赫き彗星が白兎と共にダンジョンに行くのは間違ってるだろうか   作:エルにー

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06 決戦アンタレス。天彗龍の覚悟

バルside

 

その後に色々とあったが、アルテミスと踊った翌日。今日はアンタレスとの決戦の日。不安は拭いきれないが……考えても仕方がない。万全の準備をして挑むしかない。

時間は霧が立ち込める早朝。あちこちでヘルメス・ファミリアが準備に奔走している。

 

準備が終わった俺たちは、アルテミスの作戦を待っている。

 

アル「それでは、作戦を伝える。ヘルメス・ファミリアは敵の陽動。引き付けるだけでいい。決して無理をするな」

 

「「「はいっ!」」」

 

アル「陽動にはレンも参加してもらいたい。レンには陽動の他に枯渇した大地を戻してほしい。アンタレスを倒せば元に戻ると思うが、絶対ではない」

 

レン「了解!」

 

アル「ファルガー」

 

「はい」

 

アル「指揮はあなたに任せる」

 

「わかりました」

 

そう答えるファルガーにアルテミスは頷く。そして、俺たちの方を見る。

 

アル「そして、陽動部隊が敵を引きつけている間に、我々は内部に突入、アンタレスを討つ!」

 

アスフィ「()()?」

 

アスフィは我々と言う部分に疑問を抱いた。

 

アル「あの門は私の神威でなければ開かない。私も行く!」

 

バル「……」

 

想像はしていた。アルテミスも行くだろうと。俺としては大反対だが、アルテミスは意地でも行くはずだ。

 

?「ボクも行くよ」

 

そう言ったのはヘスティアだった。

 

ヘス「君を一人にさせるわけにはいかないからね」

 

ヘル「なら、当然俺もついていこう」

 

ヘルメスも便乗してきた。

 

アスフィ「ちょっと、ヘルメス様!またそんな……」

 

ポンッ

 

ヘル「ハハハ……こうなることはわかってたくせに」

 

アスフィ「もうヤダ〜……」

 

ヘルメスはアスフィの頭をポンポンとしながら言う。

やれやれ。おかげで空気が少し和んだよ。

 

「いっちょ、やってやりましょう!」

 

「特別報酬、期待してるぜ!」

 

「我々は金にはうるさいですよ」

 

基本的に、ヘルメス・ファミリアにはお金が好きな奴らが多いのか?

 

リリ「もっちろん、リリ達もです!」

 

ヴェルフ「リリ助、お前なぁ……」

 

リリ「正当な権利です!」

 

うん。報酬をもらうのはそうだが、うちには溢れるほどあった気がするが?お金の使い道は基本的食料ぐらいだし。

各々の換金分はともかく、ファミリアの資産の分配は、食料、備品の調達、滅多にないが修理とか。あとは主神であるヘスティアの小遣い分。本当はこの中に武器と防具の調達があるが、素材を提供するかわりに椿が作ってくれるし、ヴェルフも作ってるし。

ファミリアの資産は貯まる一方だ。

 

アル「ありがとう、子供達。苦しい戦いになるだろう。犠牲者も出るかもしれない。しかし!成し遂げてほしい!私たちの愛する下界のために!」

 

「「「おおぉぉっ!!」」」

 

バル「っ!」

 

俺はある物を勘づいてそれのもとに接近した。

 

スパンッ

 

ギイイィィィィ!

 

アスフィ「なっ!?モンスターが奇襲!?」

 

勘づいてたものはサソリ型のモンスターだった。いや、アンタレスの眷属と言った方が正しいか?

 

「構うか!予定通りだ!」

 

「確かに!ちょっと早くなっただけってな」

 

そのセリフを皮切りにヘルメス・ファミリアはモンスター達を襲い始めた。

 

「アスフィ行け!ここは俺たち任せろ!」

 

レン「バルも急げ!」

 

バル「任せたぞ、レン!」

 

俺たちはヘルメス・ファミリアによってできた道を走って通る。そして、そのまま遺跡に向かった。

 

 

走っていると、遺跡が見えてきた。

 

リリ「こんな遺跡があったなんて……」

 

ヴェルフ「デケェ……」

 

俺もこんな古い遺跡があったことに驚きだ。

 

アイ「歴史に忘れられた古代の神殿、ってところかな」

 

ベル「……静かですね」

 

バル「あぁ、本当にな。まるで、嵐の前の静けさみたいだ……」

 

この静けさは嫌いだ。何か良くないことが起こりそうな、そんな予感を感じるからだ。

 

アスフィ「先ほどの奇襲のこともあります。油断しないでください」

 

リュー「行きましょう」

 

リューを先頭に、俺たちは遺跡の中に入る。

遺跡の中は暗いかと思いきや、壁、床、天井。そこらじゅうの隙間から発光していた。

 

バル「この光は?」

 

アル「封印の光だ。これを施したのは私に類する精霊達。いわば、私の最も古い眷属だ」

 

バル「そんな昔からか……」

 

しばらく進むと

 

リュー「着きました。ここが、お話しした封印の門です」

 

話にあった固く閉じられた門に着いた。

いよいよだ。俺も含めて全員がいつでも戦闘に入れるように準備をする。

アルテミスが門の前に進み、手をかざす。するとアルテミスから恐らく神威の光が溢れ出る。そして、門はゆっくりと開いた。そこには……

 

アル「ハッ……」

 

アイ「これは……」

 

アスフィ「神殿に寄生している……!」

 

そこら中が根みたいなもので張り巡らされ、所々に悪いものがある。

 

アル「そんな……」

 

ヘル「まさか、ここまでとは……」

 

グチャ

 

物音がして後ろを見ると

 

アスフィ「出口が!」

 

「「えっ!」」

 

何かが出口を塞ぎ、退路を断たれた。さらに

 

バキ

 

ギイイィィィィ

 

バル「壁にあるものは卵だ!」

 

ベル「これ全部が!?」

 

出口を塞がれ、前からはモンスターが次々に現れる。こう言うのを絶体絶命というのか?まぁ、俺たちには関係ないが。

 

バル「突破するぞ!」

 

俺たちはモンスターを斬り払いながら前に進む。だが

 

ヘス「うわあっ!」

 

ベル「っ!ヘスティア!」

 

スパンッ

 

時間差で上から現れたモンスターによって足を止められる。その間にも、モンスターは次々と現れていく。

 

アスフィ「爆鱗!」

 

ドオォンッ

 

ギイイィィィィ……

 

アスフィ「なっ!?威力を抑えたとはいえ、あれを耐えるのか!?」

 

ヘル「自己増殖、自己進化……この中では、それすら異常なスピードで進むというのか……!」

 

ギャアアァァ!

 

進化した個体一体に無限に出てくる個体。これは、重砲を出した方がいいな。

 

アイ「任せて」

 

アイは前に出て弓を構える。

 

アイ「『小魚之群』」

 

シュパッ

 

ドドドドドドドドドドッ

 

アイの放った水の矢は無数に分かれて高速で飛んで、モンスターと卵を破壊していく。

 

ヴェルフ「やったか!」

 

アイ「……ん、まだ残ってる」

 

リュー「ここままでは、ダンジョン以上に……!」

 

side out

 

 

 

 

パキッ

 

エイナ「あっ。割れちゃった。気に入ってたのに……」

 

「どうしたの?浮かない顔して」

 

エイナ「あぁ、これ」

 

「あちゃー、見事に割れちゃったね」

 

エイナ「うん。気に入ってたんだけどな〜」

 

「そういえば、エイナの旦那様全然来ないね」

 

エイナ「うん。ヘルメス・ファミリアのクエストを受けてオラリオの外にいるの」

 

「へぇ〜って今冒険者はオラリオの外に出ちゃダメって指令出てなかったっけ?」

 

エイナ「うん……(大丈夫だよね?いつものように帰ってくるよね?)」

 

「大変だ〜〜!!」

 

エイナ「何事!?」

 

「……ん……ぐん……」

 

エイナ「え?」

 

「援軍だ!俺たちじゃもう耐えきれねぇ!他の冒険者を……いや、第一級冒険者を!」

 

エイナ「落ち着いてください!何があったんですか!」

 

「モンスターが……ダンジョンのモンスター達が暴走してやがる!このままじ……大変なことになってしまう!」

 

エイナ「っ、わかりました!(ベル君……)」

 

 

 

 

バルside

 

ボオオォォォォ

 

バル「チッ、しつこい!」

 

アイ「大丈夫?バル」

 

バル「これくらいは問題ない」

 

ギュオオオオォォォォォ!!

 

リュー「これが……」

 

アスフィ「……近い」

 

ヘス「アルテミス……」

 

アル「大丈夫だ。進もう」

 

アルテミスは少し覚束ない足で進む。

 

 

しばらく歩いて、遂に最奥。アンタレスのいるもとに着いた。そのアンタレスの気配を探ると

 

バル「チッ、やっぱりか!」

 

キエェェェアアアァァァァァァァ!!

 

よく見ると、アンタレスから漏れ出る何かが空に、正確には月に向かっていた。

 

アル「ぐっ……!」

 

バル「アルテミス!」

 

アルテミスが胸を押さえてうずくまる。

 

アル「撃ってくれ……お願いだ、オリオン。あれを……!」

 

アンタレスの胸部が開き、そこからコアらしきものが現れる。そこには……

 

ヘス「うっ……くっ……!」

 

リリ「ウソ……」

 

ヴェルフ「なんでだよ……!」

 

アイ「……」

 

アスフィ「こんなことが……」

 

ベル「何故……何故あそこにアルテミス様が……」

 

そう、アンタレスのコアの中にアルテミスがいたのだ。

 

キエェェェアアアァァァァァァァ!!

 

アンタレスが咆哮を上げると、アンタレスから月に向かって黒い光線が放たれた。そしてここに来た時の矢の雨が降った。

 

ドドドドドドドドドドッ

 

side out

 

 

アスフィ「どういう事ですか!何故モンスターがあの力を!」

 

ヘル「アルテミスが、喰われたからだ」

 

アスフィ「なっ……」

 

ベル「ハッ、バル兄は?バル兄とアルテミス様は?」

 

アイ「ここにはいない。多分、下にいると思う」

 

 

 

バルside

 

バル「これは……」

 

俺の前には血だらけで、死に絶えた冒険者がいた。

 

アル「私の子供達だ」

 

バル「アルテミスの……」

 

アル「私は見ているしかなかった。私を喰らった奴が、子供達を殺すところを。私自身の手で殺されるところを」

 

アルテミスは倒れている一人のところにしゃがみ、頬に触れる。

 

アル「オリオンは、気づいていたのだな」

 

バル「モンスターの魔石を見て確信した。それまでは何故矢とアルテミスが同じ気配がするのか謎だった」

 

アル「そこまでわかってしまうか。私は矢に宿る思念体。いわば残滓だ。私を取り込んだアンタレスは、全ての理を捻じ曲げる」

 

side out

 

 

 

ロキ「なんや?あれは」

 

フレ「アルカナムでしょう。そして……あれはアルテミスの矢。純潔の女神が放つ天界最強の矢」

 

ロキ「んなことはわかっとるわ!下界であんなデタラメな力、明らかなルール違反や!アルテミスの阿呆が使うとるなら、とっくに天界に送還されとるはずやろ!」

 

フレ「十中八九、何かに囚われたのでしょう。あのアルテミスは明らかにおかしかった。器に対し、魂が小さすぎるとでもいうのかしら」

 

ドオオォォンッ

 

ロキ「……ダンジョンが震えとる」

 

フレ「怯えているのでしょう。あれが発動すれば、下界なんて吹き飛ぶもの」

 

ロキ「……おたく、随分と余裕そうやな」

 

フレ「フフフ、だってバル様がいるもの。あの方が動かないわけないでしょ?」

 

ロキ「……あぁ、そうやったな。ホントはうちらがケジメをつけなあかんけど、バルに任せるしかないか。はぁ〜あ。全部バルに任せるっちゅうのは辛いなぁ……」

 

フレ「……そうね。わたしにはバル様の心の傷を癒すことしかできない。こんなにも無力な自分を恨んだのは初めてだわ」

 

 

 

 

 

ヘル「倒す方法は一つだけだ」

 

リュー「あの槍ですか」

 

ヘル「バルが度々言ってたが、あれは正確には槍ではなく矢だ。アルテミスが取り込まれる前、……いや後から。アルテミスは残されたわずかな力であの矢をこの地に召喚した」

 

ヴェルフ「神造武器……」

 

リリ「神造武器?なんですか、それ?」

 

ヴェルフ「へファイストス様に聞いたことがある。天界に存在する神々をも殺す武器」

 

ヘル「その名はオリオン。神々の言葉で『射抜く者』という。アルテミスを喰らったアンタレスは矛盾した最悪。葬るには理を捻じ曲げるあの矢でないとダメだ」

 

アスフィ「待ってください!」

 

ヘル「アスフィ……」

 

アスフィ「それはまた……またバル様に世界の命運を預けると言うのはですか!?」

 

ヘル「それしか、ないんだ……」

 

ガシッ

 

アスフィ「っ!それでも!彼に……私の夫に!神殺しの大罪を背負わせるおつもりなんですか!」

 

ヘル「神殺しは……」

 

アスフィ「今回はあの時とは違います!神ディオニュソスの時とは違います!何も悪さをしていない、一柱の神を葬るなど……!」

 

ヘル「違うよ。違うんだ……これはそういうお話しじゃないんだ……」

 

 

 

 

バルside

 

あぁ、本当に……お前はどこまで俺を悩ませるんだ。倒すのは簡単?それはそうだ。ラースよりずっと弱いからな。倒すだけなら……

 

バル「アルテミス」

 

アル「オリオン?」

 

バル「あの夜に俺は英雄譚に出てくる全てを救う英雄に憧れてると言ったな」

 

アル「たしかに言った」

 

バル「全てを助けるなど傲慢なのだろう。だが、俺はそれに憧れた。そして身近のものは必ず救うと決めている。アルテミス、それはお前も例外ではない」

 

ズドオオォォンッ

 

アルテミスと話している時にちょうどアンタレスが降りてきた。

 

バル「だから……」

 

俺は矢を地面に突き刺して太刀を取り出す。

 

バル「俺はお前を救うために精一杯動く。もし、それが失敗したらいくらでも文句を聞いてやる!」ダッ

 

アル「オリオン!」

 

俺はアルテミスの制止を無視してアンタレスに突撃する。

 

バル「そりゃっ!」

 

ザクッ

 

バル「チッ、思ったより硬い!」

 

アンタレスを斬りつけるが、あまりの硬さに斬りきれなかった。

 

キエェェェアアアァァァァァァァ!!

 

アンタレスは触手を俺に向かって放つが、俺はそれを避けてアンタレスの頭部に向かってジャンプした。

 

バル「せいっ!」

 

ドゴンッ!

 

キエェェェアアアァァァァァァァ!!

 

アンタレスの頭部にアッパーを打ち、アンタレスは怯んだ。そのままアルテミスのいる胸部も殴りつけるが

 

ドゴッ

 

少し凹むだけで全く効いていなかった。

 

ドゴンッ

 

バル「チッ!」ズザザザー

 

油断した先にアンタレスに殴られて後ろに吹き飛んだ。

 

ギュイイィィ

 

アンタレスは光線を溜め始めた。俺は翼脚を出して受け止める準備に入る。

 

ドオオオォォォォォォォ

 

受け止めるために身構えた瞬間

 

ギイイィィィィ

 

俺の前で誰かが光線を受け止めた。それは……

 

バル「なっ……アルテミス!」

 

アル「お願い、オリオン!あなたが私を救おうとしてくれるのは嬉しい。だけど、私の矢があなたを射抜く前に、あなたの矢で……」

 

バル「アルテミス!」

 

俺は必死にアルテミスに向かって手を伸ばす。しかし

 

パアンッ

 

バル「な……」

 

手が届く前に、アルテミスは消えてしまった。

届かなかった。そんな後悔の念が波のように押し寄せてくる。

 

ベル「バル兄!」

 

バル「ベル……」

 

ベル「大丈夫?」

 

バル「なんとか、な……」

 

ベル「……どうする?」

 

ベルがそう聞く。どうする、か……答えは一つしかないよな。

 

バル「こんな頼りない兄だが、手伝ってくれるか?」

 

ベル「勿論!」

 

アイ「私も忘れないで」

 

リリ「リリもです!」

 

ヴェルフ「バルは団長なんだから団長命令を出せばいい」

 

バル「フッ、そうかもな」

 

こんな時に思うことじゃないが、オラリオに来てよかった。

俺は目を瞑って覚悟を決める。

 

 

 

 

チリーン……

 

 

 

 

すまない、アルテミス。俺にお前を救う術はない。

俺は、やりたくなかった最悪の手段を選ぶ覚悟を決めた。そして俺は瞼を開ける。

 

バル「みんなはアンタレスの攻撃を引きつけてくれ。そこに俺が矢を打ち込む」

 

ヘス「バル君」

 

ヘスティアが矢を持って俺に近づく。

 

ヘス「アルテミスの愛したこの世界を、泣いているアルテミスを救ってくれ!」ポロポロ

 

ヘスティアは涙を流しながら俺に言う。

救う、か……これはアルテミスを救う行為ではない。だが、その思いは引き受けた。

 

バル「任せろ」

 

全くの嘘だ。

俺はヘスティアから矢を受け取る。

 

バル「いくぞ!」

 

「「「「おおぉぉっ!」」」」

 

キエェェェアアアァァァァァァァ!!

 

アイ「させない!」

 

シュパッ

 

ベル「はぁっ!」

 

ザンッ

 

ヴェルフ「そりゃ!」

 

ガキンッ

 

アスフィ「爆鱗!」

 

ドオォンッ ドオォンッ

 

リリ「とりゃあっ!」

 

ドゴンッ

 

キエェェェアアアァァァァァァァ!!

 

ベル達は迫り来る触手を退け、リリが急接近してアンタレスの頭部に大打撃を与える。さらに

 

アイ「みんな離れて!」

 

アイの合図で全員が離れた瞬間にアンタレスに巨大な水球が当たり、アンタレスはずぶ濡れになる。

 

アイ「しびれろ!」

 

アイはさらに電気の矢を放った。

 

ビリビリビリッ

 

ギェアアァァァァァァ!!

 

それによってアンタレスは痺れて麻痺した。その隙に俺は走り出す。持っている矢に龍氣を纏わせながら走る。

 

キエェェェアアアァァァァァァァ!!

 

ドオォンッ ドオォンッ

 

それでもなおアンタレスは光線を放つが、俺はそれを悉く避ける。

 

魔獣アンタレス。俺は貴様を一生恨む。俺が唯一、救うのを諦めたアルテミスを喰らった魔獣。

 

俺はアンタレスのそばまで近づいて、矢を構える。アンタレスも最高の技を撃つ準備に入った。

 

キエェェェアアアァァァァァァァ!!

 

バル「うおおおぉぉぉぉ!!」

 

 

 

ヘル「君に押しつけてすまなかった。君なら、バルならこんな結末を変えてくれるだろうと思ってた……恨むなら恨んでくれ。ただ、これは君が神を殺す物語ではない。泣いている女の子を助ける物語なのだ」

 

 

 

キイィィンッ

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

バル「消し飛べぇぇぇ!!」

 

パキンッ

 

ドオオオォォォォォォォンッ

 

 

矢を撃ち込んだことでアンタレスはほぼ瀕死。アルテミスのいるコアの部分は剥き出しになっていた。

俺はコアに向かって太刀を取り出しながら歩き出す。

 

アルテミス。俺はやはりこの結末は納得できない。だが、方法はなかった。こんな情けない男で悪かった。

お前と過ごしたこの数日は、すごく楽しかった。出来ることなら、お前と共の生きたかった。

 

俺はコアの前にたどり着いて太刀を添える。

 

ありがとう、アルテミス。愛している。

 

バル「おおおぉおおぉぉ!!」

 

俺は太刀に力を入れた。コアは砕け散り、そしてーーーアルテミスの胸を貫いた。

 

ありがとう、オリオン。

 

アルテミスの、そんな言葉が聞こえた気がした。

 

 

side out

 

 

 

どこかの星空の下。

 

バル「アルテミス」

 

アル「知っているか?神も死んだら生まれ変わるんだ」

 

バル「っ……」

 

アル「だから笑って。また出会うために」

 

バル「それは、いつだ?」

 

アル「さぁ?100年後か、1000年後か。ひょっとしたら10000年かかってしまうかもしれない」

 

バル「その時までアルテミスを待てと。果てしない苦労を強いてくるな」

 

アル「でも、きっとあなたが私を見つけてくれる。きっと、あなたとまた巡り合える」

 

バル「……」

 

アル「だからーーー」

 

 

……違う。 パキッ

 

 

アル「次に会った時はーーー」

 

 

違う。パキパキッ

 

 

アル「10000年分の恋をしよう。バル!」

 

 

 

違う! バキンッ

 

 

世界に亀裂が入った。

 

 

 

これは俺の望んだ結末じゃない! バキバキッ

 

 

 

 

世界は徐々に崩壊していく。

 

 

 

 

あぁ、もうすぐで取り込まれるところだった。待っていてくれ、アルテミス。必ず。お前を救ってみせる。

 

 

 

ありがとうな、■■(語り手)

 

 

 

世界の崩壊と共に軽くお辞儀をする男が見えた気がした。まるで、「お気になさらず」とでもいうかのように……

 

 

 

 

 

 

to be continue……




今回はここまで。
この章を書くにあたって、ずっと最後の部分をこうしたかった。
ネタバレを言いますと、チリーンという音の後は全部バルの予知です。
思ったより長くなりました。私の予想では4,000字程度だったのに……


それはさておき、次はついに最終話です。ではでは、次回予告をどうぞ!
ヒャイイイィィィ ヒュウウウゥゥゥ
よっと。ここにくるのは久しぶりだな。バル・クラネルだ。早速次回予告だ。
予知であり得た未来を知った俺は、そうさせない為に全力で結末を捻じ曲げる。
俺はアルテミスを救えるのか。物語の結末はどうなるのか。
次回、赫銀の龍神と月乙女の恋
お楽しみに〜
シュドオオオオォォォン
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