「そうだ、明日フォトンのメンバーに会したいから昼時間に中庭に一緒に行かない?」
「いいよ、どんなメンバーがいるか気になるから行くね」
そう言って帰宅し、自分の家に着いて衣舞紀と別れた。私はそのまま着替えて夕飯と風呂を済まし、自分の部屋で私がよくやっている音ゲーの楽曲公募のための曲を作成していた。DAWも今回は落ちずに作業が出来ていたこともあって、ある程度作成が終わった。
「新島衣舞紀か、あいつのようなことにはならないことを祈りたいけどね」
そう思いながら作業を済ましてモニターを縦にして音ゲーを寝るまでプレイしていた。
翌日の朝、衣舞紀は日課としているジョギングに出ていた。いつも走っているルートとは違って、今日はスピカの家がある方に走っていた。
「スピカはこの時間はまだ寝ているのか、何時に起きているんだろう」
陽葉でできた新しい友人であり、プロのトラックメイカー。さらにはあのDJテクニックを目の当たりにしてしまっては気にしてしまうのは仕方ないのかもしれない。そう思いながらiPodの中にあるプロデューサーの曲の流しながらUターンして家に帰った。
家に帰って朝食を済まし、支度を済ませて咲姫のための弁当と私の弁当を鞄に入れて家を出た。そこからすぐに学校へは向かわずにスピカの家に着いた時には丁度スピカが家から出てきた。
「衣舞紀、どうしたの?」
「折角なら一緒に登校したくてね、昼時間行くでしょ?」
「約束したからね、行くよ」
そう言いながら一緒に登校していた。その後ろを何者かにつけられているとも知らずに...。
自分のクラスに着き、自分の机で新しいプラグインを探していた。今のままでも良いのではあるが、新しいものというのを試したくて1つだけ買おうとしていた。
「良いの無いな、どうしようかな」
「何探してるの?」
「トラックメイク用の新しいプラグイン、新しいものを試したいんだけど良いのがなくてね」
そう言って話してたら朝のHRが始まり、いつもと変わらない普通の時間が流れてた。ただ変わらない時間...。だけどいつもと違うのは、スピカの目の前にいる新島衣舞紀という存在が現れた事。今のこの空間、時間がとてもスピカにとってかなり居心地が良かった。
昼時間になったときに衣舞紀から中庭に一緒に行こうと誘われ、一緒に向かうことにした。中庭に着いた時には既に他のフォトンのメンバーが集まっていた。
「お待たせ、待たせたかしら」
「大丈夫です。今来たばかりですから」
「そっちの人は?」
「紹介するね、私のクラスメイトで陽葉学院で出来た友達の真珠星スピカだよ、昨日見たソロDJライブをやってた娘だよ」
そういって軽く衣舞紀が紹介をし、他のフォトンのメンバーである咲姫、乙和、ノアも自己紹介を済ました。スピカはそのノアから物凄い熱い視線を感じ取っていた。
「さっきから凄い視線を感じてるのですが...」
そう言ってたらノアが急に暴走し始めた。
「か、、、可愛い!!ええこんな可愛い存在がこの陽葉学院には他にもめちゃくちゃいるってこと?え?ここは天国なのでは?それにライブの時といつもの時のギャップに萌えてしまう!!スピカめっちゃ可愛い、咲姫ちゃんの次に可愛いよ!!」
急なことに驚きはしたが、衣舞紀から時より暴走すると聞いて失笑が出た。
「てことで改めて、真珠星スピカです。Stardustという音楽レーベルでヴァルゴという名前で活動しているプロのトラックメイカーです」
ノアが落ち着いたので、そう言って名刺を見せながら自己紹介をすると、3人共驚いた顔をしていた。
「Stardustって、あの?」
乙和がそう聞き返すのも仕方がない、実際のところ、Photon Maidenの曲の一部にStardustのメンバー一人が関わっており、フォトンのメンバーも知ってはいたのだ。
そうしていたら電話がかかってきたのでスピカは出ることにした。電話の相手は師匠であるキャンサーからで、メロディのサンプルを何種類か作成したらしいので、合うかどうか確認をしてほしいということだった。音声データが送られていたので、それら全て確認をして、作成途中の楽曲に合わせてみて合うものを探した。その中で1つだけ相当合致したフレーズがあり、仮としてエフェクトを付けてみたら納得がいったので、帰宅の時に伝えることにした。
「スピカのトラックメイクを見たけど凄いね、作業を軽く見させてもらったけど、1フレーズの味付けに10分くらいで作成してより良いものを作るなんてやっぱりプロだよ」
そう言って衣舞紀達フォトンのメンバーが作業姿をみてカッコいいという雰囲気を感じていた。特に衣舞紀に関してはライブの時の姿、トラックメイクをしている姿の2つの姿といつもの姿を見てどんどんと心境が変わり始めていた。
放課後、フォトンのメンバーは事務所でレッスンがあるということなので別れてスピカはStardustの事務所に向かうことにした。事務所に入った時にはキャンサーはおらず、代わりとしてアクエリアスが事務所にはいた。
「アクエリアスさん、キャンサーさん知らないですか?」
「キャンサーならレオの所に用事があるからって帰ったよ」
「あちゃぁ入れ違いかぁ、家に帰ってからキャンサーさんに会いに行くかぁ」
そう言いながらアクエリアスに挨拶をして事務所を出て家に帰宅し始めた。
家に帰宅した時に家の前にキャンサーさんが帰ってくるのを待っていた。
「キャンサーさん、なんで私の家にいるのですか?」
「ああ、丁度レオとの用事が終わったからついでにと思ってヴァルゴの家の前で待っていたんだ」
「そういうことですか、昼にサンプル聴いて良いと思ったのが6番目のサンプルで、仮として組んでみたらしっくりきました」
「そっか、それならこの方面でメロディ作り始めるよ」
そう言ってキャンサーはデネボラの家に止めた自分の車に乗って帰宅していった。家に入り、夕飯までの間に公募の曲の仕上げをしていた...のだが、案の定DAWが落ちた。
【予期せぬ動作とか言ってるけど、一体何時になったら予期できるの?】
来週はお休みさせて頂きます。さすがにイベントの疲れが取れていないんじゃ...。