カムは何があったのかをハジメに伝えた。
その結果捕虜になったことも。
そして、カムは本題をハジメに伝えた。
ハウリア族は帝国に戦争を仕掛けると。
その言葉にハジメはピクリと眉を動かし、
カムとハウリア族以外は動きを止めた。
今、カムは何と言った?
帝国に戦争を仕掛ける?
たった百名ほどで?
その静寂を破ったのはシアだった。
血迷ったのかとカムに問い詰めるが、カムは平然としていた。
頭に血の上ったシアは、宝物庫からドリュッケンを取り出し、
力ずくで止めようとする。
にらみ合うシアとカム。
止めたのはやはりハジメだった。
神の状態になり、シアとカムに強烈な圧力を浴びせた。
「シア、少し落ち着け。カムの話を最後まで聞け」
「ご、ごめんなさい」
ハジメの圧力に頭に上った血が引いたのか謝るシア。
ハジメはカムの方に向き直る。
「カム。まさかとは思うが、我が参戦すると思っているのではないな?」
カムは笑いながらハジメの言葉を否定した。
カム達は血迷ったわけでもなく、至極冷静だ。
そうなると理由が気になる。
ハジメはカムに理由を問うた。
カムの言によると皇帝が気に入り、兎人族狩りをしようとしているのである。
ハウリア族だけなら生き残れるものの、他の兎人族を巻き込むことになる。
ハジメはハウリア族の戦術を暗殺と推察。カムも肯定した。
だがとハジメは思った。
カムの取る戦術は極めて分の悪い賭けだ。
向こうが暗殺に怯えるか、フェアベルゲンに帝国が再侵攻するか。
後者の方が確率が高いだろう。
フェアベルゲンに防ぐ力はなく、兎人族を差し出すだろう。
シアはハジメの方を見た。
ハジメはため息とともに告げた。
「帝国はハウリア族・・・我のものに手を出した。故に我も参戦する」
その言葉に驚くカム。確かにフェアベルゲンにてハウリア族はハジメのものになったが、
己達のミスで今回の事態を招いたのに、助けるとは思っていなかったのである。
「よろしいので?」
「構わぬ。あの国は元々気に食わなかったのだ。ある物の実験台にもちょうどいい。
だが、あくまでも攻撃の主力はハウリア族だ。それゆえ策を授ける」
「策、ですか?」
「ああ。皇帝の首などいつでも取れると相手にわからせる策だ。
装備品も我から支給しよう」
「ちょっと待ってくれ南雲!」
ここで光輝が間に入った。
「何だ?」
不快感を示すハジメ。
「今は魔人族相手が優先だろう?。人間族の国同士で連携しないと魔人族相手には・・・」
「勘違いするな天之河。ハウリア族は我のものだ。神のものに手を出した罪は重い。
それ相応の報いは受けてもらう」
「皇帝を説得するなり方法があるんじゃないか?」
なおも食い下がる光輝にハジメは鼻白む。
「説得の材料は何だ?。間違いなくそれ相応の物を要求されるぞ。
お前は人を斬れるのか?。カム達の方がお前等より人を殺す点に置いて強い」
ハジメの言葉に黙る光輝。
ハジメはさらに続ける。
「大体天之河、お前は勘違いしている。神と人では思考が違う。
そしてお前には我に対する敬意がない。神を相手にしてるのにだ。それは不敬だ」
本来ならば処刑しているところだとハジメ。
ハジメはハウリア族に向き直り告げる。
「装備品は我が出す。策もだ。皆は作戦通りに動いてくれればいい!」
「「「「「Sir! Yes Sir!」」」」」
「雑魚には構うな!。狙うは皇帝の首ただ一つ!。貴様ら気合を入れろ!」
「「「「「Sir! Yes Sir!」」」」」
「ハウリア族の手にかかれば、帝国など一日で滅ぶと教えてやれ!」
「「「「「Sir! Yes Sir!」」」」」
「カム。やれるな?」
「Sir! Yes Sir!」
「よろしい。たいそうよろしい」
ハジメはハウリア族を見つめる。
皆が皆戦う者の眼をしていた。
「作戦名は『ハンマー』!。文字通り帝国のプライドを叩き割ってやれ!」
「「「「「Sir! Yes Sir!」」」」」
「後始末は我に任せよ!。諸君らはためらわず任務を遂行せよ!」
「「「「「Sir! Yes Sir!」」」」」
その後、作戦の詳細を詰めた後、各自休息となった。
シアはハジメの横に座り、中々離れたがらなかった。
ハジメも拒否する気もなかったので、シアの自由にさせた。