「天之河。右だ」
ハジメが指示を飛ばす。
霧の中から襲いかかる魔物達。
もっともハジメ達は魔物の討伐を手伝わず、勇者組に任せていた。
樹海の魔物で迷宮へのウオーミングアップをさせているのだ。
もっともオルクス大迷宮の魔物相手と違い、苦戦しているが。
そんな中、香織は自主的に魔物の討伐に加わっていた。
ハジメから見ても徐々にノイントの肉体に馴染んでいるのがわかる。
そうこうしているうちに、ハジメ達は大樹に到着した。
ハジメは石板の前に行き、大迷宮の証をはめ込む。
ここからが本番だと全員に注意をうながす。
ハジメはハウリア族に大樹から離れるよう指示する。
ハジメの指示通りにハウリア族は撤退を開始した。
大迷宮の証をはめ込み終えると、大樹がみるみるうちに再生し、
青々とした葉を茂らせた。
そして、正面の幹が左右に分かれ、洞を作った。
皆がそれぞれ頷き合うと洞の中に入っていった。
洞の中は大きなドーム状の空間であった。
直後、入口が逆再生のように閉じた。
そして、足元に大きな魔法陣が出現し光を放つ。
「転移系魔法陣だ! 転移直後に注意しろ!」
ハジメが注意した直後、全員の視界が暗転した。
ハジメ達の視界に映ったのは樹木生い茂る樹海であった。
「南雲・・・どっちに向かえばいいんだ?」
光輝の問いにハジメは鼻を鳴らして答える。
「とりあえず探すしかないな・・・『天の鎖』よ!」
ハジメはいきなり『天の鎖』を発動し、ユエ、ティオ、龍太郎を絡めとる。
光輝達はハジメの行動に一瞬呆然とした。
「消えろ雑種」
『王の財宝』から各種の武器が放たれ、ユエ達を串刺しにした。
そうすると赤銅色のスライムになり、地面のシミになって消えた。
「流石大迷宮だな。いきなりやってくれる」
ハジメが苦々しく呟く。
「ハジメさん・・・ユエさんとティオさんは・・・」
「恐らく転移した時に別の場所に飛ばされたんだろう。
赤色スライムに擬態させて、背後から襲う算段だったんだろう」
「なるほどね・・・・・・それにしてもよくわかったよね」
「魂を見れば簡単に見分けがつくけどな。それ以外なら普段との違いに気付く必要があるな」
なるほどと全員が納得する。
それから樹海の中を歩くことしばし、二時間ほど歩いたころ、それは聞こえてきた。
おびただしい数の羽音だ。
ここで勇者組が前に出て戦う姿勢を示す。
ハジメ達は様子を見ることにした。
しかし、ここは大迷宮。外の魔物とはあまりにも違う強さと戦術に削られる勇者組。
無論、ハジメ達にも襲いかかっているが、ハジメは『王の財宝』で、
シアはドリュッケンでまとめて叩き潰し、香織も銀羽の弾幕で撃ち落としていく。
その頃勇者組は追い詰められていた。
その様子を見たハジメはため息をもらした。
『王の財宝』の門数を増加させて、武器を放った。
次々と『王の財宝』が直撃し、轟音が響く。
煙が晴れた後には、魔物の死骸が残されていた。
「とりあえずこんなところか・・・次行くぞ」
ハジメは何の感慨もなく呟くと、先へ進む。
慌てて皆は樹海の奥へと進むのであった。
それから二時間ほど経った頃、
大迷宮の樹海は真っ赤に染まっていた。
「果てるがいい! 雑種共!」
そう言って熱線銃を乱射するハジメ。
某どら焼き中毒のロボットが持つ熱線銃の為、鉄筋ビルを一瞬で灰にする威力である。
もう片方には原子核破壊砲を持ち、こちらも乱射しまくる。
シアと香織が止めようとするが、「あっ?」という声と共に、
眼が完全にいっちゃってるハジメの顔にすごすごと引き下がる。
雫と鈴と光輝はがたがた震えていた。
この原因は細かくは省くが、猿モドキがユエの偽物を持って来たことに起因する。
これでハジメがキレた。
後は、『王の財宝』から大量破壊兵器のオンパレードである。
MLRS、ナパーム弾、クラスター爆弾etc・・・。
各種大量兵器を展開しぶっ放していく。
そして、ついに恐れた事態が起きた。
銀河破壊爆弾をハジメは取り出したのである。
「こうなったらこの銀河丸ごと吹き飛ばしてやる!」
これに慌てて左右からシアと香織が止めに入る。
二人の懸命の説得に落ち着いたのか、攻撃を止めるハジメ。
「まあ、なんだ。視界が開けて探しやすくなったな」
コホンと咳払いしつつ、そっと銀河破壊爆弾を元に戻す。
雫達は何も見なかったことにした。
何でそんな物を持っているのか聞くのが怖かったのである。
「ん?」
そんな時ハジメが妙な気配を捉えた。
そして出て来たのはゴブリンである。
光輝が即座に斬りかかるが、ハジメが『天の鎖』を発動。
光輝を拘束する。
「南雲! これはどういうことだ!」
「あれはゴブリンじゃない。ユエだ」
ハジメはそう言うとゴブリンに近づく。
そして、念話で会話をする。
やはりユエであった。
最もハジメは魂を見れば分かるが。
ティオと龍太郎もこの状態になっているとハジメは判断。
急ぐ必要があると皆を促した。
そして十分後、ゴブリンになったティオをハジメ達は見つけ出した。