「やあ、ボスゴリラ君。会えてちっとも嬉しくねーよ」
挑発半分安堵半分籠った言葉を口にした俺に向かってボスゴリラが叫んだので応えてやった。
「おいアクマ!!エターナルのメモリは持ってきてるんだよな!!」
「此処に有る」
メモリを起動させたらタダでさえ下品な顔を更に歪めて歓喜の声を上げた。
「ははは、さっさとテメーを殺してそのメモリとドライバーを貰ってやるよ」
「いやいや、【碌な死に方はしないと確定してるだろう】けどお前ごときにやられるほど諦め良くないんだ。俺は、な」
後ろの水たまりを入り口に現れたベノスネーカーを近くに不法投棄された廃車のフロントガラスから現れたドラグブラッガーに邪魔させてシングルドライバーを装着。
「ガジェットをマキシマム発動可能に調整してもらってよかったわ、変身!!」
エターナルに変身した俺の言葉にボスゴリラは汚い満面の笑みを浮かべ叫んだ。
「俺が!あの人を継ぐんだ!!」
そしてVバックルにカードデッキを挿入し王蛇に変身するボスゴリラ。
この時点で俺は多少冷静になれた。
何故ならそこにいたのは
「ドーパントじゃなくて仮面ライダーに変身するなんて驚いたな。で、名前無いなら俺がつけてやろうか?仮面ライダーコングなんてどうよ」
「ザケンナー!!」
動揺を隠すために少し煽っただけでキれたボスゴリラはベノサーベルを装備してこっち来たよ。
「まあ、『それがどうした?』って言えるだけの差があるんだぜ。こっちにはな!!」
メタルシャフトを握り左手に起動させたヒートメモリをシャフトのメモリスロットに差し込み迎え討つ。まあ使用者に一定以上の戦闘能力を与えるカードデッキを使い変身するタイプのライダーだからボスゴリラはある程度は
「まあ……これぐらい出来ないとな!」
シャフトの先端にヒートの効力で発生した高熱を纏わせてベノサーベルにぶつけて地面に叩きつけてバランスを崩したところに勢いをつけた廻し蹴りを叩き込んで吹っ飛ばした。
「まあ、こんなものか……」
王蛇相手にどこまでやれるか心配だったが浅倉 威という狂人が変身した王蛇と比べたのが間違いだったな、これ……
「手を伸ばして足掻いた末路が
響くと同時にシャフトの先端に高温の炎が灯るのを見ながら地面に蹲る王蛇にトドメの一撃を
浴びせることはできなかった。
呼び出されたベノスネーカーとゴリラが一つに重なり文字通り合体したからだ。
「いや、【ユナイトベント】ってモンスター同士を合体させたカードじゃないのか?!」
さすがにこれは想定してなかった俺は一旦距離を取ろうとするが合体王蛇(以後ラミア)の口から吐き出された液体がメタルシャフトの前半分と左腕に触れてしまい煙を出す。
「浴びたら NG かよ。確かにベノスネーカーも似たような攻撃できたけどさ」
正直モンスターと戦ってると錯覚しそうになる。そして俺はどうするか思案する。
「おいおい、さっきまでの態度はどうしたんだよ!!」
しかもラミアは調子に乗って攻勢に出てくるし……仕方ない、やってみるか!!
【TRIGGER !!】
使い物にならなくなったメタルシャフトをラミアに投げつけると同時にエターナルガンエッジ のスロットにトリガーのメモリを、ドライバーのマキシマムスロットにルナメモリをセット。
複雑な軌道を描きながら迫る弾幕に戸惑うラミアを横目に行動に移す。
「来てくれ、スタッグフォン!!」
「ミラーワールド突入機能を持つことは使用者によってはかなりの利便性を持つ、と」
氷川 真昼に気づかれないように細心の注意を払いこの戦闘を観察する私はそう言葉を漏らしていた。同僚からも注意される癖だがこれは考えを口にすることで思考を形にまとめるルーティンのようなものなので気にしない。
「『一定の戦闘能力を与える』と言えば聞こえは良い、がそれは極限に至る可能性を狭める。やはり『サバイブ』のデータが必要ですね」
エターナルからその姿をリュウガに変えた氷川 真昼相手に防戦一方の王蛇を見ながら呟く。
「王蛇のデッキのコンセプトは『契約モンスターを追加することによっての戦闘能力の増強と戦闘手段の多様化』。サバイブは『ライダーと契約モンスターを強化することによっての
そして手元に視線を移しこの姿を見ながら口を開く。
「その結果として作られたこのデッキは同種として観測されたモンスターを同一個体として契約することでそれなりの性能を与えられるようになった」
さて 『サバイブ』のデータを手に入れるために介入するか、次の機会を狙うか。上空から轟く咆哮を聞き私は次の機会を狙うことにしてこの場から立ち去った。
【高校生探偵】
そう聞くと思い出すのは彼のことだ。
推理ショーの
まさか
それに、真昼君は彼とは明らかに違うと出会って少し話しただけでわかった。
どちらかと言うと彼は探偵と言うより……
なんなんだよ!
「来てくれ、スタッグフォン!!」
そう叫んで呼び出したメカみたいな何かから取り出したメモリ使ってエターナルから姿が変わった悪魔はスネークと似たような龍を呼び出しやがった!
「悪いな、これでお終いだ!!」
【FREEZE VENT】
それと同時に俺の体の下半身が凍り付き身動きが取れなくなっちまった。
「【
この状況をなんとかしようとカードを取り出したがさっきのメカがカードを持つ手にぶつかり衝撃で弾き飛ばし俺の足元に落としやがった。
「これでチェックメイトだ」
足掻いていた俺は顔を上に向けて……黒龍が放つ黒い炎を纏い、飛び蹴りの体勢に入った悪魔の姿が近付いて来たのを見てしまった。
「動くなよ!! 動くと……後始末その他がめんどくさいんだよ!!」
身体に力を込めて凍りついた体を何とかしようとして逃げようと足掻くがどこかで分かっちまった。
避けられない、と。
「…る……な…」
終わりたくない! 俺はまだ……
「クソがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??」
……あの人を継いでない!!
「真昼君!」
周りの状況を確認し安全を確保しながら彼に近づき労う。
「降谷さん、ボスゴリラ生きてます?出来るだけ手加減したつもりなんですけど…」
「ちゃんと人間の形を保っている。それとボスゴリラが呼び出したモンスターも消える寸前だ。後はこちらで対応を……」
息を荒げて呼吸を整える彼との会話を即座に止め、2人で『今居る場所から全力で離れろ!!』と叫ぶ直感に従い全力疾走を開始。
その直後に先ほどまで居た場所の地面が目で見て解るほどに陥没していた。
「狙撃だって?いやどこからだ?!」
「降谷さん、ここから2キロ先の建物に…来る!!」
直後に『蒼炎群』のボスの頭部が吹き飛んだ。その光景を見ながら2人で自分達の安全を確保するのが先だと決めて近くの工場跡の建物の1つに飛び込んだ。
「頭ぶっ飛んだけど何か使われたか分かります?」
「対物ライフルかな?けどこの国でどうやって手に入れたんだ!!」
「それと狙撃手もですよ!かなりの腕前ですよね!!」
言葉を交えながらも入った建物を目晦ましにして繋がってる別の工場跡に入り荒れた呼吸を整えて様子を探る。
「追撃が来ない?」
「真昼くん、狙撃手は?」
「消えてる?嘘だろう?!探知範囲にもいない?貼り直すのに5分も掛かって無いのに?!」
「追っ手は来るかい」
疲弊した彼と彼のライダーシステムが狙いかと思い懐から銃を取り出す。
「それらしき気配はない、ですね……口封じが目的だった?」
「とりあえず緊急手配を要請しないと」
こうして主犯格死亡の形でこの一件は幕を閉じることになる。
To be continued……
仮面ライダーリュウガ(真昼ver)
氷川真昼が初めて変身した仮面ライダー。
本来はミラーワールドの城戸真司が変身する仮面ライダーであったが神崎士郎によるタイムベントの多用によってループした記憶がデジャブという形で残ったために神崎結衣の願い『ライダーバトルが続くことを望まない』を叶える為、自身ではそれが出来ないと悟り自身のカードデッキを氷川真昼に託し(デッキと融合する形で)消滅した。
容姿とスペックはオリジナルリュウガと同様。
仮面ライダーリュウガ(真昼ver)構成カード内容
カード名 効果
ADVENT(アドベント)
ドラグブラッカーを召喚
SWORD VENT(ソードベント)
ドラグセイバーを装備
GUARD VENT(ガードベント)
ドラグシールドを装備
STRIKE VENT(ストライクベント)
ドラグクローを装備
昇竜突破を発動
FINAL VENT(ファイナルベント)
ドラゴンライダーキックを発動
STRANGE VENT(ストレンジベント)
使用するとランダムに他のカードに変化する。