ありふれたFGOで世界最強   作:ヘルメス・トリスメギスタス

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たった一日の出来事2

 夕方。

神山の巨大な壁を利用して作られた忠霊塔に人影が佇んでいた。

そこに立っていたのは、ハジメであった。

花が立てかけられており、

何をするでもなく、瞑目してそこに立っていた。

「・・・・・・先生か」

振り向くことなく来た人物を当てる。

後ろから来たのは愛子であった。

「南雲君・・・・・・」

「すまない。誰が死んだかを分からなくさせてしまって」

「それは・・・・・・仕方なかったと思います」

ハジメの使った『帰滅を裁定せし廻剣(マハー・プララヤ)』。

この宝具の為、誰が死んだか分からなくなった。

メルド団長や檜山はまだわかるが、一般騎士団員は把握すら不可能に近い。

遺族には元からいなかったことになっているのが唯一の救いだが。

とはいえ、『帰滅を裁定せし廻剣(マハー・プララヤ)』を使わなければ、

あの数は殲滅出来なかったであろう。

もしくは王都ごと破壊する宝具等か。

 

 「・・・・・・南雲君は辛くないんですか?」

「慣れたよ。慣れたくもなかったが」

ハジメの瞳は悲しさを帯びていた。

「責めないんだな」

「えっ」

「檜山のことだ。俺が存在自体を無くしたことを」

「それは・・・」

「俺は怒りのままに宝具を行使した。

神としてそれはあってはならないことだ」

自嘲気味に語るハジメ。

「インドラは何故俺を選んだのだろうな。

もっと良い人物の魂を使えば良かっただろうに」

「南雲君・・・」

「先生は先生のままでいてくれ。決して俺のようになるな」

そう言ってハジメが立ち去ろうとした時、愛子が声を掛けた。

「先生は知っています。南雲君は周りの人達が殺しをしないようにしていることを。

そして、南雲君がその為に殺しをしていることも。南雲君は十分優しいです。

けど、もっと自分を労わって下さい。このままだと南雲君は・・・」

 

 「修羅に落ちるか・・・。だが、それもありかもしれない」

「南雲君!」

愛子が大きな声を出す。

「それはダメです!。ユエさん達も悲しみます!」

ハジメの肩を掴んで揺さぶる愛子。

その眼には涙が溜まっていた。

「先生・・・もう止められないのさ。

誰かがやらなければならない。それが出来るのは現状俺だけだ。

何としても皆を元の世界に帰すよ。例え命を引き換えても」

ハジメの言葉に遂に愛子は泣き出した。

「ダメです!。そんなのただの自己犠牲です!

そんな方法で救済されても、先生も誰も嬉しくありません!」

「仮にそれしか方法がなかったとして、クラスの奴等が止めると思いますか?

天之河あたりなら実行させますよ。間違いなくね」

「そんなことは・・・」

「今のクラスを見ればわかるでしょう。清水が、檜山が、恵里が、次々と裏切った。

今やクラスの仲はバラバラです。帰れるならやらせるでしょう」

「・・・・・・・・・」

愛子は沈黙せざるを得なかった。

ハジメの言葉には一理あったからだ。

「そういうことです。ああ、俺は先生を裏切りませんよ。

それが人間としての最後の矜持ですから」

そう言うとハジメは先に帰っていった。

後には無力感だけが残る愛子が残された。

 

 「ただいま」

ハジメはユエの元に戻って来た。

ユエはポンポンと太ももを叩いた。

ハジメは素直にユエの太ももを枕にし、横になった。

どちらとも何も言わない。

お互い言う必要がない位、お互いの心がわかった。

ユエはハジメをギュッと抱き寄せた。

ハジメはそれを素直に受け入れた。

ハジメにとっては、ここが帰る場所なのだ。

 

 その頃、愛子はハジメとのやり取りを雫に話していた。

雫は自身が予測したことが当たったことに頭が痛かった。

「八重樫さんどうしましょう」

「・・・・・・今はハジメに頼るしかありません」

「でもそれじゃ・・・・・・!」

「ユエさんと香織に頼んで、何とかしてもらいましょう。

特にユエさんのことならハジメは素直に聞きますし」

「無力ですね。私達」

「・・・・・・ええ。それに分かったことがあります」

「分かったこと?」

「ええ。ハジメは香織が死んだ時、躊躇なく創世と滅亡の権能を使いました。

今回は蘇生に成功したから良かったものの、もし死んだら・・・・・・」

「権能を際限なく使う?」

「はい。それこそ機械的に使うでしょう。ハジメの権能は不出来なものを消すようです」

「不出来じゃないものって赤ちゃんか聖人位じゃ・・・」

「そうです。この世界は間違いなく地獄になります」

雫の予測に絶句する愛子。

エヒトもひどいが、ハジメがデウスエクスマキナと化したら、さらなる地獄が顕現する。

もはや笑うしかなかった。先生としてなんて無力なのだろう。

それもこれもハジメに頼りすぎたツケなのだから。

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