ありふれたFGOで世界最強   作:妖怪1足りない

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グリューエン大砂漠

 魔人の王国――魔国ガーランド

荘厳な王城の廊下でフリード様と呼ばれる男とミハイルという男が話していた。

ミハイルという男の彼女であるカトレアが死んだと聞かされた為だ。

しかもウルの町での任務も失敗。担当のレイスも死亡したというのだ。

しかも勇者ではなく、イレギュラーただ一人にやられたという。

そして、その直後そのイレギュラーはオルクス大迷宮に向かったという。

つまりカトレアが死んだのはそいつが原因だということだ。

「レイスが死の直前に仲間に創世と滅亡を司る神、南雲ハジメと言い残した」

「つまりカトレアが死んだのはその男に!」

「恐らくそうだ。敵は強大。私がいない間の留守は任せた。私は大火山に向かい、

さらなる神代魔法を手に入れる」

「フリード様・・・・・・」

創世滅亡神と最強の魔人。奇しくも目的地は同じ。

勝利の女神が微笑む・・・いや、無理矢理でも振り向かせるのはどちらか・・・・・・。

 

グリューエン大砂漠は赤同色の世界だった。

四十度を越える環境である。

その中をシャドウ・ボーダーは走っていた。

シャドウ・ボーダーは冷暖房完備なので問題ない。

ここを普通に馬車で越えるのはキツイだろうなとハジメは考えていた。

 

 「香織。ハジメパパはやめてくれ。ミュウに言われるのはいいが、

流石に同級生に言われるとなんともなあ・・・」

シャドウ・ボーダーを運転しつつ、ハジメはミュウに水を飲ませている香織に、注意する。

そこにユエが香織に対抗してきた。

勘弁してくれと思うハジメ。

なにせこの二人がハジメの話題を始めると、ハジメの趣味趣向や性癖が暴露され、

高確率で流れ弾が飛んでくるのだ。

これがクリティカル率が高く、街中でやられた日には、ハジメの社会的地位が暴落間違いなしである。

もっともホルアドではすでにハジメの社会的地位は暴落しているが。

流石にシアがミュウの教育に悪いからと止めた。

ミュウはいつの間にか戻ってきたフォウを撫でている。

ハジメは死んだ魚の眼をしつつシャドウ・ボーダーを走らす。

 

 そこにティオが注意を促す。

三時方向に何かあるようだ。

サンドワームと呼ばれるミミズ型の魔物が相当数集まっているようだ。

関わらないようにしようとハジメがしていると、

「っ掴まれ!」

一気にシャドウ・ボーダーを加速させると後方からサンドワームが飛び出してきた。

さらに二体目、三体目と襲いかかってくる。

「ちっ!」

ハジメは『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』を展開。

即座に射出する。

「シア! ミュウに見えないようにさせろ!」

射出しつつ爆散させ、サンドワームを全滅させた。

 

「ハジメくん! あれ!」

「・・・・・・白い人?」

とりあえずシャドウ・ボーダーを白い人に近づける。

「こいつは・・・」

ハジメはうめいた。

明らかに身体に異常があった。ウィルス系列かと疑う。

香織が浸透看破を行使する。これで使った相手のステータスが見れるのだ。

「魔力暴走状態?」

「外に魔力が排出出来ないの。このままだと内臓破裂も。天恵よ、ここに回帰を求める――”万天”」

香織は中級回復魔法を行使。しかし・・・。

「ほとんど効果がない。どうして?」

「ちょっと変わってくれ。俺がやる」

そう言うとハジメは弱体解除のスキルの中から、『奇蹟』を行使した。

「あ、治ってる」

香織はそう呟いた。

「香織。念のため俺達も診察しておいてくれ。空気感染の可能性もあるからな」

「うん。わかった」

幸い全員感染してはいなかった。

 

 男性は香織の大雑把な事情を聞いているうちに冷静さを取り戻したようだ。

助けた男性の名は、ビィズ・フォウワード・ゼンゲン。

アンカジ公国の領主の息子だった。

彼は事情を説明した。

 彼と同じ症状の疫病が発生し、オアシスを調べたところ毒素が検出されたこと。

救援要請すべく王国へ旅だったことだ。

ビィズは深く頭を下げた。ハジメ達に力を貸してほしいと。

皆の眼がハジメに注がれる。

「・・・了承した。その依頼受けよう」

「では王都へ・・・」

「いや、ひとまずアンカジに向かいたい。原因がわかった」

ハジメは千里眼ですでに見通していた。オアシスが汚染された原因を。

訝しむビィズをシャドウ・ボーダーに乗せ一行は一路アンカジに向かった。

 

 砂漠の国でありながら水の都に見える。アンカジ公国はそういう美しいところだった。

ひとまずビィズの父親がいる宮殿に向かう。

ハジメ達は領主ランズィの執務室へ通され、ビィズの父親ランズィと話した。

「病人を一ヶ所に集めてほしい?」

「ああ。治療手段がある。だから一ヶ所に集めてほしい。

オアシスの汚染も見通しがついている」

ハジメの言葉に驚く皆。

「ハジメ君。何か治療手段があるの?」

香織が声を掛けてきた。

「宝具・・・こっちで言うアーティファクトを使う。

それなら治療できるはずだ」

そこからは早かった。感染している者を一ヶ所に集めた。

ハジメは宝具を開帳する。

「我が旗よ、我が同胞を守りたまえ!

『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!」

そうすると旗から光が溢れ出し、患者に降り注ぐ。

そして治療が終わった。

 「よし。次はオアシスだな」

今度は一行はオアシスに向かう。

「やはりオアシスの底に魔物がいるな」

「魔物ですか!?」

ビィズが驚く。

「ああ。全員少し下がってくれ。退治する」

ハジメは金剛杵を蔵から取り出した。

「ハジメ殿それは?」

ランズィが尋ねる。

「父親の武器さ。それじゃいくぞ」

「牛頭天王、東方神、帝釈天の金剛杵、すなわち聖仙骨より造られし神の槍。

今こそ来りて、あらゆる敵を撃滅せん・・・・・・。『釈提桓因・金剛杵』!」

金剛杵が回転しつつ、雷撃を纏う。それをハジメは投擲した。

そうすると体長十メートルはあるスライム型の魔物の死体が現れた。

「なんだ・・・これは・・・」

ランズィの言葉が妙に響いた。

「これが汚染の原因だろ。恐らく固有魔法だ」

「水質はどうだ!」

ランズィが部下の一人に尋ねる。

「・・・・・・いえ、汚染されたままです」

「少し待て。俺が浄化しよう」

ハジメは『神性』と『カリスマ』をオンにし、水神ヴァルナの権能を使った。

「これで浄化できたはずだ」

「今度はどうだ?」

ランズィが部下に尋ねる。

「浄化されてます! 今度は大丈夫です!」

その言葉にランズィは胸をなでおろす。

なんにせよこれで水と疫病の問題は解決できたのであった。


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