ゼノブレイド2 ──終わった世界の探求者──   作:青い灰

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ゼノシリーズ考察が少し入ってるのでご容赦を。




プロローグ

 

 

 

 

もう、100年も前の話になるのだろう。

 

見渡す限りの雲海の上に広がる世界──アルスト。

アルストには、人と共に生きる亜種生命体、

ブレイドと呼ばれる存在がいる。

 

楽園を夢見た少年は、

天の聖杯というブレイドと同調し、

ゆっくりと終わる筈だった世界を救った。

 

今私たちが暮らす巨大な大地は、

元々は巨神獣(アルス)という生命体だ。

彼らは死を迎えて尚、

海に浮かぶ大地として私たちを見守っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………いいや、2000だ」

 

「無理も。1500」

 

「2500」

 

「無理だっつってんのになんで上がるのかも!?

 だぁーもう1800だも!」

 

 

しれっと値上げして言い放つ黒髪黒瞳の少年に

羽毛のある丸っこい種族、ノポンの男は

自棄になって少年に金を投げつける。

少年は悪い笑みを浮かべてそれを受け取り

手の内の金貨を数える。

 

 

「よっし、儲け儲け。

 5、10、15……おいテメェ、1500しかねぇぞ」

 

「ギクッ、も」

 

 

少年は肩を震わせるノポンの頭を鷲掴みにする。

往来でのそれはかなり目立つもので、

道行く人々はそれを見慣れた光景ではあるが

笑いながら見ている。

 

 

「バレバレだぞこの羽毛!

 とっとと残りの300寄越せ!」

 

「ざけんなも!こちとら商売やってんだも!

 あんな値段で売りつけられても困るんだも!」

 

「んなこと言ったらオレだって

 命かけて仕事してんだぞ羽毛野郎!

 化物(モンスター)どもがウジャウジャしてる

 海を潜る数少ないサルベージャーが

 どんだけ大変か分かってんだろーなァ!?」

 

「だったらスペルビアにでも行けも!

 それか傭兵団にでも入ってろも!」

 

「あっこの野郎待ちやがれ!」

 

 

ピューン、と走って逃走するノポンに少年は

追いかけようとするが、小さなあの身体に

隠れられたらこの荷物が大量にある

このアヴァリティア商国では捕まえるのは

骨が折れると悟り、足を止め溜め息をつく。

 

 

「結局1500か……雲行きは怪しいが仕方ねぇ、

 沖の方でもう一頑張りしますかね……」

 

「ねぇあんた!ちょっと待って!」

 

 

苦い顔で少年は言い、商会の外へ向かおうとすると

後ろの方から声がかけられる。

少年が振り向くと、商会の階段の上の方、

二階の方から赤髪金眼のボロマントを纏った少女が

少年を呼んでいるようだった。

 

 

「ちょっと待って、依頼!」

 

「お、丁度いいな」

 

 

儲け話だ。

足りなかった分を補おうと少年は少女を待つ。

少女はなんと二階から飛び降り、

梁に捕まってくるり、と一回転。

少年の目の前に飛び降りる。

 

 

「ゴゴールみてぇだな」

 

「海に沈められたい?」

 

「冗談。で、依頼は?」

 

 

一瞬殺気を感じた少年は苦笑いしながら

依頼について聞く。

ボロマントの少女は懐から一枚の紙を取り出し、

それを少年に見せる。

 

 

「これ。知ってるでしょ」

 

「………そりゃーな。

 アルストに住んでて知らねぇヤツはいねぇだろ」

 

 

そこに描かれていたのは、正八面体の石。

この世界に存在する亜種生命体、

ブレイドを産み出す〝コアクリスタル〟と

呼ばれる凄まじい貴重品である。

 

天の聖杯伝説によってその価値は

馬鹿みたいに跳ね上がったのを知り、

幼い少年のブレイドと同調した者

〝ドライバー〟になる夢は呆気なく砕け散った。

 

だからこうして少年はサルベージャーをしている。

海にはモンスターとお宝が眠っているのだから。

 

 

「私、これが欲しいの」

 

「んなもんオレも欲しいわ。

 幾ら出せるかによっちゃ全力で探してやる」

 

「100」

沈められてぇか

 

 

何故そんな安請け合いで

コアクリスタルが見つかると思っているのか。

少女は泣きそうな顔になる。

子供か、と少年は思うが……

少年にも人としての良心はある。

 

 

「泣くな。そうだな……オレを手伝え。

 どうせお前、アーケディアの流れ者だろ」

 

「うぐ……なんで分かるの」

 

「埃まみれのボロマントに木の匂い………

 さては木箱に隠れての不法入国だな」

 

「むぅぅ………」

 

 

ほとんど図星であろう。

少女は頬を膨らませて冷めた目の少年を睨む。

少年は溜め息をつき、聞く。

最悪、彼女をアーケディアまで連れていかねば。

 

 

「家族はどうした」

 

「……………………………いないわ」

 

「本当は?」

 

「いないって何度言わせるのよ!」

 

「マジかよ…………」

 

 

不幸中の最悪である。

まさかの孤児ときた、と少年は頭を抱える。

というか自分と同い年、16くらいのハズだ。

どうしてこんなに子供っぽいのか、と

少年は頭を悩ませるが、

周りから見れば少年は大人すぎる。

 

 

「手伝うから!私も!」

 

「2つ見つかるまで手伝ってもらうぞ。

 それと先に使うのはオレだ」

 

「ぐぅぅぅぅう………!

 分かった、分かったわよ!」

 

「言質取ったからな。

 お前も今日からサルベージャーだ」

 

 

そう言い、少年は改めて商会の外へと歩き出す。

それを少女も追っていく。

 

 

「待ってよ!

 私はエリィ、あんたは?」

 

「シオンだ。んじゃエリィ、

 サルベージャーの基本を教えてやるよ」

 

 

空を、黒い雲が覆っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     ◆◇◆◇

 

 

 

 

海から船上に這いずるように上がるエリィを

シオンは海から顔を出して見上げる。

船上にはガラガラとクレーンで

サルベージしたものが引き上げられていた。

 

 

「ぜぇ、ぜぇ、き、っつ……」

 

「中々良かったぞー、少し休むか」

 

「もう、はぁ2時間、はぁ、近く泳いだ、けど、

 シオン、どんな、体力してんの……!?」

 

「こんな体力してる」

 

 

シオンはそう言って船上に登る。

ぐったりとしたエリィを引き上げ、

クレーンから下ろされた物資を確認する。

 

 

「さぁて……コアクリスタルはあるかな……?」

 

「あった!?」

 

「今から。……………ん?」

 

 

網の中から見つかったのは、一枚のカード。

どうやら防水のようで、水が弾かれている。

珍しいな、とシオンはそれを手に取る。

文字が書かれているようだが。

 

 

「ロ…………ル……………ダメだ、読めねぇ……」

 

「なにそれ?」

 

「カード……だと思う。分かるか?」

 

「うーん……無理。分かんない」

 

「だよなぁ。ま、持っとくか。

 どうせ金にもならんだろうし」

 

 

上がってきたエリィもそれに首を傾げる。

シオンはそのカードのようなものを

ポケットに入れ、ボタンで閉じる。

そして………それに気付き、

シオンは思わず立ち上がる。

 

 

「─────!」

 

「え、どうしたの?」

 

 

黒い雲は空を覆いつくし、

ゴロゴロと音を鳴らし始める。

シオンは目を鋭くさせ、焦るように言う。

 

 

 

「嵐が来る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        ◆◇◆◇

 

 

 

 

即座に嵐は船を飲み込んだ。

吹き荒れる風と大きく揺れる波に、

なんとか船は耐え続けている。

エリィを船室に避難させ、シオンは舵を操作する。

 

 

「ぐ……ヤバいな………!

 こんな沖で流されでもしたら不味いぞ……!」

 

 

世界の端にある〝裂目〟も近い。

その先は天の聖杯伝説の英雄が行ったという

世界樹があった場所だが…………

今は底の見えない暗闇が広がり、

海の水が滝のように無限に流れ込んでいるという。

 

そして、聞こえないハズの声が聞こえた。

 

 

「シオン!!」

 

「エリィ!!?馬鹿、船室に───」

 

 

心配して上がってきたのだろうか。

それとも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───────ッ!!」

 

 

全身から汗が噴き出す。

雨に打たれる身体は冷え込んでいたが、

その熱が高速でシオンの思考を切り替える。 

 

黒い怪物。

それは、大きくその腕のようなものを

こちらへ向けて振り上げて。

 

 

「エリィ───!!!」

 

 

シオンは咄嗟に、

エリィを抱き締めて海へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

        ◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青い光を放つ石を取り込み蠢く怪物。

 

荒廃した近未来的な建築群。

 

未だ動き続ける旧文明の遺産。

 

かつての巨神獣に寄生する魔蟲。

 

 

いつまでも暗闇に閉ざされる世界。

 

 

 

 

 

「………………ここ……は………?」

 

 

 

 

 

昔、雲海の下に存在し、

世界樹の元にあったという世界。

 

 

人はかつて、その地をこう呼んだ─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────── 〝モルスの地〟 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ていうかゼノファンだと主人公2人にも気付くも?
完全に別人だから勘繰らなくても大丈夫だもー。
そういえばギアスにもサルベージャーがいたも。
ということはやっぱり………


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