「悪いが話す気はない、君にはあの場所で死んでもらうよ!」
警告音と柴田の宣告が耳に届くと同時に俺は側面から現れたナニカによって突き飛ばされソコに、目に映る全ての光景の物が鏡越しで見たかのように映る場所にして嘗て
「……ミラーワールド?!・・・
何がヤバいかというと今の俺がミラーワールドから出られる手段が皆無だからだ。
最初の時だって『リュウガのカードデッキ』をシン兄から渡されなかったら出られなかったのは間違いなかったからな。最悪懐の
「悪いね、氷川君」
「?! その、姿は…」
金色に彩られている装甲と黒色のボディースーツを纏い、契約モンスターの一部を模したであろう左腕の鋏型の
そして腰に装着された
懐かしさすら覚えるソレは両手を上げ高らかに謳う。
「この街では僕の様な存在をこう呼ぶのだろう?」
「悪いが君には死んでもらうよ、僕が変身した『仮面ライダー
高らかに口に出すその言葉に思った事……
「……名前ダッサ」
ひょっとしたら俺よりネーミングセンスが無いんじゃないかと思ってしまう。翔兄の場合必殺技名とか良いんだよな、俺も幾つか考えてもらったし……
「冗談を言えるのも今の内さ!」
考え込んでいたら接近されていたので慌てて距離を取りシングルドライバーを装着、エターナルのメモリを取り出・・・・・
「仕方ない…って・・・無い!?!??」
慌てて辺りを見渡し・・・ミラーワールドの外を映す車に落ちているのを見つけてしまった。
「最悪だ!?」
「ちょこまかと!」
「いや、死にたくないからな」
ゴールドクラブの攻撃を全力で避け続けている俺は覚悟を決めて懐から取り出した
「悪いな先生。今の俺はギャンブラー
ガイアヴェスパーが鳴り響くと共に無色のガイアメモリは俺の手を離れ、空中で目紛るしく変色しながら輝き始めた。
「さあ、
トランプで言う「切り混ぜ」の記憶を内包した【スイッチを押した者の適合率の高い記憶を宿すガイアメモリに変化する】特殊なメモリである。
だが俺は
『使用者が必要と思う記憶を宿したメモリに変化する』と。
だからこの状況ではーーーミラーワールドから脱出する為に適した手段に関わる記憶ーーーを宿したガイアメモリに変化する。
そう思っていた。
だが、響いたのは始まりの……既に俺からは失われた
「ッ?!……変身!!」
慌てて掴み取り、そして起動させたリュウガメモリをシングルドライバーのスロットに挿し込み斜めに倒す。そして俺の体に複数の鏡像が同時に重なり、自身の姿を懐かしさを覚える物へと変化させた。
闇夜を思わせるプロテクターとボディースーツを纏う身体に
頭部に描かれた黒き龍の紋章。
そして腰に装着された
「なんだ、その姿は?!」
「……リュウガ」
驚くゴールドクラブを横目にカードデッキから取り出し
「この姿は、仮面ライダーリュウガだ!!」
認証音と共に空中から現れ手元へと落ちて来たドラグセイバーを右手に握りゴールドクラブに振り落とした。
こんな筈じゃなかった。
氷川をミラーワールドに入れて消滅させようとした。だがあのモンスターを撃退したのを思いだし確実にトドメを刺す為に変身した、それだけだった。だが現実は俺と似たような仮面ライダーに変身した氷川に圧倒されていた。
「遅い!」
「嘗めるな!!」
呼び出した
「爪っぽい武装2つで益々蟹に近付いてるな!!ならじっくり焙ってやるよ!!」
その音声と共に氷川の右腕に装着された龍の頭を模した黒い籠手で左頬を殴らたれ俺はその衝撃で地面へと弾き飛ばされたと同時にその言葉を耳にした。
「こんがりと、焼かれやがれ!」
「ガアァァァァァァッ?!」
起き上がりかけた俺にそう叫ぶと共に突き出された氷川の右腕に装着された籠手から噴き出した黒炎に焼かれ地面に再び倒れ身体に受けたダメージの多さに踞る。そしてそれが全てを決めたのだ。
「先生、思いっきり足加減するからさ…」
氷川の言葉と同時に響いたのは、
「ハァァァァァァ……」
氷川が気合いを込めた声を口から漏らすと同時に宙に跳び上がる、その周囲を黒龍が飛来し、ある程度の高さまで到着した瞬間……
「……ハァッ!!!」
黒龍が放つ黒い炎を纏い、飛び蹴りの体勢に入った氷川の姿が近付いて来た。
「動くなよ!! 動くと……痛いぞ!!」
身体を起こし逃げようと足掻くが分かってしまった。
避けられない、と。
「…る……な…」
終わりたくない! 俺はまだ……
「来るなああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??」
そして俺の身体に氷川の必殺技が直撃し激しい衝撃と共に俺の意識は薄れ……
……消えた。
『柴田先生は、一身上の都合により県外に転勤となった』
その日のホームルームこの一言で始まった。
内容は県外に住む両親が事故に遭い介護が必要になった身の上になってしまった為に一人息子である先生が対応できるように両親が住む県に近い学校に転勤となりしばらくの間は生徒指導の西村先生が見ることになったとのことでした。
……文月学園では表向き、そう伝えられた。
風都警察署の一部屋で集まる風都に
「……それでどうだった?」
「駄目だ、柴田は本人の供述通り巻き込まれただけだな。ティーチャーメモリはフィリップの調査が終わり次第メモリブレイクする」
「ブレイクしないと2ーAの生徒達にかけられたメモリの効果は消えないから仕方無いけど」
翔兄とリュウさんの会話に思わず口を挟んだ俺を2人して見てくるがその顔には仕方ないと描かれていた。だって押収したティーチャメモリを調べたフィー兄の調査報告と取り調べた柴田の供述でとんでもないことが分かったんだからな。
「羽柴 旭は?」
「駄目だ、完全に壊れてる」
ミラーワールドから無事に戻れた俺は鉄人に連絡を取り柴田を生徒の目が届かないところに持って行った後、翔兄とリュウさんを極秘に
「今は女性警官を中心に監視させている。男性が視界に入ったら恐らく……」
「最悪だ」
あの時、柴田が俺の提案を断った理由がそれだった。
柴田は羽柴 旭にティーチャーメモリを使用していた。
----羽柴 旭は自身が母親に
「ああ。フィリップに聞いたが『メモリブレイクしても記憶の再認識から精神崩壊する可能性が高い』と言われたよ」
やりきれないと表情に出ている翔兄に同感しつつも俺にとっての本題を聞く。
「……カードデッキの方は?」
「真昼との戦闘の衝撃で壊れてたからな、フィリップからは使い物にならないそうだ」
「けど、ミラーワールドの調査ならコレがある」
懐から漆黒の色を宿したガイアメモリを取り出し2人に見せる。
「『仮面ライダーリュウガ』の記憶が宿ったガイアメモリ、いや『ライダーメモリ』って呼ぶべきだな」
「使えるのが氷川だけなのが気がかりだが…」
リュウさんはそう言うが俺としてはエターナル以外の
「そう言えば氷川、学校の方はどうなった?」
「突然の出来事で驚いてはいたけどそんなに騒ぎにはなってないよ」
「そうか」
俺の言葉に安堵する翔兄とリュウさん。
「まあ、柴田が部活動の顧問とかしなくて本当に良かった。引き継ぎもそんなにもめずに済んだって西村先生から聞いたし」
「教師達に頑張ってもらうか……学園長や西村先生はドンマイだな。まあ真昼は暫く学業に集中ってことで良いよな?」
「はいはい」
To be ……
「ふむ、これはこれでイイモノが見れましたね」
そう言葉を発するソレを
【左腕の召喚機とカードデッキに刻まれた鮫のエンブレム】をもつ
仮面ライダーアビス、と。
……continued