ありふれたFGOで世界最強   作:妖怪1足りない

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肉体改造

 「さて、これから戦闘訓練をする」

突然のハジメの言葉に戸惑うハウリア族達。

「どうせ十日間は大樹に行けない。それまでにお前達に強くなってもらう」

「そ、それはどういうことで?」

尋ねてきたカムにハジメは答える。

「ハウリア族との契約は大樹への案内までだ。俺達がいなくなった後、お前達はどうする気だ?

フェアベルゲンを追い出され、頼るべき者もいない。一族全滅だぞ?」

「・・・・・・・・・」

ハジメの言葉に沈黙するハウリア族一同。

いや、考えないようにしていたのか。

「とはいえ十日で出来ることは限られる。そこでだ。まずユエ。シアの特訓に付き合ってくれ」

「・・・・・・ん」

ハジメの言葉にユエはうなずく。

「他のハウリア族は俺が作ったテントの中に呼ばれたら一名ずつ入ってくれ。

ベッドが中にあるからそこに横になってくれ。俺が眠らせて処置を施す。

起きたら一日目は終了だ」

 

 「すいません。ハジメさん。処置ってなんです?」

シアの言葉にハジメは顔を向ける。そして祈りを捧げ始めた。

「我が父よ今から行うことを許したまえ」

「ハジメさん!? 何をしようとしてるんです!?」

「・・・・・・十日後にわかる。ユエ、シアの特訓頼んだ。ほら行って来いシア」

「むう。ちゃんと教えて下さいよ!」

そう言って二人は別の場所に移動した。

 

 「それじゃあカムから始めるから中に入ってくれ」

「お兄ちゃん、痛くないの?」

そう聞いてきた少年にハジメは返事を返す。

「大丈夫だ。問題ない」

そう言って、ハジメはテントに入り、カムをベッドに寝かせる。

「寝てるだけでいいのですか?」

「ああ。今から睡眠の魔術を使うから、寝てる間に終わる。今日の訓練はそれで終了だ」

「それで強くなれるのですか?」

いぶかしむカムにハジメは答える。

「ああ。問題ない」

そう言って、ハジメはカムを眠らせる。

そして、スキル『カリスマ』、『神性』をオンにすると、処置を始める。

「まずは神経系だな。これの一部を魔術回路にして・・・」

神の権能を駆使して処置を始めるハジメ。

 

 それから十分後・・・

「起きろカム。終わったぞ」

そして起きたカムだが身体に特に変化はない。

「何も変わってないようですが・・・」

「全員に処置が終わってから説明する。とりあえずそこの出口から出てくれ」

「はあ・・・」

特段の変化がないことにいぶかしむも外に出るカム。

「次の人どうぞ」

ハジメは次のハウリア族を呼ぶ。

こうして次々とハウリア族に処置を施すハジメ。

この日、ハウリア族はシアを除いて絶滅した。

 

十日後、大槌を担いでご機嫌なシアと、不機嫌なユエが帰ってきた。

「ハジメさん! ついにユエさんに勝ちましたよお!」

「ほう。ユエ。シアをどう見た」

「魔法適性は低い」

「むう。宝の持ち腐れというやつか。だが、そんな大槌担いでいる以上何かあるんだろ?」

「・・・・・・ん。身体強化に特化してる。正直化け物レベル」

「なるほどね・・・」

「ハジメさん! 私をあなたの旅に連れていって下さい!」

「・・・断る」

「なんでですか!」

「今のシアの実力なら大概の事は切り抜けられるはずだ。わざわざ死にに行くような旅に出る必要はない」

ハジメからはきっぱりと断るという意志が見て取れた。

「で、ですから、それは、その・・・・・・」

「・・・・・・」

シアの言葉を待つハジメ。

「傍にいたいからです! 好きなので!」

「・・・・・・は?」

言葉の意味を理解したハジメは問いただす。

「シア。何か変な物を食べたんじゃないのか? 毒キノコとか」

「食べてません!」

「待て待て! どう考えてもおかしいだろ。どこに恋愛要素があったんだ?

と、とにかく俺にはユエがいるわけだし」

「・・・・・・・・・・・・ハジメ、連れて行こう」

「は? ユエ? もしかして賭けたのは・・・」

「・・・・・・無念」

ユエはがっくりと肩を落とした。

 

 「はあ・・・わかったよ」

シアの気持ちの強さを察してかハジメも諦めた。

「ところで父様達は?」

疑問を投げかけるシアにハジメは答える。

「最終課題の魔物の討伐だ。・・・まあ、問題ない」

そう言いつつ、スッと眼を逸らすハジメ。

そして、霧の中から数人のハウリア族が姿を表す。

その中にカムを見つけ、シアが声を掛けようとしたが思いとどまった。

何かが違うからである。

「団長! 最終課題の素材持ってまいりました!」

カムが踵をビシッと揃え、ハジメに敬礼する。

ハジメも踵をビシッと揃え答礼を返す。

「ご苦労。だが、俺は一体だけでいいと言ったはずだが?」

素材の量が明らかに複数体分あるからだ。

「はっ!最初は一体のみでしたが、仲間を呼んでわらわら出て来たので、反撃した次第であります!」

「キッチリ全滅させてきました!」

「実に骨の無い奴らでした!」

これを見てシアは呆然と呟く。

「・・・誰?」

 

 「ハジメさん!? 父様達に何をしたんですか!?」

「落ち着け。口調が変わっているだけだろ」

「いやいやいや!? 顔つきとか変わってるじゃないですか! あれじゃまるで肉食獣じゃないですか!」

「・・・・・・大して変わってないだろ」

「ちょっと眼を合わせて答えて下さい! 一体みんなになんの処置を施したんですか!」

「・・・神の権能を使って、筋力、神経速度等の肉体改造。他に精神面で攻撃性を高めたりした。

それと神経回路を少しいじくって、魔術回路にして固有魔法を使えるようにした」

「何してるんですかあああーーーーー!? ハジメさん非人道的行為ですよそれ!?」

「ふっ・・・神に人道を求めるのが間違っている。あれはもうハウリア族ではない。スーパーハウリア族だ」

「カッコつけて言うセリフじゃないでしょう!? なんですかスーパーハウリア族って!?」

「具体的にいうなら完全武装した熊の亜人十人を、一人で仕留められる位の力を持たせた。これで安心だ」

「別の意味で不安ですよ!? 父様正気に戻って下さい!」

シアの言葉にカムは頬を緩めた。一瞬安心するシア。

「落ち着きなさいシア。私達は正気だ。ただ、団長のおかげでこの世の真理に目覚めただけだ」

「この世の真理?」

嫌な予感がするシアに笑顔でカムは言葉を返す。

「この世の物事は力で大半は解決できる」

「うわあーーーーん!? やっぱり優しい父様は死んでしまったんですぅ~!」

「・・・・・・ハジメこれどうするの?」

そう尋ねるユエに対し、「悪いとは思う。だが、俺は謝らない」

この返事である。


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