Pとの邂逅/相棒と友達と猫友と
スマホのLINEに届いた六花からのメッセージに、俺は思わず口元を緩めてしまう。
俺が返信すると、すぐに既読マークが付いた。
そして……
その返事と共に、嬉しそうな笑顔を浮かべた女の子のスタンプと一緒にこんなメッセージも送られてくる。
そう尋ねられ、俺は少し考えた後で……
と返すと、すぐさままた彼女からメッセージが届いた。
「えっ?」
突然のお誘いに俺は驚く。
――いいんです。来て下さい!――
だが彼女は頑として譲らない。………………
結局、押し切られた俺は、彼女の下宿先の『旭湯』に到着し、中に入った瞬間いきなり駆け寄ってきた六花に抱きつかれて……
満面の笑みでそう報告されて、戸惑うばかりだったのだった。………………
「お待たせしました」
暫くして、部屋の奥から現れた六花はそう言うと、部屋の中にいた2人の女の子を紹介してくれた。
宇田川あこ。
戸山明日香。
2人は同じ高校の同級生だそうだ。
どちらも同じ1年生らしい。
「この人が六花の言ってた『私が自慢出来る頼もしい人』なんだね!」
宇田川さんは目をキラキラさせて俺を見つめる。
「はい!師匠はとても素敵な方です!!」
六花は自信満々で言うけどさ……そんな風に言われると、何気に照れるんだけど……。
それにしても……
「……どうしました?さっきから私を見て首を傾げてますけど?……」
「ああ、ごめん。ちょっと思ったんだが……戸山さんって歳が近いお姉さんっているか?」
「へぇ!?」
俺の言葉に何故か宇田川さんが大きな声を上げる。
「そ、それってもしかしてナンパですか!?」
「えっ?ちがう、ちがう。昔の知り合いに雰囲気似てるなと思っただけだよ」
慌てて否定する俺。
「あー、なるほど。そういう事ですか……いますよ、1個上の高2の姉がいます」
……なるほど、確認しよ。
「名前は?」
「香澄です。戸山香澄」
ビンゴ! やっぱり、アイツか!!
「頼む!俺の存在は黙っていてくれ!!」
両肩を掴んで必死の形相で懇願する俺。
だって、もしアイツに知られたら絶対に面倒臭い事になるに決まってるからな。
でも、戸山さんの答えは意外なものだった。
「えっと、別に構いませんけど……」
「本当か!?ありがとう!!」
なんて聞き分けの良い子なんだ!!
感動しているとドス黒いオーラを纏う六花に後ろから肩を掴まれた。
「……師匠?一体どういう事でしょうか?……」
振り返ると、そこには笑顔を浮かべながらも明らかに目が笑っていない六花の顔があった。
「あっ……」
ヤバい!なんか勘違いしてる?!!
「まぁ、まぁ、落ち着いてロック。とりあえず座ろうよ」
慌てる俺に対して、宇田川さんは慌てて助け船を出してくれる。
本当に助かった。
ありがたい!!なんて良い子達なんだ。
「そうだ。立ち話もあれだし、とにかく座りましょう」
そう促すと、みんな畳に腰を降ろして座ってくれたのだが……何故か六花だけは立ったまま動かない。
「どうしたんだ?」
不思議に思って尋ねると、彼女は俯きながら言った。
「師匠の隣に座っても良いですか?」
「えっ?それは構わないけど……」
「やった♪」
嬉しそうな表情を浮かべて、六花は俺の隣にちょこんと正座する。それを見ていた宇田川さんて戸山さんはニヤリと笑ってから、俺達とは向かい合うように腰を降ろす。
そして……
「ところで、お二人はどんな関係なんですか?付き合ってるんですか?」
早速、興味津々といった感じで戸山さんが尋ねてきた。それに対して六花は顔を真っ赤にして否定する。
「つつつ、付き合ってないですよ!!」
「ふーん。じゃあ、どんな関係?」
「えっと……師匠は私のギターを教えてくれた仲で……えっと、えっと……」
落ち着いて考えればすぐに分かるだろうに、テンパった六花は上手く言葉が出て来ないようだった。だから、俺は代わりに答える事にする。
「今はその縁で色々アドバイスしてるんだよ」
「そうなんです!師匠のギターは凄くてカッコいいんですよ!!」
「へぇ~、ちょっと聴いてみたいなぁ」
宇田川さんの言葉に六花は嬉しそうに大きく何度も首を縦に振る。
「是非!聴かせて欲しいです!師匠のギター聴きたいです!」
「えっ?ここで?」
流石にそれは恥ずかしいんだけど……。
だけど、俺の戸惑いをヨソに話が纏まりそうになっていた。
結果……
「分かった。じゃあ、せっかくの機会だし弾いてみるよ」
俺は六花からギターを借り取り出したアコギを手に持って構える。
すると六花はスマホを取り出してから俺に向けてシャッターを切る。
「何やってるの?」
「師匠の格好良い姿を撮ってるのです!」
「そうか……他に見せるなよ?」
「了解です!」
そんなやり取りをして俺が集中力を高めて一曲弾いた。
曲は昔、湊のオジさんに教えてもらった……『LOUDER』
弾き終わると、宇田川さんと戸山さんはかなり戸惑っていた。
「ねえ、あこ。この曲って?」
「うん。『LOUDER』だよね?なんか違和感あるけど?」
2人の反応に六花と一緒に首を傾げると何か思い出したのか六花を説明してくれた。
「そう言えば師匠、湊先輩と知り合いでしたよね?その関係でこの曲を教わったとか?」
「いや教えてもらったのゆきにゃーのおじさんだけど?」
「湊先輩、ガールズバンド組んでまして……そのバンドの持ち曲なんです」
「へぇ、なるほどね」
俺達の会話で納得する2人。
「…ちなみにあこちゃんは湊先輩のバンド、【Roselia】のメンバーです」
「……なるほど、宇田川さんはかなりの腕前と」
俺の呟きにドヤ顔をした宇田川さん。
「当然!あこのドラムは天下一品だよ!!後、名前呼びで良いですよ!」
「そっか……」
俺が関心していると、今度は戸山さんが口を開く。
「あの、私も1つ聞いて良いですか?」
「ああ、何でもどうぞ」
「お姉ちゃんとどう言った関係ですか?……」
「ああ、ガンプラバトル関係で知り合ったんだ。けど次の大会から姿見なくなったからそれっきりか……元気か?」
「……はい。とっても元気ですよ」
寧ろ元気じゃないかーくんの姿を思いつかないな。
「それは良かった。ところで他に聞きたい事ってある?」
「……はい、真昼さんは他に何が出来ますか!」
目をキラキラさせて尋ねてくるあこさん。
「そうだなぁ……」
俺が悩んでいると六花がカンペを取り出した。
①バイクの運転(良いかも)
②変身(ちょい待ち)
③猫語(良い……のか?)
④外国語での会話(良いかも)
どれにしよう?
悩んだ末に俺はこう答えた。
「猫語が話せる」
「「「……」」」
あれ?なんでみんな黙っちゃうの??
それに六花もさっきまであんなに騒いでたくせに急に静かになってどうしたんだ?? 不思議に思っていると、突然あこさんが立ち上がって叫んだ。
「凄い!凄すぎます!!是非ともあこ達に見せてください!!」
「い、いや、それは構わないけど……」
…部屋の窓開けて、と。俺は猫笛を吹き畳の上にブルーシートを敷く。
ニャァ~ン
すると、どこからともなく猫逹のにゃん吉が現れた。
「可愛いぃ~!!」
抱きかかえるあこさん。その間にもミケ、マカロン、ルビーが入室し最後にゆきにゃーが入り窓を閉めた。
「「……えッ?」」
驚く2人を尻目に六花は投げやりな溜息を吐き出す。
「これで今回はおしまいです」
「……どういうこと?」
戸山さんは理解出来ずにキョトンとしている。
「実は……」
六花は戸山さんに事情を説明する。
「へぇ、そうなんだ。……って、ちょっと待って!!?」
そう叫んで俺から距離を取るかーくん妹。まあ、その反応は分かる。
「大丈夫。別に襲ったりしないよ」
「いえ、そう言う意味ではなくてですね……」
「じゃあ、どう言う意味?」
「えっと、その……女の人をペットにするのはマズイと思うんです!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ彼女。
「……そうなのか?」
ゆきにゃーと顔を見合わせるがイマイチ分からん?
「いや、明日香ちゃんの反応が普通だと思いますよ」
そう言って六花も同意する。
「いや、でも……俺の女性関係が……参考にしちゃ駄目だな」
ぶっちゃけ話すと軽蔑間違いなしだからな。
「確かに師匠の女性関係がアレな感じですが……私を除いて弁明の余地有りですから!」
酷い言われようだな……。因みに六花以外にも2〜3人程弁明の余地無しがいる。
だけど、言い返す言葉もない。
「という訳でゆきにゃー、人間に戻ろうか?」
「にゃ♪」
そうして、ゆきにゃーは人間の湊友希那に戻る。
「……で、言いたい事は?」
俺の問いかけに顔を真っ赤にして俯くゆきにゃー。そしてあこさんと明日香さんの肩に手を乗せて言った。
「忘れなさい……」
「いや、無理でしょ」
「無理ですよ」
「だよねぇ……」
俺の呟きにガックリと項垂れるゆきにゃーだった。
そんなこんなで今日は解散となり俺はハジンを運転し家路を急ぐ。
………が問題発生。
「……なんか、事故でも起きたか?」
前方からパニック状態の老若男女の集団が逃げてくる。
「……マジかよ」
嫌な予感しかしない。
ハンドルを切りUターン。
アクセル全開で加速し近くの脇道に入りまる。
「何があった?」
「怪物よ!怪物が暴れてるの!!」
周りの声を聞いた俺は人目が無いのを確認しシングルドライバーを装着しリュウガメモリを起動。
「変身!」
俺は仮面ライダーリュウガへと変身しミラーワールドに飛び込んだ。
バンドでの練習を終え、サークルを出た瞬間いきなり現れた男性が手元に持っていた何かを体に刺した瞬間、其処に化け物がいた。
全身が銀色に輝く甲冑のような姿。手には禍々しい剣。
その姿はまるで……物語に出てくる怪物みたいだった。
「えっ?何これ?何なの??」
私が混乱していると他の人達も異変に気付いたのか騒ぎ出す。
「……ねえ、何あれ?」
「なんかのショーか?」
「ヤバいじゃん」
私達は怖くて動けなかったけど皆は違う。
悲鳴をあげどんどん人が離れていく中、怪物は一歩ずつ私達に近付いてくる。
「……嘘でしょ?……怖いよ」
誰か助けて。
そう思った時、
すぐ後ろからそう聞こえたと同時に私達を飛び越えてその人は現れた。
「おい、アンタら。早く避難しろ!」
物語に出てくるヒーローのような存在がそこに居た。
To be continued……