「しかし、あの魔物は一体何なのか?」
ランズィは訝しむ。
「恐らくは魔人族の仕業と推察されます」
「魔人族だと!? ハジメ殿、思い当たる節があるのか!?」
「すでに豊穣の女神と勇者が襲われました。今回もそれに関連するかと」
その言葉にランズィは考え込む。
「魔物の事は聞き及んでいたが対策が甘かったか・・・・・・」
ランズィは呻くように呟く。
「ハジメ殿。国民を代表して感謝する。ありがとう」
国王以下全員がハジメ達に礼をする。
「はは。気にしないでくれ。人の命がかかっていたしな」
ハジメは特に気にする必要はないといった感じだ。
「それで頼みがあるんだが、香織とミュウを預かってくれないか?
まだ無症状の患者の心配があるから、香織は残したいし、
ミュウを連れてグリューエン大火山に挑むのは無理があるからな」
「わかりました。厳重にお守りいたします」
「うん。わかったハジメ君」
「パパ、早く帰ってきてね」
「うん。わかった。いい子にしてるんだぞ」
こうして残りのメンバーでグリューエン大火山に挑むことになった。
グリューエン大火山。
それはアンカジ公国の北百キロに存在する。山というより丘である。
この迷宮には挑むものが少ない。魔石が少なくうまみがないのと、
巨大砂嵐で覆われているためだ。
その中をシャドウ・ボーダーが進む。
「っちっ!」
ハジメがハンドルを切るとサンドワームが現れた。
それらをハジメ、ユエ、ティオが迎撃する。
そうして砂嵐を突破。シャドウ・ボーダーでは角度的に無理になったところで、
徒歩に切り替える。
ハジメの事前の予想通りと言うべきか砂嵐の眼の部分は暑かった。
今回ハジメはこれを予想して、皆に魔術礼装を配っていた。
耐熱仕様なので、皆比較的体調は良好のようだ。
頂上に着くと内部に続く大きな階段を発見した。
「いくぞ」
ハジメの号令のもと、階段を降りて行った。
グリューエン大火山はとんでもない所だった。
通路や広間の至る所にマグマが流れている。
「これは厄介じゃのう」
「仕方ない。こうしよう」
ハジメは『カリスマ』、『神性』をオンにする。
「権能でこの火山を掌握した。これで間欠泉のようにマグマが出たりもしない」
ほう、と皆がハジメの力に納得する。
「しかし、相変わらずご主人様は規格外じゃの」
「はは。暑いしさっさと終わらせて帰ろう」
どんどん下に降りていくハジメ達。
途中、魔物を退治しつつ、一時休憩を取る。
水の膜で覆い、中を涼しくする。
「しかし、冒険者が挑戦しないのもうなずけますねえ」
シアの言葉にハジメが答える。
「ああ、リスクの割にリターンが少ない。これではな」
雑談しながら休憩を終え、さらに先に進む
最下層まで降りたハジメ達が見たのは、マグマの海に浮かぶ小島だった。
「どうやらあれが解放者の隠れ家のようだな」
「さて、最奥を守っているガーディアンはどこにいるのかのう?」
そこにマグマの海や頭上のマグマの川から、炎塊が打ち出されてきた。
「散開!」
ハジメが指示を出し、各自が迎撃する。
ハジメは中央の島を目指そうと、マグマの海をモーゼの如く割ろうとしたが・・・。
「!。マグマの海に魔物がいる!」
そして、マグマの海から次々とマグマ蛇が顔を出した。
「恐らく核・・・魔石があるんだろうがそれを壊すしかない」
ハジメの言葉に全員がうなずくのと、敵が一斉に襲いかかるのは、ほぼ同時だった。
ティオがブレスで纏めて破壊する。
しかし、すぐに再生した。
シアが中央の島を指さし声を上げる。
よく見てみると、岸壁が光っており、その鉱石は百個あるようだ。光っているのは八個。
ティオのブレスで破壊した数と同じだ。
これを見たハジメ達は攻撃を開始する。
ハジメはフェイルノートを取り出し、直死の魔眼で核の位置を特定。
次々と破壊していく。
シア、ユエ、ティオもマグマ蛇を次々と破壊していく。
「これで、終わりだ」
ハジメはグリューエン大火山攻略の最後の一発を放った。
刹那――
頭上より極光が降り注いだ。
(!!。回避・・・無理だ!)
「ハ、ハジメぇ!!!」
ユエの悲鳴が響き渡った。