一夜明けて東の空が白み始めた頃、二人の人影があった。
ハジメとユエである。
ハジメとユエ久しぶりの二人だけであった。
その二人はキスを繰り返していた。
もちろん事前にハジメがルーン魔術で人払いの結界を張っている。
久々の二人きりなのだ。邪魔されてたまるかとハジメは思っていた。
ユエはシアも特別なのかと聞いてきた。
その言葉をハジメは否定し、大切ではあるが特別はユエだけだと答えた。
これはハジメの本心である。
その後もキスを繰り返すが、光輝達が起きた気配がしたので、終わりにした。
二人は名残惜しそうに見つめ合った後、光輝達の所へ向かった。
しばし時間が経ち、帝城にて、リリアーナ王女とガハルドがハジメの話をしていた。
そこにガハルドの部下が息を切らして駆けこんで来た。
「陛下大変です!。南雲ハジメを名乗る人物が城に来ました!
異界の神として看過できない事態が発生したと!
要求を飲めない場合は首都を消滅させると!」
リリアーナとガハルドが顔を見合わせると、外から轟音が響いた。
何事かとリリアーナ達が外を見ると、ハジメが黄金の波紋を展開させ、
剣や槍等の武器を射出し攻撃していた。光輝達はユエ達に動きを制限されているようだった。
ハジメの実力をリリアーナから聞いていたガハルドは、これは不味いと判断し現場に向かった。
「おい南雲!。もうやめ・・・」
「黙れ天之河。こいつらは俺の大切なものを侮辱した。我自ら裁定を下すまでよ」
ハジメがエアを取り出そうとした時、
「待ってくれ!。ヘルシャー帝国皇帝ガハルドだ!。一体なぜ我々に攻撃を加える!」
「お前の所の兵士が我の大切なものを侮辱した。これが我自ら裁定を下した理由よ」
「我が国の兵士が無礼を働いたことは謝る!。それで看過できない事態とは何だ!」
「お前達が捕まえて拷問にかけた兎人族な。あれは我の所有物だ。
神のものに手を出したことがどういうことか分かるであろう?
我のものと分かっていて手を出したのか?。答えよ」
嘘は認めぬ。水色の瞳からはそう言っていた。
「そのことに関しては全く知らなかった。分かっていれば手を出していない」
ガハルドは素直に返答した。
「・・・嘘はついてないようだな。よかろう。こちらも矛を収めよう」
ハジメは黄金の波紋を消し、戦闘態勢を解く。
ガハルドはようやく一息つけた。
ハジメ達一行はリリアーナのいる部屋へ案内された。
「それで?」
リリアーナからの第一声がそれだった。
「シアを侮辱した愚か者に裁定を下したまでだ。
ハウリア族に関することもあったしな」
「なぜ急にこちらに?」
「夜になればわかる。それ以上は説明する気はない」
その後のリリアーナの追及ものらりくらりとかわすハジメ。
その内ガハルドとの謁見の時間となった。
謁見の間に入るハジメ。
複数人の護衛が隠れていることがわかった。
こうして会談は始まった。
ガハルドはハジメに宝具を貸し出さないか問うたが、
神がそうやすやすと渡すと思うかと拒否。
一時剣呑な雰囲気が流れるも、ガハルドが引いた。
その後はお互いの腹の探り合いが続いた。
そして最後にリリアーナの婚約という爆弾をガハルドが投下して会談は終わった。
リリアーナの婚約という事態に問いただす光輝達。
一方のハジメ達はそれもあるだろうと予期していたので、大して驚かなかった。
ハジメはパーティーの準備で忙しいのである。
そう。ある意味でのパーティーという名の裁定を。
ガハルドは勘違いをしていた。
矛を収めたのはハジメだけなのである。
ハウリア族はその鋭い牙を研いでいることに。