「せいっ!」
気合と共に少女が少年の面を目標に竹刀を振るうも、少年は難なくそれを竹刀で受け止める。
少女の攻撃は止まらず、胴を狙うもそれも少年は難なく防ぐ。
試合を開始してからかなりの時間が経っており、傍から見れば少年の防戦一方であるのだが、
実際は少女の攻撃は全て防がれており、恐ろしいことに少年は試合開始から一歩も動いていないのである。
「もうそろそろやめないか?」
少年、南雲ハジメがそう言うも、少女、八重樫雫は攻撃を続ける。
「今日こそ・・・今日こそ勝つんだから!」
そう言う雫にハジメは内心でため息をつき、そろそろ終わらせるかと考える。
雫が胴を狙って竹刀を振るよりも早く、ハジメの竹刀が雫の面を叩く。
「一本!それまで!」
審判を務める雫の父親が宣言する。
「あ~、今日も負けた!」
悔しそうに言いながら面を取る雫に対し、ハジメは面を取りつつ、
「まあ、そういうなって。前より剣筋が鋭くなってるぞ」
「それでもハジメに勝てなきゃ意味ないじゃない」
不機嫌な顔で雫が応じる。
「はは。まあ、『剣術無双』に勝つにはまだまだ修行が足りないな」
笑いながら雫の父親が話す。
「その『剣術無双』っていうのはやめてくださいよ」
「しかし、未だに試合じゃ無敗だから皆が『剣術無双』と呼んどるんだぞ」
「まだまだの身ですよ」
(それにこれはチートもあるからな)
そう思いつつこれまでの人生に思いをはせる。
ハジメには前世の記憶がある。
ハジメの前世は傭兵であり、世界各地で戦い続けてきた。
最後は銃弾が胸を貫き死んだ。
しかし、ハジメが気が付くと白い空間におり、そこには一人の人物がいた。
「あなたは?」
「ようこそ、■■■■。我はインドラなり。帝釈天の方が通りがよいか」
!!
驚きと同時に、■■■■は跪いた。
■■■■は帝釈天を信奉していたからだ。
「帝釈天様が私ごときに何用で?」
「お主のこれまでの我への信仰と、その戦いぶりが気に入ってな。
生き返らせることはできぬが、別の世界に転生させよう。無論特典もつけてな。
さて、特典は何を望む?」
「帝釈天様。その世界は危険な世界なのでしょうか?」
「そうさな。それこそ我を倒す必要がある位にな」
「・・・それならばFGOの力を求めます」
「ほう、そうきたか。あれならば神殺しも可能よな。
よかろう。その力を授けよう。簡単に死ぬなよ?」
「はっ!。ありがとうございます。」
「では行くがよい。■■■■。お主の人生に幸あらんことを」
そしてハジメは誕生した。
それからは驚きの連続であった。
最初にしたのはステータスの確認であったのだが、これが凄まじかった。
龍の心臓にアルジュナ・オルタと同じくインドの全ての神を吸収、筋力などのステータスが全てEX。
全身が魔術回路となっていた。
宝具、スキル、魔眼も全てあり。
これを見たハジメは驚きと同時に不安も覚えた。
この世界ではこれほどの力が必要なのかと。敵はどれほどの強さなのだと。
そして、赤ちゃんとなった自分の横の生物に目を見張った。
「フォウ?」
FGOに出てくるフォウがいることに。
フォウを見たハジメはオン/オフ可能なスキルの中で、すぐに千里眼のスキルを発動。
カルデアや魔術塔がないかすぐに調べた。
しかし、カルデアはおろか魔術塔、アトラス院といったものが無かった。
このことからここがFGOの世界でないことを確認。ひとまず安堵した。
魔術塔があったら即座に封印指定まっしぐらだからだ。
そうなるとこの世界はどこの世界か分からず考え込むハジメ。
なぜかいるフォウも気になる存在だ。
その時フォウがビー玉のような球をこちらに転がしてきた。
それを受け取ると頭の中に情報が流れ込んできた。
ここが現代日本であり、自分の名前が南雲ハジメであること。
家族構成や社会情勢など様々な情報が頭に入っていく。
最後にインドラからのメッセージとして、
『己を鍛えよ。そうでなければ死ぬぞ』と。
このメッセージを見てハジメは何としてでも生き残ると決めた。
流石に二度も途中で死ぬのは御免だ。
その為には鍛えねば。だが、今は赤ちゃん。
歩けるようになってからだなと考えた。
皆さん正月のガチャはどうでしたか? 私はアビーで爆死しました。