ありふれたFGOで世界最強   作:妖怪1足りない

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なろうの方に恋愛のオリジナル小説始めました。作者名は鏡花水月です。
よろしかったらお読みください。


エリセン

 ハジメ達はエリセンに到着した。

ハジメは町の入口の兵士にステータスプレートを見せ、

イルワの依頼書の他、事の経緯が書かれた手紙を提出した。

それを見た兵士は少々お待ちくださいと言い、数分後隊長を連れて戻ってきた。

隊長はサルザと名乗り、ハジメに敬礼をした。

「南雲ハジメ殿。依頼完了を確認した。しかし・・・」

「?。何か問題が?」

「その子の母親が怪我を負っている。精神的にも参っている状態だ」

「問題ない。こっちには最高の薬もあるし、治癒師もいる」

「む。そうか。ではよろしく頼む」

 

 「パパ、パパ。お家に帰るの。ママが待ってるの! ママに早く会いたいの!」

「そうだな。会いに行こう」

ハジメ達一行はミュウの家に向かう。

そんな中、香織が不安そうな小声で尋ねる。

「ハジメ君。さっきの兵士さんの話って・・・」

「精神の方はミュウが戻れば問題ないだろう。

怪我の方は香織、詳しく見てやってくれ」

「うん。任せて」

 

 そんな会話をしていると、通りの先で騒ぎが聞こえた。

どうやらミュウの母親――レミアという――がミュウを怪我を押して迎えに行こうとしているらしい。

ミュウが玄関口で倒れこんでいる二十代半ばの女性に向かって、、精一杯大きな声で、

「ママーーッ!」と言いつつレミアの胸に飛び込んだ。

周囲の人達から暖かい視線が注がれる。

ハジメもミュウを母親の元に戻せて良かったと思った。

そんな中、ミュウが母親の怪我に気付き、ハジメを呼んだ。

ハジメをパパと連呼するものだから、周囲は騒然である。

うわあ、行きたくないと思いつつも、仕方なくミュウの元に行く。

ハジメはレミアを家の中に運び、香織を呼ぶ。

香織が診察すると、足の神経が傷ついてはいるが、香織の回復魔法で治るとのことだった。

ただ、デリケートな場所なので、後遺症なく治療するには時間が掛かるとのことだ。

ハジメは最初はスキルか宝具を使うか考えたが、やめておくことにした。

治癒専門の香織がそう言う以上、下手には使えない。

香織が治癒をしている間に、ハジメ達は今までの経緯をレミアに伝えた。

全てを聞いたレミアは、ハジメ達に何度もお礼を繰り返した。

そうしているうちに香織の治癒も一段落ついたため、

宿を探しに行くとお暇しようとするハジメに、

レミアは自分の家を使って欲しいと訴えた。

レミアの元に届けたら少しずつミュウから距離を取ろうと考えていた旨をハジメが伝えると、

レミアは、お別れの日とは言わず、ずっとパパでもいいですのよと笑みをこぼした。

ハジメは周囲の温度が冷たくなっていくのを感じた。

冗談でもやめてくれというハジメ。

だが、レミアはうふふと微笑んで本気とも嘘ともつかない表情だ。

あれ? ここ南極だっけ?

周囲の空気の寒さに嫌な汗が出るハジメ。

その後もひと悶着あり、深夜には一応の落ち着きをみせた。

明日からは大迷宮攻略に向けて、様々な準備をしなければならない。

そして、残り少ないミュウといられる時間も。

そう思いつつ、ハジメは床についた。

 

 それから五日。準備を万全にしたハジメは遂にメルジーネ海底遺跡の探索に乗り出した。

「そういえばハジメさん。海に潜る手段は?」

シアが桟橋で聞いてくる。

ハジメは無言で蔵から次元境界穿孔艦ストーム・ボーダーを取り出した。

「え? なにこれ? 潜水艦?」

香織がハジメに聞いてくる。

「次元境界穿孔艦ストーム・ボーダー。シャドウ・ボーダーをコアユニットとしている。

魚雷や対艦ミサイルも発射可能だ」

「ふむ。これは地球の魔術のみで作られているのかのう?」

ティオが聞いてくる。

「ああ。正確には少し違うが概ね合っている」

「地球の魔術ってこんなものまで作れるんだね」

香織が感嘆の声をあげる。

「操作はどうするんですか?」

シアが聞いてきた。

「俺の分身体・・・性別や見た目が異なるがそいつらが操作する。ちなみに俺がキャプテンだ。

とりあえず乗ってくれ」

そう言ってユエ達を船に乗せるハジメ。

ミュウとレミア。そして他の海人族に見送られ、次元境界穿孔艦ストーム・ボーダーは出港する。

異界の海。そこには何が待ち受けているのか。

気を引き締めるハジメであった。

 


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