ありふれたFGOで世界最強   作:妖怪1足りない

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幕間の物語:論戦

それはステータスプレートの作成の翌日に遡る。

 

愛子先生が「やっぱり戦争はダメです!」と言い出したのだ。

 

多くのクラスメート達がやれやれまたかと思ったが、

 

一部のクラスメートがこれに同調。戦争反対を言い出したのだ。

 

これに光輝を始めとした主戦派は説得しようとしたが、

 

非戦派はハジメを本人の同意なしに、神輿に担ぎだしたのである。

 

 

 

実は異世界召喚前からハジメのクラスは三つの派閥に分かれていた。

 

光輝を中心とした光輝派、ハジメを中心としたハジメ派、

 

どちらにも属さない中立派である。

 

華がありリーダーシップを取ってきた、光輝が一番クラスで影響力があったが、

 

ごく普通の顔で物静かな為、華々しくはないが、

 

その能力で各方面に影響を与えるハジメが二番目に影響力があったのだ。

 

そして、愛子先生と同じくいち早く非戦を唱えたハジメをリーダーにしたのだ。

 

頭を抱えたのはハジメである。愛子先生と同意見だから賛成したのであって、

 

ハジメ本人にリーダーになるつもりはない。

 

そもそもハジメ派なるものが存在していること自体初耳だった。

 

とは言えクラスメート同士がいがみ合う自体は避けたかった。

 

前世の傭兵団でもその調整に苦労したのである。

 

戦場での仲間割れなど愚の骨頂である。

 

ハジメは光輝の元に赴き、代表者による論戦を提案。

 

クラスの意思統一を図るべきと持ち掛けた。

 

光輝もこれに同意し、代表者による論戦が開かれることになったのである。

 

 

 

王宮の会議室は生徒達が左右の席に分かれて座っていた。

 

主戦派が右側に座り、非戦派は左側に座った。

 

中立派は主戦派側の方が圧倒的に多かった。

 

会議は両者、代表を出しての論戦形式となった。

 

主戦派側は光輝、非戦派側はハジメである。

 

光輝は以前の通り、人間族の救済がなれば、

 

エヒトが元の世界に還してくれるかもしれないと主張。

 

それに対しハジメは、それまでにクラスメート達が何人死ぬのか。

 

救済に成功しても還れる確証はないと主張。

 

両者の意見は平行線を辿った。

 

ハジメは元から光輝の正義感と思い込みの激しさから、

 

意見は合わないと判断。いわば非戦派のガス抜きを狙い、

 

主戦派の意見に渋々ながら同意という方向で行こうと考えていた。

 

しかし、光輝の一言がハジメの逆鱗に触れた。

 

 

 

仮に仲間が裏切っても許すといったのだ。

 

この言葉にハジメは激高。

 

テーブルに拳を振り下ろし、破壊すると、

 

鬼神もかくやの表情を浮かべ、こう答えた。

 

「勝手な金策、私闘、仲間の裏切りは、仲間といえども俺が殺す!!!」と。

 

これはかつて前世で傭兵団を束ねた時の、鉄の掟であった。

 

そうしなければ癖の強い傭兵達を、束ねられなかったのである。

 

この時ハジメは怒りのあまり、無意識にスキル『カリスマ』がオンになり、

 

ハジメの怒りの感情と相まって、

 

部屋にいる全員に凄まじいまでのプレッシャーを与えた。

 

気絶する者、呼吸困難に陥る者などが次々現れた。

 

光輝はハジメの表情に顔が真っ青になり、

 

雫は長年の付き合いの中で、

 

見たことのないハジメの怒りの表情に恐怖し、

 

香織、愛子先生に至っては気絶していた。

 

皆が皆普段は物静かな、ハジメからは想像できない怒りの表情に、

 

純粋な恐怖を感じた。

 

それが数秒続き、ハジメがハッと気付き、『カリスマ』を解除。

 

その瞬間、部屋の空気が元に戻り、皆ゼーハーと息をしていた。

 

ハジメはバツの悪そうな顔をし、

 

「すまない。論戦は怒りで我を忘れた俺の負けだ」と言い、席に座った。

 

こうして一応戦争に参加するということで意見はまとまったが、

 

皆がハジメを絶対に怒らせてはいけないという点では、

 

心の中で一致したのは言うまでもない。


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