赫き彗星が白兎と共にダンジョンに行くのは間違ってるだろうか 作:エルにー
バルside
あの後、あの場所にいたメンバーを連れて屋敷に戻った。……何故か関係のないフレイヤも混ざっているが。
ヘス「さっきのはどう言う事だ!アルテミス!」
アル「すまない……つい、嬉しくて……」
ヘス「嬉しいってどう言う事だ!?ボクは君との再会がすごく嬉しかったのにぃ〜〜!!」
屋敷に戻って早々、ヘスティアはアルテミスを正座させた。場所は玄関だ。というか、玄関じゃなくてホールか?まぁいいや。
元凶のヘルメスは側のソファーに座って帽子を弄っている。
とりあえず、ここのままだと何にもならないから俺は話に入った。
バル「落ち着け、ヘスティア。それで、アルテミスだっけ?俺たちは初対面のはずだ。少なくとも俺は」
アル「……」
俺はそう言ったが、アルテミスはただただ俺を見つめるだけだった。気まずいな。
ヘス「むぅ〜っ!ヘルメス!あれがアルテミスだって!?おかしいじゃないか!」
フレ「そうね。私の知ってるアルテミスとは随分違うようね」
ヘル「いや〜、アルテミスも下界の生活に染まっちゃったんじゃないかな」
ヘス「そんなバカな!」
よくも堂々と嘘が付けたものだな。少し、揺さぶりをかけてみるか。
バル「どうやら、何かが起こったようだな。なぁ、ヘルメス」
ヘル「……さぁ、どうだろうね」
バル「『厄災を予測する』」
ヘル「っ!?」
バル「面倒なことが起きてるな」
ヘル「ハハ……やっぱり君は騙せないか。けど、今は聞かないでくれ」
バル「そうしとく」
なるほど。相当面倒なことが起きてるようだ。アスフィやリューも大変だな。
俺とヘルメスの話を聞いていたベルたちは話の内容が掴めなく、困惑していた。
バル「そうだ。ヘスティア。アルテミスというのはどんな神なんだ?」
ヘス「えっ?あ、あぁ。アルテミスは天界の処女神の一柱なんだ。貞潔を司り、純潔を尊ぶ。言っちゃえば、不純異性交遊撲滅委員長。大の恋愛アンチなんだ」
「「「「恋愛アンチ……」」」」
ヘス「それがどうしてこうなったんだぁ!!」
ヘスティアはまたも頭を抱えてうずくまった。どんだけショックなんだよ。
リリ「それで、どうしてそんな神様がスポンサーなんかに?」
ヘル「オラリオの外にモンスターが出たんだ」
ベル「モンスター?」
ヘル「そっ、アルテミスファミリアが見つけたが、ちょっと厄介な奴でね。それでオラリオに助けを求めた」
ヴェル「つまり、観光ツアーとは名ばかりで……」
リリ「アルテミス様がご依頼されたモンスター討伐のクエスト、というわけですか?」
ヘル「流石鋭い」
フレイヤが何も言わないということは、フレイヤも一枚かじってるようだな。なら……。
俺はフレイヤに近づいて耳元で囁く。
バル「帰ったらお仕置きだ」ボソッ
フレ「っ!!」ウットリ
俺がそう囁くとフレイヤはウットリとした顔で俺をみる。後一歩で発情するだろうが、今はダメだ。
そうしているうちにも話は進んでいく。
するとアルテミスが矢を持ってこっちに歩み寄る。
アル「私はずっとあなたを探していた、オリオン」
バル「俺はオリオンではなく、バル・クラネル……」
アル「いいや、あなたはオリオン。私の、希望」
また、この顔だ。夢で何回も見た何かを覚悟して、何かを諦めたような。そんな顔を。
最近の俺はおかしい。ここまで悩むのはこの世界に来てから二度目だ。
一度目はベルを半龍にする時だ。当時、ベルは「僕はバル兄と一緒にいたい!やっと出来た家族だから!」と言ってくれたが、半龍になるのはデメリットが大きい。悩みに悩んだ結果は言わなくてもわかるだろう。
バル「何故、俺だ。強さに自信はあるが、それだけで決まるはずがない」
アル「この槍を持つ資格は強さではない。穢れを知らない純潔の魂」
バル「ん?」
俺は疑問を持った。それは俺だけではないはずだ。
バル「は?穢れを知らない純潔の魂?俺が?間違いじゃないのか?」
ヘス「うん。バル君には申し訳ないけど、バル君はそんな魂の持ち主ではないはず」
アル「えっ?」
バル「穢れが何を指すかわからないが、人間ではない俺が穢れてないはずがない」
アル「人間……じゃない……?」
……嫌な予想がほぼ確信に至ったな。普通の神なら気づいているはずだ。
バル「俺は純粋な龍だ。これが証拠だ」
俺は翼脚を出して少し龍氣を噴出する。
アル「龍……じゃぁ、何故槍が……槍を抜けたのなら資格を持っているはず……」
ヘル「まぁまぁ。槍がそれより何かを優先したって事だよ。それに、穢れを知らないはともかく、悪人ではにないから純潔はあってるんじゃないかな?」
フレ「フフ、そうね。バル様は最高の方よ」
フレイヤはそう言って俺の腕に抱きつく。嬉しい言葉だが、流石に照れるな。
ヴェル「ヘルメス様。この槍……」
ヴェルフが空気を壊すように喋る始めるが
ヘル「だから、伝説の武器って言っただろ?兎に角!君はその槍に選ばれたのだよ、バル!」
俺はそう高らかに言うヘルメスを睨む。
バル「ハァ……なんにせよ、選ばれたのなら使わせて貰う。アルテミスもそれでいいか?」
アル「あ、あぁ。何故選ばれたか分からないが、槍に選ばれしその魂を携え、私と一緒に来て欲しい。オリオン」
俺はアルテミスから矢を受け取る。
ヘス「兎に角!」
ヘスティアはそう言って俺とアルテミスの間に入る。
ヘス「アルテミス。そのクエスト引き受けた!」
バル「団長としても賛成だ」
ヘス「神友がこ困っているなら助けるのは当然だよ」サムズアップ
アル「ありがとう!ヘスティア!本当にありがとう!」
アルテミスはヘスティアに抱きついてそう感謝の言葉をつげる。
ベル「僕も行きます!」
リリ「勿論、リリもです」
ヴェル「まぁ、乗りかかった船だしな。俺もいいぜ」
アイ「バルが行くなら私も行く」
バル「さっきも言ったが、団長として賛成だ。そのクエスト、完璧にこなしてやる」
フィル「私たちはお留守番だな」
ダフネ「足手纏いになる自信しかないしね」
カサン「お屋敷は私たちに任せてください!」
春姫「ベル様が帰ってくるまでベッドを暖めておきます」
1人おかしいのがいるが、討伐組とお留守番組が決まった。念のためレンも引っ張って来るか。いや、ギルドもかじっているはずだからレンも同行するはず。
アル「ありがとう、優しい子供達。君たちは私の眷属ではないが。けれど、これからは旅の仲間。どうか、契りを結んで欲しい」
アルテミスはそう言って手を差し出す。あぁ、あれか。
バル「失礼する」
チュッ
俺はアルテミスの手にキスする。それに続くようにアイ、ベル、リリ、ヴェルフもやる。
ヘル「んじゃぁ、話が纏まった所で早速出発しようか」
ヘルメスが乗り物を用意したと言ったのでヘルメスに続いて屋敷を出た。
だが、未だに不安と疑問が俺の中に残っている。それは……
アル「オリオン。行かないのか?」
バル「あぁ、すまない。少し考え事をしていただけだ」
アル「何か悩みがあるなら聞くぞ?」
バル「いや、大丈夫だ。そんな難しいものではない」
アル「オリオンがそう言うのなら……」
バル「心配してくれてありがとう。ほら、置いてかれるぞ」
俺はアルテミスの手を取ってベルたちの後を追う。この度で何が起こるか、いや、何が起こるかはわかっている。だが、せめて夢の結末だけにはさせない。
お前を、アルテミスを死なせはしない。
おまけ
バル「失礼する」
チュッ
フレ「バル様ぁ……」
バル「帰ったらな」
フレ「そんなぁ……」
アル「こんなフレイヤは初めて見た……」
ヘス「フレイヤはバル君にベタ惚れだからね。いや、これは崇拝の域に行ってるんじゃないかな?」
フレ「自覚はしてるわ」キリッ
ヘス「キリッとカッコよく言うな!」
今回はここまで。
前回と比べると短いですが、その代わり次回を長く書きます。
バルがすごく悩んでますねぇ。それがテーマなわけですが。
ん〜、フレイヤへのお仕置きはフレイヤにとっては逆にご褒美になりますよね〜。
とりま、次回予告をどうぞ。
ヒャイイイィィィ ヒュウウウゥゥゥ
よいしょっと。やぁ、ベル君のお嫁さんの1人、ヘスティアだよ。早速次回予告へ行こう!
アルテミスのクエストを引き受ける事になったバル君達一行。
旅は順調なものだった。あるモンスターを見るまでは……。
クエストはうまく成功するのか。目的のモンスターとは一体……。
次回、優雅な空の旅と頭角を現した悪意
お楽しみに〜〜!
シュドオオオオォォォン