「俺と模擬試合がしたい?」
ハジメが正気かと言うような顔をする。
ここはフェアベルゲンのアルフレリックの家。
ハジメは読書を中止し、香織達を見る。
「うん。どこまで強くなれたか、テストしようと思って」
香織は真っ直ぐハジメを見つめる。
ハジメはため息を吐きつつ、問いかける。
「方式は? 言っとくが俺の全力だとテストにならないぞ?」
「それは分かってる。だから今回は技のみでの勝負をしたいの」
雫が説明する。
「主に剣術での勝負か・・・。分かった。やろう」
ハジメはおもむろに立ち上がり、蔵から剣を取り出す。
「何その剣? 光輝の剣に雰囲気が似てるけど」
雫が疑問を抱く。
「聖剣だからな。エクスカリバーと言えばわかるだろ」
ハジメの言葉に雫達が驚嘆する。
「え? アーサー王伝説の? 本物?」
「本物だ。今回は力を抑えている。拘束を解かずに戦うから安心しろ」
そう言ってハジメは外に出る。
雫達も慌ててハジメについて行った。
模擬試合はハウリア族の訓練場で行うことになった。
「さて、来るといい」
ハジメは剣を構える。
雫達も各々の武器を構える。
それからしばらく時が流れる。
「・・・これもダメ」
雫は幾度となく想像の中で攻撃をハジメに仕掛けているが、
全て雫が叩き伏せられている。
光輝や龍太郎、香織も想像上で攻撃を仕掛けているが、
雫と同じことになっていた。
「・・・・・・面倒だ。来ないならこちらからいくぞ」
ハジメがそう言うと同時に、ハジメの姿が消える。
それと同時に鈴が張っていた結界が、コンマ秒以下で破壊される。
これに一番に反応したのは香織であった。
大剣でハジメの攻撃を受け止める。
そこに雫がハジメに斬りかかるが、ハジメは余裕を持って躱す。
さらに光輝と龍太郎の攻撃がハジメを襲うが、
ハジメはバックステップでそれを躱す。
時間にして三秒にも満たない攻防。
違うのはハジメは涼しい顔なのに対し、雫達は汗びっしょりであることだ。
ハジメは力の大半を抑えているのにこの状態なのだ。
ハジメが全力の場合、コンマ秒以下で試合は終わるであろう。
「あー、試合方法変更。一対一でやろう。その方が加減しやすい」
頭を掻くハジメ。
ハジメが想定した雫達の戦闘力と、実際の戦闘力に落差があったためだ。
そこからは一対一の戦いとなった。
この中で一番強いのは香織であろう。
まだ身体に慣れていないが、慣れればユエ達とも戦えるであろう。
勇者組はこれから次第だろう。
ハジメはそう判断した。
(しかし、人を斬ったことのないこいつらに出来るのか?)
ハジメは一瞬思ったが考えないことにした。
その時はその時だ。今は考えるまい。
ハジメはそう思いつつ、模擬試合の相手を務めた。