空をストーム・ボーダーが駆ける。
ストーム・ボーダーの下部には急造のゴンドラが付いており、
奴隷だった亜人達が乗せられている。
別に転移魔術でフェアベルゲンに転移しても良かったのだが、
ハジメ自身が異界の神だと帝都の民に理解させる目的もあった。
そんな中ハジメは何をしているかというと、艦長席で指揮を取っていた。
とはいえ、気楽な空の旅の為、前世の鼻歌を歌いながらである。
「随分と気楽ですね」
リリアーナは『愛らしき白き牡牛』(キオニス・タウロス)に乗っている。
これは戦闘能力皆無のリリアーナにハジメが与えた宝具である。
これの他にも、『青銅巨人の超重槌』(スフィリ・トゥ・ターロー)を渡しており、
リリアーナを充分に守る態勢を整えている。
神妃となっているリリアーナを守るにはこれ位必要なのだ。
「実際気楽だからな。だから前世の歌も鼻歌ででるさ」
「あ、前世の歌なんだ。道理で聞いたことがないと」
雫がハジメの言葉に反応する。
「そういうことだ。楽器を使って弾くことも出来るぞ」
「凄えなこれは。俺用に一機用意してくれ。言い値で買うぞ」
ハジメ達が話している所に、ガハルドが話に割り込んで来た。
「それは無理だ。魔術の塊だからな。機密情報が多すぎる」
「そう言うなよ。一機だけ小さいのでいいんだ」
「・・・ヘリコプターというタイプのなら改造して渡せる。それで我慢してくれ」
「おお!。約束だからな!」
ガハルドはハジメの答えに満足して応じる。
このような話をしつつ、ストーム・ボーダーはフェアベルゲンに向かった。
ハルツィナ樹海の目の前にストーム・ボーダーを着地させ、
ハジメは全員をストーム・ボーダーから降ろし、
転移魔術で一気にフェアベルゲンに到着した。
フェアベルゲンの者達はびっくりしたものの、
その後はそこかしこで感動の再会が果たされた。
「香織、皆を回復してくれ」
「うん、わかった」
香織の力で皆が回復する。
すると香織を女神と崇める者が続出した。
「ハジメ殿、皆を助けてくれたことに礼を言う」
「やったのはハウリア族だ。感謝は彼らにしてくれ」
アルフレリックとハジメが会話を交わしていると、
カムが演説を始めた。
人材勧誘の演説である。
これにはハジメも頭を抱えた。
聞かなかったことにしようとハジメは思った。
その後、奥に案内され、長老衆とガハルドが会談をもった。
皇帝の敗北宣言と誓約の内容が伝えられた。
その後一時両者険悪になったが、ハジメが睨みを利かせ、
何とか無事に会談は終了した。
その後、転移魔術で皇帝を帰国させ、別の話題へと切り替える。
ハウリア族の扱い、領域が決められた。
会談を終え、外を見ると、外はまだお祭り騒ぎだった。
皆がお祭り騒ぎの中へ飛び込んでいった。
ちなみにリリアーナは、転移魔術で王国に帰ることになった。
今回の重要案件を協議しなければならないからである。
リリアーナが神妃となったこともある。
ユエ達がしているのと同じ、宝石一式を渡し、
リリアーナ達を王国へ転移させた。
カムによってハジメはシアがいる木に案内された。
そこでシアの母親の事や、様々なことを話した。
そして、木の上から見る景色は美しかった。
そして、シアに膝枕をされながらハジメは思った。
この世界で大事なものが増えていく。
それを奪うものはエヒトだろうが魔人族だろうが容赦はしないと。