこの星が生き返った……

生物は死に絶え、地球は再びその美しさを取り戻した……

私と訪問者は変わらずそこにいた……私は空を、訪問者は私を、見ていた。

 

1200年、生物が誕生した。

私は空を見続け……訪問者は私を見ていた。

私は見られることに慣れた。

 

どれくらい経ったか……再び人間が誕生し、私は崇められた……トート神……それが私の勝手に付けられた名前。

度々人間ではないものも私の周りに現れるようになった。

 

私を崇める人間が煩いので、簡単な文字を身振り手振りで教えた……

文字なら煩くないし、言葉と違って後回しできる。

 

ある時、ふと気が向いたので人間達に時間の概念を文字で伝えた……

 

 

つっかかってくる人間ではないものがいたが、その度に訪問者が勝手に追い払った。

 

 

いつしか人間でないものから私はこう呼ばれた……

永智の鳥、ジェフティ……無限の龍、オーフィスと対になるモノ……

成程、訪問者の名はオーフィスと言うのか……

 

しかし無限と永智は対になるのだろうか……

鳥と龍は?

 

「わからない、しかし貴方が私と一緒にいる為にそう呼ばれているというのもその理由のひとつ……」

 

数千年ぶりにオーフィスが口を開いた……

しかし成程、お前が私の横から離れたことは、お前が私のもとに訪れてから一度もない。

そう呼ばれても仕方がないのかもしれない……

 

しかし、いつから私の考えていることがわかるようになったのか……

 

「だいぶ前から……貴方が鬱陶しいと思っていたからここに来た悪魔や天使を排除した」

 

そうか……そうだったのか。

 

「返事……」

 

返事……何だったか……そう、お前という存在に驚かないのか……だったか……?

 

驚かないね

 

「何故?」

 

お前……馬鹿だな……

私が何年生きてると思っているんだ……人間ってのは長生きしたら大抵のことには驚かないんだよ。

 

「そう?」

 

お前はその程度の事の為に時間を無駄にしたんだよ……

わかったらさっさと帰れ……

 

「それは無理」

 

何故だ……と聞こうと思ったが……成程、わかった。

お前には居場所がない……いや、奪われた……か。

 

「そう」

 

それは可哀想だ、ここにいると良い。

…………なんて言うとでも思ったか、知るか、帰れ……

 

「無理」

 

…………好きにしろ、とでも言うと思ったか?

…………帰れ。

 

「…………そう……でも、いつも、いつまでも見てるから」

 

そうポツリと言うとオーフィスは消えてしまった。

いつもとかいつまでも見てるって……どういうことだよ……

 

 

 

 

 

 

 

月日が流れる……私は変わらず空を眺める……

宇宙で幾つもの星と光が産まれ、そして全てが死んでゆく……私は星屑の残光を数え、世界は世代を交代してゆく……

私はいつしか翼を羽ばたかせ、空を漂い……島国に流れついていた……

 

今日も私は空を漂う……

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