――ゴホンッ!
「ん? シア目覚めたのか」
シアが目覚めたことに気付き、シアのウサ耳をもふるハジメ。
ウサ耳をもふられて嬉しそうにウサシッポをパタパタさせるシア。
「シアはどうやって理想世界から抜け出したんだ?」
「それはもちろん、今の自分を否定するなんて出来ませんし、
したくありませんでしたから、こんな世界嫌ですぅー!
家族を利用しやがって、ふざけんなーーって」
「……なるほど。強くなったな」
「ええ。これからも、私はハジメさんやユエさんの隣にいたいですからね。
その道が痛みや苦しみを伴うものだったとしても」
ハジメはシアを抱き寄せる。
「ハジメさん?」
「お帰りシア」
「はいです!」
三人が話をしていると、琥珀の一つが輝きだした。
「あれは確か……」
ハジメが呟くと同時に、その人物を照らし出した。
「ん……」
「お帰りティオ」
「ただいまなのじゃご主人様」
「…………そうか。よく戻って来たな」
ハジメはティオが見た夢を察したのか優しかった。
次に脱出出来たのは香織だった。
ハジメ達を見て安堵すると、ハジメをもう一度見て、
顔を真っ赤にして一気に離れた。
「どんな夢を見たんだ?」
「これは、その、あの……」
聞いてやらない方が良さそうだとハジメは思った。
「まあ、何にしても俺達は全員帰還出来た訳だ」
「ですね。それで勇者さん達の方はどうします?」
シアが残りの琥珀を見る。
「そうだな。最終的には破壊だが、とりあえず自力で脱出するまで待つか。
そうでないとここに来た意味がないしな」
「どれくらい待ちます?」
「飯食って一休みする位の時間でいいんじゃないか?
あまりだらだらと時間を費やすのもなんだし」
「あの、ハジメさん……」
「ん?」
「もし、私がユエさんと同じことになったら……やっぱり怒ってくれます?」
ハジメは一瞬目が点になったものの、すぐに返事を返す。
「当たり前だ。自分の大切な者をダシにされて怒らない奴はいない」
「あ……えへへ。そうですかあ」
嬉しそうにウサ耳を動かすシア。
そして各自がめいめいに過ごしていると、体感で3時間が経過した。
「そろそろ潮時か?」
「……ん。確かに」
「区切りをつけないと切りがありませんし……」
そこに香織がストップをかける。
「もう少しだけダメかな。雫ちゃん達ならきっと……」
香織の言葉にハジメはやむなく同意する。
そして遂に琥珀の一つが輝き出した。
「あの琥珀は……雫ちゃん!」
「ほう。八重樫か。やっぱりな」
ハジメは賛嘆の声を上げる。
香織に抱きかかえられ、雫はただいまと返事した。
その後部屋の中央でティータイムとなった。
雫が夢の内容を小声で呟いているが、ハジメは聞こえないふりをした。
それから数時間待ったが、強制脱出が決定された。
これ以上は時間の無駄とハジメが割り切ったのである。
「それじゃあ香織、分解で頼んだ」
「うん。わかったよ」
香織は分解で琥珀を溶かす。
そう時間をおかずに三人は目を覚ました。
その中でも鈴の言葉から夢の内容を察し、痛々しかった。
香織と雫は悲痛な表情を浮かべる。
やはり恵里の裏切りは痛かったのだ。
ハジメもそれは理解できた。
前世では裏切りの連続だったからだ。
しかし、大迷宮は立て直す時間を与えなかった。
部屋の中央に魔法陣が出現した。
「全員備えろ。己の心に負けるな」
ハジメが全員に言うと同時に、魔法陣が爆ぜた。