結局必要なのは努力   作:名無しの権左衛門

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奴隷

「それで、兄貴さん。宿屋でカスタードって聞いたんですけど」

「ああ。他国じゃそういうらしいな」

 

 今自分はボランティアの方々と協会に赴いている。

昨日のことについて、協会から呼び出しを受けたんだ。

普通だとギルドから来るらしいんだけど、あそこは完全に仕事として機能してるから

こういう会話ものは協会でやるんだと。

 

「この国ではアロウコーストだ。よく覚えとけよ?」

「はい」

 

:ジャパンと日本の差かな?

:温度差あるなあ

:旅人は困るよな、これ

:昨日のやつ、どうなったんだ?

 

 そうそう。昨日のことについてだった。

 

「来たか」

 

 そこには昨日みた眼帯おじさんがいた。

不思議そうに見たら、すぐに口を開いた。

 

「よくぞ生きて帰ってきた」

 

 自分の肩に手を置いて破顔してた。

すごくうれしそう。後ろの同じグループの人たちも、よーやった!って言ってくれた。

うれしいのと一緒に、ちょっと後ろめたい。

 本当は平等化のおかげで、スキルもアビリティも消去されてから戦闘したんだ。

だからそこまで褒められたもんじゃないんだけどなぁ。

 

「ありがとうございます」

 

 でも褒められること自体は、うれしいんだよね。

素直に称賛を受けておくことにした。

 

「称賛はそこまでだ、グランド将軍」

「おっと、これは失礼」

 

 グランドのおじさんが立ち上がり退いた。

巨躯が眼前から消えると、ギルドの受付嬢が姿を現した。

何だろうと思っていると、書類を見せてきた。

 

「帝王スライムの討伐確認と権利確約です」

「すみません、よくわかりません」

「この国には、一定以上の魔物を撃破するとそれに関する活躍を国家の重要情報として、永久に残るルールがあります。

これは人手が常に不足しているがための措置で、この情報を元にある一定の

魔物が出現した場合その討伐者に、国からの討伐依頼が届くようになっています」

「ええ!?」

 

:有名人確定!

:うっわぁ、逃げられないじゃん

:なろうじゃ絶対に存在しないやつだw

:完全に身を拘束されるんだな。でも存在も国家認定だから、いいことじゃん

:帝王スライム級の他魔物も、撃破するように言われるんだぞ?

:なんだ、ただの公務員か

 

 カメラがコメントを反映しているけれど、そんなところじゃない。

 受付嬢が言うのが本当なのはわかるけれど、実感がわかない。

だけど自分がこれから、確実に帝王スライム級の魔物を国家より依頼されるかもしれないんだ。

無理じゃない?

 

「そう絶望するんじゃない。この国家の討伐依頼は、一定のラインに達した冒険者や

傭兵・商人やら騎士全員に声がかかるからな!

不安がることはないぞ」

「よかったぁ」

 

 ほんとによかった。

たった一人で、帝王スライム級に立ち向かうのは無理!

あの時はなんかアドレナリンが、ドバドバ出ていたような気がするし、

今でも思い出すと身震いするもん。

 それにしては楽しそうにやってた気がする。

 

「それともう一つありますよ。はい、討伐資金と褒賞です」

 

 そう言ってボランティアの方々が、お金と帝王スライムを撃破したお祝いを持ってきた。

自分は二人からもらって、カバンにしまう。

ただしまったのは褒賞だけで、資金に関してはボランティアの人の筆頭である兄貴に四分の三渡した。

 

「ん!?」

「お?」

「ちょ」

「おいおいおい、捨て子どうした!?」

「お礼です。何かまずいことでもありました?」

「くくく、できた子じゃないか」

 

 眼帯おじさんグランドの後ろにいた、陰険そうな眼鏡ローブおじさんがなんか言ってた。

殊勝な心掛けだろ?

強化魔法有難うって感じだし。

 

「ええ、まずいことではないですけど」

「俺達何もしてないぞ? 捨て子が頑張っただけだ」

「何言っているんですか。魔法で強化してもらいましたし、当然ですよ」

「お前……魔法の価値がわかるのか」

「なんとなく!」

 

 しんみり空気が、ずっこけた感じがした。

いきなり空気が柔らかくなった。朗らかに笑うおじさんたちと受付嬢。

そして恥ずかしそうにする、魔法使いのドロウ。

真面目そうに聞いたら、価値わかんないけどありがとうというやつで、ちょっと面食らったのかな?

 

:バフデバフ要員は大事だぜ

:あとは回復か

:攻撃魔法は欲しい所

 

「とにかく、これで譲渡は終わりです。お疲れ様でした」

「おいおい、まだだろ? 坊主のランクを上げねぇと」

「回数制なので、どんな魔物だろうと絶対に上げられませんよ」

「そうだった」

 

 グランドおじさんと受付嬢の話を聞くに、どんな功績を上げても

経験を積むためにランクは回数制になっているんだとか。

それとロウランにも口添えしてもらったけど、これは冒険者たちを守るためらしい。

 以前功績制にしたら、調子に乗る輩がたくさん出てきて国家で統制が取れず、

価値が薄まる褒章が大量に生まれてしまい、階位の貴重性が失われてしまったらしい。

それで意味のない階位がたくさん生まれ、その整理に忙殺される中国家情報の整理整頓が上手くいかず、低いランクの冒険者に、本来頼む筈の高ランクの冒険者の依頼を頼んでしまったのだとか。

 

 おかげで冒険者の求心力を低下させてしまい、冒険者の空白地帯になってしまったんだとか。

 

「回数制はそういう理由なんですね」

「この方が管理しやすいのは当然なんだが、本当の実力者を埋もれさせるのは納得いかんな」

「いやいや、自分はこの方が身の丈にあってますよ」

 

:これは謙虚

:慎重なのは高得点だ

:死ぬだけの世界は怖いな

:蜘蛛子さんのところは、鑑定がチートスキルらしいがこっちじゃ持ってないと死ぬっていう

:確認されている中で、人口の三割はもってるらしいし、微妙

:まずは日進月歩

:日々此れ漸進

 

「そういえば、奴隷市場ってありましたけど、どんな奴隷がうってあるんです?」

「あー、やめといた方がいいぞ?」

「どうして?」

「行けばわかる。鑑定持ってるし、現実もしれるだろう」

 

 曖昧だし、自分で足を運んでみてみるかぁ。

それと帝王スライムの素材を売らないと。

ロウランさんに一杯奢ってから、協会の買取屋のところへ行く。

 

「帝王スライムの素材です。換金してください」

「わかりました。しばらく時間がかかりますので、どこかで時間を潰していてください。

あ、整理券です。声がかかる場所にいらしてください」

「わかりました」

 

 自分は素材を渡して、マスターのバーに来る。

買取屋のすぐ隣なのがいい。

 

「ドリーネを一つ」

「かしこまりました」

 

 モノクルがきらりと光った気がした。

そしてすぐに出てくる。

ミカンとレモンの間の味わいで、酸味系だけど口腔内を刺激しないさわやかな舌触り。

 しぼりたて100%なのか、果肉が入っていて食感もある。

朝食は食べてきたけれど、小腹がすいて来たのでスープを頼んだ。

 

 

 海岸ということもあってか、出汁が効いていてお汁の中に魚肉や野菜が入っている。

どう見ても、パンをつけるものじゃない。

パンはないけれど、大麦飯と食べるみたいだ。

 

「珍しいでしょう?」

「え?」

 

 隣の人が話しかけてきた。

なんでもお汁に深い味わいがあるのは、ここだけらしい。

マスターは東方の出身で、そこの人たちは海が身近にあるらしく、水も豊富なためかそれらを使った食事をよく知っているのだとか。

 その過程で出汁という調理過程も知っているようで、それを使って料理をさらにおいしくしているという。さらに魚醤や味噌というのも、本人が作っている。

隣のお客さんのお気に入りは、ナスときゅうりのからし付け。

ちなみに一番の芋焼酎のん兵衛は、みょうがとちりめんのからし味噌あえらしい。

 

 

:ただの日本人か

:ここの立ち位置は、琉球っぽいな

:魔法のおかげで、近代社会を築いているみたいだ

 

「えーと、番号34番のかたー」

「はーい」

 

 自分の番が来た。

25分ね。結構かかるもんだなあ。

 

「えーと照合に時間がかかりました。申し訳ございません。

こちらが換金した資金と、その領収書です」

「ありがとうございました」

 

 領収書が出てきた。

そこには帝王スライムの身が、どんな相場をしているかっていうのと

自分という付加価値・身の新鮮さというところで評価がされていた。

 あーやっぱり消費期限あるんだ。

 なんとなくわかってた。

 

 資金は褒賞よりも少なかった。

理由として、帝王スライムは比較的狩るのが簡単な魔物だから。

しかしスライムとして、より多くの素材を入手できるからこぞって卸されるんだと。

飢え過ぎだろ、他大陸。

 

「では、マスター」

「ありがとうございます、いってらっしゃい」

「はい、行ってきます」

 

 お会計を済ませて外に向かう。

お腹いっぱいだけど、外に出たら魔法瓶を開けて中身を食べる。

完全栄養食だから、栄養素が偏りやすいこの世界じゃありがたいものだ。

魚肉はいいんだけど、豚肉はまだ食べたことがない。

 

「お、捨て子じゃねえか」

「あ、兄貴」

「よ、捨て子」

「一躍有名になった捨て子じゃん」

「皆さんっ」

 

 10人くらい協会の入り口にいた。

 

「話は聞かせてもらっていた」

「はい?」

「今から奴隷市場行くぞ。鑑定ではわからないことを教えてやるぜ!」

「あ、はい。お願いします」

 

 知られてた。さすが情報が早い町だぁ。

途中槍使いのヒューイさんや剣撃を飛ばすソーマスさんに、色々話を聞いた。

彼らも自分が渡したお金で、奴隷を買うんだとか。

 相場が本来の1萬分の一になっているから、買うのに苦労はないんだと。

何を買うつもりなんだろう?

 

:やっときた、奴隷市場!

:ぐへへ、どんな子がいるかな

:期待できなさそう

:処分って言っているしなぁ

 

 

 そんなわけで、奴隷市場にきた。

朝市ともいうけれど、一週間は開いているから市場でいいや。

中に入ろうとすると、メンバーズカードを作らされた。有料で

 

「なんで?」

「冷やかしはお断りです」

「あ、はい」

 

 コストコみたいに、遊園地感覚で行っているけれど本来はどんなところなんだろうか?

 

「はい。作りました。では、そのまま中へお入りください」

「おーし、入るか」

「この町では数少ない娯楽だからな、楽しんどけ」

「あんまり気分はよくないけど、仕方ないことさ」

 

 評価が低い。とうぜんだよな。

 

 続々入っていく。

ついに自分の順番だ。

深呼吸して、入ってみる。

 するとむわっと熱気が、自分を包み込む。

更に人?や動物?の特有の体臭?というものが、つんと嗅覚を刺激する。

牛小屋みたい。臭い。

 

「まあ、香水まつりだ。気分が悪くなったら、迷わず出ていいから」

「……行ける」

「捨て子。お前は上に行く人間だと思っている。今のうちになれとけ。

グランドのおっさん曰く、貴族の社交界は男女の香水のせいで臭いんだとよ」

「えぇ……」

 

:平安貴族かな?

:やっぱ臭いのか

:雷門前と比べてどうなんだろうか

:あそこは外だろ。ここはテント。臭いが違い過ぎる

 

 普通のお店位に明るい中、真逆の雰囲気を作り出している重厚な牢屋。

その中に、人間や動植物がある。

他にも奴隷が剣術を見せ合ったり、外国の本等が置かれていたり。

 

「あれ、本?」

「外国の珍しい本だな。知識階級は、こういう市場を利用していち早く世界の最先端においつけるようにしているらしい。俺達は、演技の質を上げているって感じだ」

「へぇ、あれでも結構怖かったんですけど」

「そうか! でも、もっと演技力をつけないとな。帝王スライムが出ても、冷静に居たいもんだ」

 

 あの巨躯を前に冷静とか、なかなか難しいんじゃ?

前は一撃必殺だったけど、たぶん次はないと思う。いや、ほんと。

自分の平等化で、アビリティやスキルを消すだけじゃ倒しきれなかったと思う。

 本来ならあの強化されたスライムのように、きっと何度も切りつける必要があったと思うんだ。

だから次はない。でも、ここでバフを使える人を購入できれば、戦術が広がる筈。

 

「よーし、お前らはここで見繕っていてくれ。俺は捨て子の要望を聞いて、購入してくる」

「「おっけー」」

 

 兄貴は他の人をおいて、自分と一緒に人を見てくれるんだと。

親切だなあ。またお返ししないと。

 

「どんな奴を買いたいんだ?」

「バフを使える人が欲しい」

「バフ? ああ、強化魔法か。だったら、あっちか」

 

 そうやって兄貴が連れてきてくれたのは、さらに奥で人が徐々に少なくなってきた領域。なんとも恐ろしい雰囲気で、黒い眼鏡をかけた屈強な人が3人いる。

彼らの奥からは、嫌な雰囲気が駄々洩れしてる。

 

「捨て子。あの紋章を見せてやれ。そしたら行けるぞ」

「どうって」

 

「お入りください。おつきの方もどうぞ」

 

 え、この紋章って、こんなことができるんだ。

知らなかった。やっぱり、国家の紋章ってすごいんだなぁ。

 

「不思議そうな顔してんな」

「あ、えと。やっぱり国の紋章は凄いんだなって」

「そりゃそうさ。帝王スライムは倒しやすいといっても、それは上位階級の冒険者や

傭兵・スライム専用駆除業者が言っていることだ。

一般人には荷が勝ちすぎているってもんさ。ほれ、来たぞ」

「うっわあ」

 

 来たところは、それなりの装飾と牢屋……そして、向こうでは見られなかった

最終処分な方々だった。

紹介文を見てみると、高貴過ぎる。

使用年数4年ってなんだろう?

 

「ようこそおいでくださいました」

「いつもお世話になっている。今回はこいつのものを見繕いに来た」

「ほほう、兄貴様のお目にかなうとは。お主、なかなかやりますな」

 

 ほほほと笑う男性。

不思議な雰囲気に面食らった。

しかも兄貴と顔みしりで、いつも世話になってるってどういうこっちゃ。

 

「強化魔法要員がほしいんだと」

「なるほど、でしたらこちらですな」

 

 連れて行ってもらったのは、とある豪華な牢屋の前。

その中に居たのは、自分の心が温かくなるようなそんな可憐な少女だった。

 

「こちら。1年前より引き取った、使い終わった聖女でございます」

 

 20レウナ=ティアムナード=アウンホルト:15歳

天の配剤:磔 

アビリティ:人間 祝福 

スキル:発狂C 頑強D 強化魔法E 被道具化C 

 

 え、ナニコレ。強い、のか?

 

「えっと……被道具化ってなんです?」

「ステータスがみえるのですな。面白い御仁だ。

被道具化というのは、ぶっちゃけていえば性的な道具にされてきた、

または政治の道具として利用されたということですな」

「Cって相当ですよね」

「Cは普通の人間が一生涯に取れる最高位ですな」

 

 この世界怖くない?

最高がCっていうことは、存在するであろうBやAがありえないことになるんだけど。

 

 さらに磔、祝福、発狂について教えてもらった。

 

 磔は、政治的にも性的にも、人間の種族においても、何かしらの標的にされ

吊るしあげられることらしい。

 祝福は、神より肉体的・精神的・容姿などにおいて優遇されること。

彼女の中和魔力量も多いため、ここらも祝福範囲に入っているんだろうと。

 発狂は精神的に追いやられた状態で、屈服といった肉体的なものや心服といった精神的なもの、それらを含めた融合スキルとのこと。

つまり色々道具にされてきたため、壊れてしまったということだ。

かわいそう。

 

 できれば敵対してもらって、消してもいいんだけど。

その場合、祝福も強化魔法も消えてしまう。

 

「じゃあ、買います」

「わかりました」

「即決だな。他にもいるのに」

「普通に可哀想なので。それと、自分に彼女を一瞬だけでもいいので敵対できますかね?」

「敵対? ステータスを確認させていただきます……これは。いいでしょう。

専用の隷属魔法を使わせていただきます」

「な!? それは最終処分であっても、使ったらだめじゃないのか!」

「そのほうが面白そうなので」

 

 ニカッと純粋に笑う男性に、兄貴はまじかとあっけに取られてた。

この大陸でも、人権とかあるんだろうか?

 

「隷属魔法は、奴隷の紋様を刻む魔法です。しかし、これには種類があります。

主に三つ。心を縛るもの、性欲を縛るもの、力を縛るものです。

ここでは彼女に、心を縛るものを付けましょう。

すると心を暴走させて、スキルだけを無視することができます」

 

 神妙な雰囲気で話しかけてくる。

 

「その天の配剤は強力ですが、持続効果があるかどうかは不明ですな。

ですので、如何様になっても責任はとりません。いいですな?」

「勿論。やって下さい」

「では」

 

 彼女の下腹部に、ハートの紋様が刻まれるのと同時に輝き始める。

そして彼女の表情はうつろなものから、徐々に怒りが出てきて自分に対して殺意を抱き始める。

 

 20レウナ=ティアムナード=アウンホルト:15歳

天の配剤:磔 

アビリティ:なし

スキル:なし

 

 そして殺意を抱かなくなる。

 

20レウナ=ティアムナード=アウンホルト:15歳

天の配剤:磔 祝福

アビリティ:なし

スキル:なし

 

「あれ?」

「おろ? これは、面白いですな。神の力を無効化されると、上位に移るようですな」

「ということは、神様から与えられたスキルも?」

「そういうのは神器や生まれる前からの祝福でしか見たことがありません。

きっと大丈夫です。一応、心にとめておいたほうが宜しいかと」

「たのしそうだな、あんたら」

 

 スキルとアビリティに関して、面白がっている自分らに兄貴はあきれていた。

というか奴隷商?の男性も、研究熱心なんだな。

好感が持てる。

 

「とにかくお支払いも終わりましたし、どうしましょうか。首輪つけときましょうか」

「つけとかないと、磔にされそうなんでお願いします」

「はい、どうぞ」

 

 色々済ませたら、身体を清められた彼女が出てきた。

 

「服は以前の聖女の服、装備も全てそのままにお渡しいたします」

「え、大丈夫なの此れ」

「はい。奴隷として売りに出す場合、付加価値として衣服・道具は必ず供出していただいております」

 

 フィギュアかな?

 おかげで、明日の服に悩むことがなくてうれしいや。

自分は彼女の手を握って、兄貴と一緒に退室していった。

で、兄貴の仲間たちは、目的のものを手に入れて喜んでいた。

 ま、まさか大陸の歴史の本なんてあるとは……。

 

 

「で、今日はどうするんだ?」

「レウナと一緒に、外で狩ってきます。スキルは忘れてしまったけれど、一から始めればいいんで」

「なるほどな。強化魔法は、ドロウが持っている。指導はできるから、困ったら言ってくれよ。よーし、てめぇらいくぞ!」

「おう!」

「また協会であおうぜ!」

「ぐふふ、この科学本を試すのだぁ」

「きょ、強化魔法鍛えとこう」

「じゃ、またあとで」

 

「またねー。さあ、行こう」

「?」

 

 人間性が消えているから、色々困るなぁ。

まあいいや、久しぶりのカメラに写ってもらおう。

 

 

「皆さんお久しぶりです。自分です。

そして新たな仲間、人間性を失ったレウナちゃんでーす」

「? ?」

 

:かわえええええええ!!!

:なんかキラキラしてる

:うっ……ふぅ

:うっ

:ぬっ

:反則だろこのかわいさ!?

:主そこを代われ!

 

「代わってもいいけど、人間性が消えてるから赤ん坊よりきついよきっと」

 

:うぐ

:レウナと合体動画はいつですか!?

:いつでもみるぜ! スパ茶もするぜ!

:いつヌードやってくれるん?

 

「この子は大事に育てます。そして育ちきったら、ある程度自由にしてそこですきなものを決めてもらいます。

磔にされないように気を付けますんで」

 

:いくじなし!

:男ならもっとしゃきっとしろ!

:草食系男子が!

:魚でも食ってろ!

:お前それでも、男かよ!

 

 色々罵声が流れているけれど、今はレウナを膝上にのせている状態。

色々言われると思ったけど、いい感じに流れてるね。

 

「レウナ。しゃべれる?」

「?」

「あ」

「……」

「あ」

「ぁ」

「あ」

「あ」

「よーし、いいぞー言えたじゃないか」

 

:云えたじゃねぇか

:やっと言えたじゃねぇか

:謂えたじゃねぇか

:これが尊いってやつか

:てぇてぇらしいぞ

:なるほど?

 

 あたまをなでる。撫で心地がいいから、なでまくる。

 

 そういや場所忘れてた。

ここはあの帝王スライムが暴れていた場所。

大きめの石があったから、そこに座ってやっているんだ。

今は晴れているから乾燥している。

尻は濡れてない!

 

「じゃあ、”い”って云えるか? ”い”」

「ぅぃ?」

「うぃー」

「うぃー」

「ぅいー」

「ぅいー」

「いー」

「いー」

「い」

「い?」

「よくできたなー!」

「ん~」

 

:かわええ

:あああ転生してええなあああ俺もな嗚呼ああ

 

 この後、撫でていると気持ちよさからか失禁されたんだよなぁ。

そこらにいたスライムを狩って、下着とか色々洗ってやった。

こういう時助かる。スライム様様だー。

 とにかく今はこの子の人間性を元に戻すことだ。

 一応スキル関係なく、体に刻まれたことがあるからある程度しゃべることができるだろう。

しかし消されたのはスキルとアビリティだけ。

記憶は消えない。

 

 少しでも彼女が、本当の意味で心を開いてくれるまでカスタード以外に行くことはしない。

この環境が、今は気持ちがいいから。

それにレウナの心身の療養にもなるはず。

更に自分の魔法瓶の中身を食わせて、少しでも成長させよう。

 なぜなら第二次成長期を過ぎている筈なのに、身長も肉付きも子供なんだ。

しばらく栄養食を心がけて、適度な運動だ。

長年の牢屋暮らしで、肉体の筋肉が衰えている筈。

 

今は、雌伏の時だね。

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