「翔兄、フィー兄、遅い」
俺とフィリップが風都署にある一室に入るとそこは重苦しい空気が漂っていて、真昼のこの一言で出迎えられた。
「来て早々この扱いかよ」
「翔太郎、真昼の口調がそっけない時は時は良くない情報を手に入れた時だ」
「良くない情報盛り沢山だ、というわけでもう一度話せ」
俺の愚痴を聞いたフィリップがなだめ、真昼の言葉に短く答えたその男は自己紹介をした後に真昼の口にした良くない情報の内容を話し始めた。
「俺は双見 光、『蒼炎群』のメンバーの1人
「その認識で構わないぜ」
俺の返事に男は口を開き此れまでの経緯を語った。
「……きっかけはアクセルと悪魔に『蒼炎群』を壊滅させられてから全く便りがなかったテツさんから電話が来た事だ」
「……テツさん?」
俺の呟きを拾ったのか真昼が詳しい説明をしてくれフィリップが続きを催促する。
「ボスゴリラの人間名」
「なるほど、それで電話の内容は?」
「【全員に集合をかけたからお前も来い】だった。もちろん断ったぜ。触らぬ
「ボスゴリラの仕業か?」
「多分な。『来なかったらお前がこうなるぞ』って言われたぜ。俺はテツさんが何かのメモリを使ったんじゃないかと思って集合に応じたんだ。それで向こうでなんかのメモリを手に入れてサツに駆け込むつもりだった」
この発言に驚かされたが真昼の返答によりある程度納得ができた。
「『蒼炎群』のメンバーがメモリとドーパントの存在を知ってたが故の行動なんだよ。俺とリュウさんは納得した。問題はこの後、集合して集めた目的を聞かされて揉めた時に起きたんだそうだ」
「揉めた?」
「まあ、そこの
松井尊と自己紹介した男が口を開き教えた内容が気になったので尋ねる。
「なんで止めたんだ?」
「タケルとは仲が良い方だし呼び出された時の会話内容が同じか気になったんだ」
「何故?」
「ボスゴリラがメモリチェック要因としてたんだそうで井坂のような末路を危惧したんだと」
「まあメモリを持ち逃げまで考えてた俺と俺の体としてはありがたいことにテツさんが手に入れていたのはメモリじゃなかったんだ」
「2人の証言からボスゴリラが所持しているのはカードデッキ、だと思うんだけど……」
歯切れが悪い真昼の言葉にフィリップと顔を見合せ俺が代表して聞く。
「思う?真昼が疑う理由は何だ」
「デッキのレプリカを見せてスネークとやらの特徴を聞いてからの推測だけど王蛇のカードデッキだと思う………けど契約してないぽいんだ」
「契約?」
「全員メモリのことをある程度知ってる前提で話す、まずドーパントって何だ?」
真昼の言葉に全員が考え込みやがて
「ガイアメモリを使って変身する怪人だろ?」
「より正確に言うなら【
フィリップの言葉に頷き真昼は会話を続ける。
「次にカードデッキ、これはモンスターと契約することで完成品になると思って構わない。【契約してないデッキ=地球の記憶を入れてないガイアメモリ】と言えばわかるか?」
「つまり【コックローチドーパント】から【コックローチ】を抜いた状態ってことか!」
「その認識で構わない。【コックローチ】がないから空は飛べない、早く動けない、唾を吐けない、その状態を考えてみろ。多少身体能力が上がるだけだろう?」
真昼の言葉に全員が納得するのかタケルとヒカリの2人は腑に落ちないと顔に出ていた。
「なあ悪魔、それならテツさんの指示にスネークが従ったのはなんでだ?契約してなければ聞かないと思うんだけど」
「だよな、テツさんの指示でスネークはヤマトとヒュウガを喰ったからな。それがなかったら誰も従わなかったと思う」
人を喰った?
この言葉に俺は驚くが真昼は冷静に言葉を返す。
「そもそも
「そんな物騒な生き物が風都にいるってのか!?」
俺の言葉に顔色を変える皆に対処法を伝授する真昼。
「だから今ここ最近の行方不明者や失踪届の確認をジンさん達にしてもらってる。それにスネーク対策はこの状態でなんとかなる」
そう言って窓ガラスをカーテンで隠したりしている場所を指さす。
「なるほど、鏡面に成り得る物を隠しているのか」
「そうそう、入口がなければミラーワールドから出られない。2人には暫らく此処にいてもらうけどいいか?」
「命は保証してくれるんだよな」
「重要な証言をしてくれたからな、状況も状況だし減刑を確実に約束出来る」
「よろしく頼む」
こうして貴重すぎる情報を手に入れた俺たちはその日を迎えることになる。
「その前に1つ良いか?」
話がある程度纏まったのを確かめた俺は丁度良いと思ってタケルとヒカリの2人に聞いてみることにした。
「何ですか?」
「いや、真昼と『蒼炎群』が関わったきっかけって何だ?」
「それは僕も気になっていた。今回の件がなければ僕達は知らないままだっただろうし」
俺とフィリップが言うと驚いている2人を見た真昼が口を開いた。
「実は俺もそれは気になっていた」
「「当事者が何言ってやがる?!」」
タケルとヒカリの2人の言葉に頷く俺達だが続く真昼の言葉に納得してしまった。
「いや、いきなり【お前の持つメモリとドライバーをよこしやがれ!!】とか言って集団で襲ってきたから【降りかかる火の粉は火の元から消さないと】の精神で相手したわけだし……当時の俺ってアレだったから」
「殺してないよな?」
当時の真昼を知っている俺が思わず尋ねたのは悪くないはずだ。
「大丈夫、全員が五体満足だった……」
「いや大部分にトラウマ作りやがった野郎が何言ってやがる?」
悲しくなるが言おうと思ってたらフィリップの奴は先に言いやがった。
「真昼は【正義の味方が市民を守らないんですか?】と煽る相手に【いつ俺が正義の味方になったんだ?】と驚きながら殺意全開の一撃を叩きつけるような人間だ。特に当時の真昼に
フィリップの言葉にこの場にいた全員-2には深く頷いた。
「なら納得することにする。……そもそものきっかけは悪魔が【エターナルのメモリと仮面ライダーに変身するドライバーを持っている】って白服の女に教えられたからだ」
「「「「白服?!」」」」
おいおい、とんでもないワードが出てきやがった!!当事者の照井と真昼まで驚いてやがる。
「まさか財団 X か?服装とかばっちり当てはまるけどその割には手こずった記憶がないぞ?2人に聞くけど女は教えただけか」
「いや、メモリを幾つか貰ったな」
「薬とかそっち方面は?」
真昼、当時を振り返りそれを聞くってことはメモリ自体は大したモノはないってか……
「俺達が知る限りではなかった……テツさんがそれを隠していたら分からないと言っておく」
「これはボスゴリラを確保しないと駄目だな。2人に協力してもらうぞ」
「拒否権ねえだろ」
真昼はボスゴリラを確保するための策として2人を利用することにしたみたいだ。
「ボスゴリラと電話してくれない?」
俺が考えたコレに多少のアドリブを加えてよし、そう言って話を聞きながら3分で考えたボスゴリラ挑発文章を見せる真昼に2人は顔を青ざめて反論しようとするが真昼がこの一言を告げてやめさせた。
「連絡取れたら俺に変われ、面白可笑しく相手してやる。協力してくれるなら減刑を確実に実行されるよう俺が保障する」
これがトドメになったのか
揉めなくて良かったと思った俺は決して間違っていない。
その電話が終わりの始まりになったと『蒼炎群』の1人は口にする。
「おいヒカル!!何で戻ってこねえんだよ?!」
そう怒鳴り散らすリーダーを見ながら巻き込まれないように距離をとると信じられない言葉が聞こえてきた。
「テメェ、悪魔か!?」
テツさんの叫び声に近い言葉にこの場にいた全員の顔色が蒼白になる。
悪魔
それは俺たち『蒼炎群』に終わりを与えた男を示す言葉。
仮面ライダーは正義の味方ではないと知らしめた男。
「日時の指定だ?!そんなこと、てめえが言える……クソがッ!!」
おい、アクマ。テツさん怒らせないでくれよ、お願いだからさ。俺達にとばっちりが来るんだよ。
「テツさん、悪魔はなんて……」
「あの野郎、聞き入れなかったらエターナルのメモリを砕いて俺達に送りつけてやるけどどうする?て言いやがったんだよ!!」
そう思いながら部屋を出て行くテツさんを見ながらこれからどうするべきか思案することになる。
「テツさん、連絡遅くなりました」
『おいヒカル!!何で戻ってこねえんだよ?!』
スピーカーモードにしているスタッグフォンから聞こえる怒声に大分苛立ってるなと思いながら続けろと促す。
「すいません、俺とタケルはアクセルに捕まりました」
『なんだと!!使えねーな』
よし、チェンジ。
そう伝えると立ち位置を変わった俺が口を開く。
「おいおい五十歩百歩、どんぐりの背比べだろう?俺から見たら大して変わらねえよ」
『テメェ、アクマか!?』
「いやあ、暫らくぶりだなあ。テメエの存在なんか病院から消えたって聞くまで思い出しもしなかったぞ、今度は何の用だ?」
エターナルのメモリーとドライバーを狙っていたと聞いたが今でも狙ってるか分からん。財団 X らしき影が見え隠れしている以上俺の持つモノ(魔術礼装や他色々)も狙われると思っておくべきだろうなあ。
「決まってるだろう!てめえのメモリとドライバーだ!!そして俺がエターナルになるんだよ!!」
身の程知らずと言いたくなるの堪えて俺はある提案擬きをする。
「お前がエターナルに?……俺にそんな愚物作るのに協力しろと?なら13日の14時に蛍火地区郊外にある廃工場の跡地に来い。そこでケリつけてやる、受け入れないならエターナルメモリをメモリブレイクしてその残骸を贈ってやろうか?賢明な判断を期待しているよ」
スマホの通話を切ると周りの視線が俺に吸収していた。
「言いたいことがあったらどうぞ」
「なんで廃工場の跡地を指定したんだ?」
「ああ、そこは俺たちが大道克己と初顔合わせしたところなんだ」
「そんな場所があるのか」
「この騒動が収まった後にでも見に行ってくれ」
そしてその日を迎えることになる。
「それにしても上手くいくもんだ」
目の前で両手をあげ降参しますと言って大人しく護送車に乗る『蒼炎群』のメンバーを見て思わずそう口にする俺は悪くない。
「まー、テツさん居ないし何とかしてくれると身の安全を保障されれば嫌嫌集められた連中は楽なほうに付くのが目に見えたからさ」
そう呑気に言っている
「問題は真昼の方だな」
「まあ本庁から人が来たって話だし大丈夫だろ」
「マッキー、その人、真昼を止められるような人か?」
「…………」
俺の言葉に黙っちまったマッキー
「おい、何とか言ってくれ」
「…降谷警視なら大丈夫だ、と思う」
縛りだすように言うが全く安心できなかった。
To be continued……