異常を知らせるアラートが、室内に響き渡る。
書類やら道具を腕に抱え、逃げ惑う白衣を着た人達。
此処は、アメリカある《米研究所FIS》と呼ばれる極秘の研究施設。
この日は、完全聖遺物《ネフィリム》と呼ばれるモノを起動する実験が行われていた。
実験結果は失敗。ネフィリムが暴走し、あちこち燃え始めていた。
研究者達は、自分が助かるために我先にと施設から逃げ出す。
「セレナァーーー!!」
ピンク色の髪をした女性が、炎に遮られた道を見て絶望の叫びをあげる。
炎に遮られた道の先、そこでは鎧を着た少女と巨大な影・ネフィリムが居た。
少女の名は《セレナ・カデンツァヴナ・イヴ》。彼女は自身の纏う鎧の最終奥義《絶唱》を使い、
ネフィリムの暴走を止める為、自分の意思でここに居る。
しかし絶唱は、自身の命を落とすリスクのある物。仮にネフィリムが動きを停止したとしても、
彼女は炎に焼かれるか、建物の崩壊に巻き込まれ死亡するだろう。
それは13の少女も理解していた。それでも彼女は、家族を守るためにここに居る。
「グガァァァァァァ!!」
「!?」
ネフィリムはセレナが危険だと感じて、攻撃を仕掛ける。
絶唱を歌い始めようとしていた少女は、躱すことが出来ずに目を瞑る。
「・・・助けて・・・」
小さく弱弱しい声。この場所に通ずる道も既にふさがっていて誰も来るはずがない。
それが分かっていても、少女は助けを求めた。
「・・・っえ?!」
いつまでも来ない衝撃に疑問を感じて、恐る恐る目を開ける。
「よっと。大丈夫か、嬢ちゃん。」
そこにはセレナと同い年くらいの少年が、銀色の銃らしき物を手にし顔だけセレナに向けていた。
ついさっきまで居なかった少年の存在。その事に動揺しながらも、ゆっくりと首を縦に振る。
セレナの反応を見た少年は、視線をネフィリムに向ける。
「じゃ、さっさとあいつ倒して、此処から脱出しますか。」
「待ってください!ネフィリムは、シンフォギアじゃないと!」
「っふ。まぁ、見てなよ。」
セレナの言葉を遮り、少年は右手の中指にはめていた、
手の模様がある指輪を、同じ模様があるズボンのベルトにかざす。
〈ドライバーオン!プリーズ!〉
「え?」
音声と共に魔法陣現れ、ベルトが変化する。
〈シャバドゥビ タッチ ヘンシン!シャバドゥビ タッチ ヘンシン!シャバドゥビ‥‥〉
左右のレバーを動かし、手の向きを左向きに変える。
するとベルトから不思議な音声が流れ始める。
少年は懐か赤いルビーのような宝石がはめ込まれた指輪を、左手の中指にはめる。
「変身!」
先程はめた指輪の上パーツを右手で、下にスライドさせる。
指輪はまるで顔のような模様に変わる。
〈フレイム!プリーズ!〉
「グガァァァァァァ!!」
少年の動きに危機感を感じたネフィリムが、少年に拳を振るう。
「あぶな、ぃ…」
少年は左手をネフィリムに向ける。すると赤い魔法陣が現れ、ネフィリムを吹き飛ばす。
〈ヒー!ヒー!ヒーヒーヒィー!!〉
魔法陣は少年を通過し、少年の姿を変える。
黒いロングコートに身を包み、胸にはルビーを思わすアーマー、
顔にもルビーを思わす丸い宝石、縁取りにより顔に見える。
「あなたは・・・?」
文字通り、変身した少年を見たセレナが呟く。
「魔法使い、ウィザード・・・」
堂々と名乗りをあげ、左手の指輪をネフィリムに見せつけるように顔の横に持ってくる。
「さあ、ショータイムだ!」
今、魔法使いによる。