雑多。
ヘルシャー帝国の首都を表すとしたらこの単語だろう。
軍事国家のためか、住人も粗野な人間が多い。
ちなみに今しがたハジメがぶちのめしたのも、荒っぽく声をかけてきた者だ。
今回は場所が場所なので、ハジメ組と勇者組のみで他はストーム・ボーダーに残した。
女性陣はあまり快く思わず、男性陣も気持ち的にいいものではない。
奴隷売買も非常に盛んで、光輝が暴れそうだったので、
雫に視線で光輝を止めるよう促した。
ハジメの意を察した雫は、光輝に近寄り会話をして抑えた。
ハジメはすまないと雫に目線で謝意を表した。
雫がハジメにカム達の行方をどこで探すのか聞いてきた。
ハジメは冒険者ギルドへ行くと答えた。
金ランクなら大抵の情報は得られるからだ。
最もハジメはカム達が捕まっていると考えていた。
カム達のレベルで外に誰も出られないとは考えにくいからだ。
「もしもの時は帝都を消滅させるまでだ」
「・・・・・・塵も残さない」
「ハジメさん・・・ユエさん・・・」
ハジメとユエの言葉に感動するシア。
「いやいやいや!。それ冗談だよね!?」
雫からツッコミが入る。
「大丈夫だ。『帰滅を裁定せし廻剣(マハー・プララヤ)』なら被害は最小限だ」
「それ万単位で人が消えるアーティファクトだよね!?。全然大丈夫じゃないよ!?」
そんなことを話していると、前方の町の様子が変わり始めた。
魔人族が暴れた後であった。
そのがれきの山を亜人の奴隷が片付けを行っていた。
ハジメ達から少し離れた所で、犬耳少年に帝国兵が近寄り始めた。
ハジメ達は一部始終を見てたので、何をしようか明白である。
光輝が大声を出しながら駆けだそうとした時、弦を弾く音と共に、帝国兵が倒れた。
光輝には何が起きたかわからなかった。
「正義感は結構だが、時と場所を選んでくれ」
「今の南雲か!?」
ハジメはフェイルノートを用いて、帝国兵を倒したのである。
「お前はあの亜人達を見て何とも思わないのか!?」
「悪法でもここでは法だ。それでも助けたければ、帝国兵を何千人と斬り殺せ。
そうすれば亜人を何万人と救える。正義の味方とやらの誕生だ」
「それなら南雲がやれば・・・」
「お前は人殺しを他人に薦めるのか?。自分は手を汚さずに?
そういうのをな、卑怯者と言うんだよ。大体今回の目的はカム達の救出だ。
目的を間違えるな」
そう言い放つと、ハジメは冒険者ギルドへ向かって歩き始めた。
他の皆も慌ててついて行く。
帝都の冒険者ギルドは、まんま酒場であった。
いつものようにこちらを威圧してくるので、
こちらも『カリスマ』と『神性』をオンにし、こちらも威圧する。
流石に気絶者は出なかったが、一気に冒険者の脅威度が跳ね上がる。
カウンターの女性に亜人族のことを聞くと、
もう一人のマスターを指し示す。
ハジメは初老のマスターに先程と同じ質問をし、一番強い酒をボトルで頼んだ。
マスターは無言でボトルを出す。
どうやら飲めば教えるということらしい。
ハジメが蓋を開けると強烈なアルコール臭がし、皆が顔をしかめる。
香織達が止めようとするが、それよりも早くハジメが飲み始めた。
そして、ボトルの酒を一気に飲み干した。
飲み干したボトルをドンとカウンターに置く。
「わかった、わかった、お前は俺の客だ」
マスターは両手を挙げて降参の意を示す。
どうやらマスターは相応の情報を掴んでいるらしかった。
曰く、数日前に大捕り物があり、兎人族数人が城に連れていかれたらしい。
「マスター、どの程度の金額で深い情報が売れる?」
マスターは最初冗談かと思ったが、このハジメという少年から感じるのは、
歴戦の傭兵の雰囲気だ。どう見ても冗談で聞いたとは思えない。
「・・・・・・警ら隊の第四隊にネディルという男がいる。元牢番だ」
「わかった。訪ねてみよう。世話になった」
そう言ってハジメ達は冒険者ギルドを後にした。
ハジメ達が去った後、マスターに女性のマスターが近づく。
「言って良かったのですか?」
「言わなければあらゆる手段で言わせただろうさ。
あの少年の眼。全てを見透かすような眼だった。
嘘をついてもすぐにバレたさ。それにあれは殺しに慣れた者だ。
絶対に敵に回してはいけない相手だ」
「何が目的なのでしょう彼らは」
「さてな。我々は知らぬ存ぜぬを決め込むのが最善だよ」
そう言いつつマスターは再びグラスを磨き始めた。