ありふれたFGOで世界最強   作:ヘルメス・トリスメギスタス

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ホルアド再び

 左手側のライセン大峡谷と、右手側の雄大な草原に挟まれながら、

虚数潜航艇シャドウ・ボーダーが、太陽を背に西へと走っていく。

現在はシアが運転している。性格が少々変わるという難があるが。

ハジメはミュウの世話を焼いていた。

すっかりパパ呼びされているが、前世ではこの位の子がいても不思議ではなかった。

元が子供好きもあって、すっかりパパ化してしまっている。

そして、ハジメ達一行は宿場町ホルアドに到着した。

本来なら素通りしても良かったのだが、フューレンのイルワから頼み事をされたので、

それを果たすために寄り道をしたのだ。

 

 「四ヶ月か・・・」

「・・・・・・ハジメどうしたの?」

「いや、迷宮で奈落に落ちてから四ヶ月。たった三文字だが長く感じたのさ」

「ふむ。ご主人様はやり直したいとは思わんのか?」

「ない。仮にもう一度同じことが起きても、同じルートを辿る」

明確な口調でハジメは言った。

「ほう・・・・・・なぜじゃ?」

「もちろんユエに会いたいからだ」

「・・・・・・ハジメ」

「・・・・・・冒険者ギルドに行こう」

若干の恥ずかしさを覚えつつも、ハジメは冒険者ギルドに向かった。

 

 冒険者ギルドに入ると、明らかに深刻な何かが起きており、皆ピリピリしていた。

こちらに殺意を向けて来たので、ハジメも凄まじいまでの圧を加えた殺意を叩きつける。

「今、殺意を向けたやつ、死にたいならすぐに消すが?」

ハジメがこう言うと、皆眼をそらした。

そうしてハジメは受付嬢の所に向かう。

「支部長はいるか? フューレンの支部長から手紙を預かっているんだが・・・・・・

本人に直接渡せと言われているんだ」

これがステータスプレートだとハジメは受付嬢に渡す。

「き、金ランク!?」

はあ~っとハジメは頭を抱える。今更だが個人情報をさらすなと思った。

「ああ。もうとりあえず支部長呼んで」

「は、はい。少々お待ちください!」

 

 五分も経たないうちにギルドの奥から猛スピードで走ってくる音が聞こえた。

ハジメには黒装束の少年に見覚えがあった。

「・・・・・・遠藤?」

「南雲ぉ! 助けてくれぇ!」

遠藤の尋常ではない様子に、ハジメは嫌な予感がした。

「っていうかお前・・・・・・冒険者してたのか? しかも金って・・・・・・」

「まあな」

「つまり迷宮から自力で生還。冒険者の最高ランクをもらえる位強いってことだよな?」

「そうなるな」

「なら頼む! 一緒に迷宮に潜ってくれ! このままじゃみんな死んじまう!」

「落ち着け。状況がわからない。メルド団長はどうした?」

「迷宮に潜ってた騎士はみんな死んだ!」

「・・・・・・そうか」

ハジメはここまでの話で状況は相当切迫しているのがわかった。

ハジメが何が起こったか聞こうとすると、支部長が現れ、別室で話が始まった。

 

 「・・・・・・魔人族・・・ね」

ハジメが呟く。

対面のソファーにホルアド支部長のロア・バワビスと遠藤が座っていた。

「さて、南雲。イルワからの手紙でお前のことは大体わかっている。

随分と大暴れしたようだな」

「巻き込まれただけですよ」

「手紙には、お前の金ランクへの昇格に対する賛同要請と、できる限りの

便宜を図ってやってほしいという内容が書かれていた。

一応事の概要は掴んでいるがな。六万近い魔物を単独で殲滅。

半日でフューレンの裏組織の壊滅。お前が魔王だと言われても驚かんぞ」

「魔王? そんな者ではないですよ」

「すまないが、支部長からの指名依頼を受けてほしい」

「・・・・・・勇者達の救出、か」

「そ、そうだ! 南雲! 一緒に助けに行こう! 南雲の強さならきっとみんなを助けられる!」

「・・・・・・」

ハジメは即答しない。少し考えてこう付け加えた。

「受ける。が、檜山は対象外だ」

「な、なんでだよ! 仲間だろ!」

「仲間?」

ハジメは小馬鹿にした笑みを浮かべて応じる。

「仲間を殺そうとした奴が仲間? はっ、笑わせるな」

その上でハジメはこう言った。

「檜山を殺しても不問とする。これが条件だ。これが飲めないなら依頼には応じない」

「他の面で便宜を図る。それでもか?」

「ああ。これだけは譲れない。遠藤。この条件が飲めないなら無理だ」

「そ、そんなことできるわけ・・・・・・」

「じゃあ、この話はお終いだ。帰らせてもらう」

ハジメが席を立とうとした時、ロアが止めた。

「・・・・・・わかった。その条件で手を打とう」

「ロア支部長!? なんで!」

遠藤の抗議にロアが口を開く。

「お前はメルドが言ったことを覚えているか?」

「・・・・・・光輝だけは逃がすようにです」

「そうだ。勇者を失うわけにはいかんのだ。その為には他を切り捨てざるを得ない」

「ああ、勘違いするな。檜山以外は助けると言っているんだ。そこまで薄情じゃない」

「・・・・・・南雲、お前変わったな」

「変わるだろう。仲間が裏切ればな。ああ、清水も裏切ったから始末したぞ」

「な、何で・・・!」

「何で? ウルの町を魔物六万で攻めてきて、魔人族に寝返ったからだよ。

先生の殺害もしようとしたしな」

「そんな・・・・・・」

清水のした行いに愕然とする遠藤。

「今やクラスメート達を信用できない状態だ。だから合流しないんだよ」

これでわかっただろというハジメ。

「ロア支部長。ミュウを預かって下さい」

「わかった。気を付けてくれ」

「よし。いくぞ遠藤。さっさと案内しろ。でないと間に合わなくなるぞ」

これで檜山を殺す大義名分を得た。

これまでは王国の庇護があったため、手を出すのを控えていたのだ。

最も暗殺ならわけないのだが。正面から殺すと決めていたのだ。

ハジメは誰にも悟られないようにしつつ、ゾッとするほど冷たい笑みを浮かべた。

 

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