授業が終わり、ある程度メロディの元を作っておきたくて教室に残って作業をしていた。最初の3秒はある程度は出来たのだが、まだ納得はいかなかった。そんな中、私がいる2年の教室に1年であるDJクノイチこと犬寄しのぶが現れた。
「やっぱりいた。おーいヴァルゴさん」
急に呼ばれたスピカはしのぶの方に振り返った。1年のしのぶがそこにいたので、用件を聞くことにした。
「大分悩んでいるみたいだね、また何か作ってるの?」
「ええ、ライブツアーのツアーアンセムを作らないといけなくてね、相方の人にメロディを作ったら渡さないといけなくて相当悩んでるかな」
今悩んでいることを全てしのぶに教えた。夏の時にソロアルバムのボーカル曲でアドバイスをくれた相談相手だったために相談には乗ってくれると思って教えた。
「ああ、そういうことならアタシたちのライブに来なよ。アンセムのヒントにもなるし、何より息抜きになるし...それに、トラックメイクを見せてくれたんだからそのお礼もしたかったし」
それはスピカもありだと思った。陽葉学園最強と言われているユニットのPeaky P-keyがどんなライブをしているのか、どういう曲をしているのか興味が湧いていた。ツアーアンセムの大半がボーカル曲、ボーカル曲の作り方というのがこの間のソロアルバムだけの経験しかなかったので、どうしても経験不足を補うしかなかった。
「そうですね、ピキピキのライブは正直興味があったので、行きましょう」
ライブスペースに到着し、私は始まるのを待っていた。そこには転校してきたばかりのりんくと巻き込まれた真秀もいた。(アニメ第一話を参照)始まるまでのこのそわそわ感というのはここ最近、私は経験していなく、寧ろ逆の立場に立っているということもある。それに、9月の頭くらいに東北の方でツアーライブをしてきたということもあった。
「久々に見る側に立ったなぁ、ピキピキの人達はどんなライブを見せてくるのだろうか」
そう思った時、ライブスペースの照明が消え、ピキピキの人達のライブが始まった。最初に『電乱★カウントダウン』が始まり、そのライブをしている姿を見てトップに君臨している理由をすぐに見つけてしまった。圧倒的なカリスマ力と歌唱力、おまけにDJクノイチのDJテクニックが相まってかなりハイレベルなのが見て取れた。
「成程ね、これならトップにいるのも納得だね」
ライブが進んでいき、それを見ていてヒントは掴めたと思う。それを上手く自分の得意分野に落とし込めるかが腕の見せどころでもあるし、貴重な体験をしたということもあってすぐにでも作りに戻りたくてうずうずしていた。
ライブが終わり、私は急いで帰ろうとしていたのだが、校門前にしのぶちゃんが私を待っていたかのようにガムを噛みながら待っていた。
「しのぶちゃん、どうしたの?」
「感想を聞きたくてね、何かヒントを掴んだみたいな顔をしていたし」
分かる人には分かるんだねと思い、ピキピキのライブの感想を全て話した。ハイレベルなユニットであるということ、一つ一つの曲の出来の良さと曲のピーキーさ全て...。しのぶちゃんもピーキーであるということ自体は否定はしなかった。寧ろ軽く笑ってすらいた。
「流石はプロのトラックメイカーだよ、曲のピーキーさと作りの良さは全くもって正解。それで、ヒントが掴めたならアタシが誘ったことは正解ってことでしょ?」
「そうね、あとは私流にそのやり方というのを落とし込むだけよ」
「まあ頑張りな、次またライブするならまた遊びに行くからさ」
「ええ」
そう言って私は自宅に帰宅し、早速DAWを起動して作業に取り掛かった。DAW落ちは意外にも今回はせずにメロディが完成し、それを師匠であるキャンサーに音声データとして送った。一息つくためにと縦型のモニター側に移動し、音ゲーを始めた。
「青薔薇、あの曲を初見で996乗っけるとか本当にバケモン。私苦手なんだよなぁ」
そうボヤキながらその曲を詰めにかかった。初見では995と及ばなかったが、その後にPerfect出したのだが、青薔薇に関してはとっくの前にPerfect出していた。
明日から転校する陽葉学園、メンバーである3人と一緒に芸能活動しながらの学校生活になるという期待と新たな環境という不安の心境があった。
「とりあえず筋トレして気を紛らわすかな」
次にあのキャラが出てきます。