「……『旭湯』って此処だったんだな」
六花のLINEで送られた集合場所は実は前に来たことがある場所だった。
「親父と来たのが風都に行く直前だから5年振りくらいか……時の流れは速いな」
昔を懐かしく思い暖簾を潜り抜け中に入り中に居た人に声をかける。
「おばさん、お久しぶりです」
実は『旭湯』、俺と親父が2人だけで通う行きつけの銭湯で経営者であるおばさんとも実は顔見知りである。 しかも六花の一件で話す時に会っておばさんの方が先に俺に気付いたので世間って狭いなぁと思ったもんだ。
「ホントに久しぶりだね、真昼君」
「六花は?………っと!!」
和やかに話している最中に感じた気配に反応して振り向いて飛び込んできていたアイツ、ギターの基本を教えた弟子にして大切な
「なんで抱きついて来るんだよ?」
「補充や、マヒルニュウムを補充するんや」
マヒルニュウムってなんだよ。
「そんな物質はねえよ」
「ぶう」
「……帰って良いか?」
「…ヤダ」
やばい、拗ねた六花も可愛いと思う俺は末期かもしれない。
「さて、六花。なんで仕事用のスタッグフォンで連絡したんだ?」
「実は相談とお願いがあって」
「…相談の内容は?」
「学校で出来た友達から相談を受けました」
部屋に入ると同時に師匠にそう尋ねられた私は師匠を呼んだ理由を話した。
「友達がストーカーにね。で、そのストーカーがドーパントか同等の驚異の可能性がある、六花はそう考えているんだな。それで対抗手段として……」
「はい、師匠に預けている『私用のシングルドライバー』と『本棚』の閲覧許可がほしいんです」
「良いぞ、シングルドライバーと六花のメモリは丁度渡そうと思って持ってきてるからな」
「そこをなん……って良いんですか?!」
あれ? 反対されると思ったんだけど?
私の疑問に思っていることが表情に出ていたのだろう、ため息を吐いて理由を教えてくれた。
「厄介事に巻き込まれた時用に必要だろうからな」
「『財団X』ですか?」
「いや、鏡の世界からコンニチハだ。それでだ、コレ押してくれ」
そう言って投げ渡されたのは私達には見慣れたモノ。
「【シャッフル】メモリ?」
「占ったら、これから必要になるメモリになる。と出た」
そう言われた私は渡されたメモリのスイッチを押す。
鳴り響くと共に無色のガイアメモリは、空中で目紛るしく変色しながら輝き始め、そして……
そう響いて赤色に染まり私の手元に落ちた。
「『龍騎』……やっぱり『ライダーメモリ』になったか」
それを見て懐かしそうに、そして泣き出しそうな表情をする師匠が居たが、それを振り切るように懐から取り出したモノを私に渡した。
「ほれ、六花用のシングルドライバーと【ストーム】と【ガーディアン】のメモリ」
「躊躇わずに渡しましたね、ちょっとびっくりですけど」
そう言って片手を俺に向けて伸ばす動作をしたので仕方なく口を開く。
「……【エターナル】は流石に渡せないぞ、アレがないと俺が困る」
「困るって……」
いやいや、【ウィザード】のメモリは私が持ってるけど師匠にも【ルシファー】と【ブレイカー】があるよね?
「師匠の【ウィザード】のメモリ返しましょうか?」
「いや、そうじゃなくてな……言っても怒らない?」
「内容次第です」
「実は…………『シングル』に変身出来ない」
「……はい?」
躇う師匠からの新情報、なので詳しい説明を要求。
「この、大馬鹿者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「……すいませんでした…」
あらん限りの力で……あり得ないと叫んだ。多分伯母さんにも聞こえただろうけど、私は気にしない!!
「お仕置きです! 師匠は後でお仕置きします!!」
「……優しく、頼む」
「六花、大丈夫か?」
「師匠が無茶するよりマシです」
「……そうか」
はあ、と溜め息をつきながら師匠は青色のケースみたいなソレをズボンの右ポケットから取り出す。
「師匠、シングルドライバーは使わないんですか?」
「ああ、六花には話してなかったな。俺もコレをまた使うなんて思いもしなかったよ……俺のカードデッキ
そう言ってカードデッキを持った右手を窓に向けた。
すると窓ガラスに銀色のベルトが映り込み、それが師匠の腰へと移動し装着された。
「窓ガラスからベルトが出た!?」
「本当に懐かしいな、……六花準備しろ」
「了解」
慌てメモリのスイッチを押してシングルドライバーのメモリスロットに挿し込むと同時にこの言葉を、そして師匠は右手のカードデッキをベルトの中央に挿し込むと同時に叫ぶ。
「「―――変身!!」」
【RYUKI!!】
そして私達の体に、いくつかの鏡像が同時に重なり、私達の姿を全く違う物へと変化させた。
「……まさか『ナイト』にまた変身出来るなんてな」
感慨深く呟く師匠の姿は蒼と金の鎧と黒のボディスーツを基調とした正に
「真っ赤、それにこれってドラゴンの頭?」
一方、私の姿は銀の鎧と赤のボディスーツを基調とし左腕に龍の頭部を模したガントレットか装着されたものになっていた。
「じゃあミラーワールドに入るから、俺の左手を掴んで足の力を脱いてろよ」
「はい」
「では鏡の世界へレッツゴー」
そして私は窓ガラスに右手を差し出した師匠と一緒に窓ガラスに吸い込まれて
窓ガラスから飛び出して自分の部屋に着地した。
「私の部屋ですよね?」
「窓から外を見れば違いが分かる」
言われて窓から外の景色を見ると違和感を感じた。最初は分からなかったが少し考えるとをよくわかった。
「ようこそ、
「じゃあ早速、制限時間って何分ですか? あと制限時間超えたらどうなります?」
「聞いた話だと9分55秒。それを過ぎたらもう人生サヨナラ?」
「さよならって……」
呆れた顔をした私を見た師匠は普段はしない真剣な表情で私を見て説明する。
「文字通り人生が終わるんだよ。体が粒子化して何も残らない、ちなみに
「本当ですか?」
「こんな嘘つかねえよ! だからしばらくは、シングルドライバーとライダーメモリは肌身離さず持っといてくれ。後、御守り代わりも渡しとく」
「了解です」
「よし、ならまずこれの説明だな」
そう言ってベルトにはめられたデッキからカードを取り出す。
「まずデッキからカードを取り出しバイザーにセットする。
言われてカードデッキからカードを一枚取り出した。
「ソードベントのカードか、丁度良いな」
取り出したカードには上の中央部に【SWORD VENT】と書かれて、左端には竜の紋章が描かれて真ん中にはゲームに出てくるような剣の絵が描かれていた。
「まず左腕のドラクバイザーの上の部分を前にスライドさせて開いた部分にカードを差し込んで、スライドさせた部分を戻す」
言われた動作を行なうと、機械音が響いたと同時に上から降ってきた剣を掴み取った。
「こんな感じで武器を呼び出す、後は特殊カードなんだけど龍騎にはないんだよなぁ。
響くと同時に師匠の右手に私が握っていた剣と同じ剣が握られていた。
「武器をコピーしたんですか?」
「後は、分身とか超音波とか無効化とかな」
ナイトはな、と呟き次に取り出したカードを私に渡して使ってみてくれと言うのでさっきと同じ動作をした。
すると師匠が増えた。
「分身の術ですか?」
「いや、トリックベントの効果だ」
「私が使いましたよね?」
「北岡トリックだ」
「いや、何ですかそれ?」
説明説明と促すと師匠の身体全体から粒子の様な何かが吹き出していた。
「なんやこれ?!」
「あ、時間切れだな。あっちに戻って説明するよ」
その言葉に頷いて私と師匠はミラーワールドから飛び出した。
ミラーワールドから出た俺は『SEAL』のカードを六花に渡した後、部屋の窓を開けて招き入れる準備をする。
「それとストーカー対策だが『彼等』に協力してもらう」
「……猫笛?! まさか……」
驚く六花を尻目にある存在達に伝わる合図を吹いた。 そしてそれが聞こえてから暫くして
「…ミケ」
にゃー
「…マカロン」
にゃー
「…ニャン吉」
にゃー
「…ソプラノ」
にゃー
「………………ゆきニャー」
…………にゃー♪
「…よく、来てくれた」
「待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ??!?!?」
俺の
「いや、何で叫ぶ? びっくりしたぞ」
「だって最後の猫じゃない!! 人です! 人!!」
そう言って最後に現れた猫耳+猫手袋を装着したゆきニャーこと『湊 友希那』を指さし叫ぶ。
ああ、やっぱり突っ込まれるかと思っていたので現実逃避する為に反論することにする。
「違うぞ六花、こいつは俺のペットの
ゆきニャーだ!!」
にゃーにゃー♪
俺とゆきニャーは胸を張って、六花に視線を向けた。
「ほら『その通り』って言ってるじゃないか」
「…同じ学校の制服なんですけど」
「……そうなのか」
マジで?
勢いで誤魔化せないかな……
「学校で会った時、すごくすご〜~く気まずくなるんですけど」
気持ちはよく分かる、けど他人事なので俺はこう答えた。
「……笑って、受け流せ!」
「無理無理」
To be continued……
『羽丘ニャンコの会』
羽丘近辺に生息する猫たちの集まり。
『猫笛』