数日後、りんく達が正式にHappy Around!として活動を開始したタイミングでスピカはというと、曲のインスト自体が出来上がり、後の調整役をキャンサーに頼まれたので、初めてながらもしっかりと調整を行っていた。最後のフレーズの調整に時間がかかっていた。ボーカルが入るツアーアンセム、時間的にはそろそろ完成しておきたい所だったので、下校タイミングまでずっと教室で作業をしていた。
「キャンサーさんのキック強すぎ、調整するの大変なんだけど...」
下校時間になり、丁度フォトンのライブが終わったらしく、今から事務所でレッスンを受けるところだと衣舞紀から聞いた。
「スピカはこれから何か用事でもあるの?」
「曲の調整が終わったから、私も事務所の方に向かう所だよ」
「そうですか、その合作曲というの聴いてみたいです」
「完成したら聴かせるから待っててね咲姫ちゃん」
そう言いながら事務所の方へと向かった。
スピカがStardustの事務所に入った時にはリーダーのアリエスとキャンサー、サジタリアス、アクエリアスがいた。
「あれ?このメンバーで集まっているということはハードの話し合いですか?」
ハード、Stardustのライブや楽曲で最もキックや曲調などが強めな曲のみで構成されたもので、スピカ自身もハードでもライブに出たり、コンピにも参加している。そのためにこのメンバーが集まって話しているから、その関係の話なのだろうと思っていた。
「ヴァルゴか、完成したのか?」
「ええ、今日キャンサーさんが事務所の方に行くというので、出来上がった曲を渡そうかなと思って」
「成程ね、ちょっと待ってね。丁度ハードの話が終わった所だからデータを貰うよ」
「お願いしますね」
そう言ってスピカは曲データをキャンサーに渡し、調整の疲れとかあって折角だからと事務所でゆっくりと休むことにした。この2ヶ月半、初めてであり責任があるこのツアーアンセムを任され、大変ながらもこの期間とても大きな収穫があった。悩んでいた時にしのぶちゃんからヒントを貰ったこと、フォトンのメンバー4人に出会ったことでスピカの心境が変わった。
「ヴァルゴちゃん、本当にお疲れ様。これ缶コーヒー、ヴァルゴちゃんは微糖が良かったよね?」
「ええ、ありがとうございます」
サジタリアスから缶コーヒーを貰い、ゆっくりと事務所の椅子に座って休んでいた。丁度その時にキャンサーが音声データの確認が終わったらしく、そのことで話をすることになった。
「ヴァルゴお疲れ、ラストのところとヴァルゴの調整が凄い良かったから本当にヴァルゴは頑張ったと思うよ」
「ありがとうございます。大変でしたけど、新しくできた友人のおかげで精神的に落ち着いて作業することが出来ました」
「新しい友人ね、精神的に落ち着かせる友人が見つかって良かったと思うよ。これからもその友人を大事にね」
そのまま一緒に作成の裏話を話し始め、その話にアリエスとサジタリアスがその話に興味を示して聞いていた。その話はそのまま20時くらいまで続いていた。
家に帰宅して、追い込みが終わって出来ていなかった音ゲーを思う存分プレイすることにした。アップデートも来た故に新しいパックも来ていたので、早速パックに収録されている曲全てプレイすることにした。勿論収録されている曲全てPerfect...とはいかずに、1曲だけ終わらなかった。
「くっそ、ACでも思うけどこいつだけはマジで許されないだろ...」
その曲はスピカがプレイしている音ゲーの中で超弩級クラスで難易度詐欺をかましている問題児で、スピカ自身も苦手としている曲で、トップである青薔薇こと葵は既にPerfectを叩きだしていたので、さすがに悔しいので出るまでずっとやっていた。
「あの野郎、絶対に次の公式大会で王座の座から引きずり落としてやるから覚えてろよな」
寝る前に丁度キャンサーから連絡が来て、ボーカリストをキャンサーが見つけるという事で話自体は二つ返事でことが進み、後はキャンサーに任せることでスピカの作業は終わった。
夢の中でスピカは一人の女性の前に立っていた。そこにいた女性はスピカに抱き着いたと思いきや傍にいた衣舞紀と咲姫、ノア、乙和、更には葵とミサミサに対して包丁で刺しにかかろうとしたタイミングで目が覚めた。
「ハァ...ハァ...ハァ...一体あの夢は何だったのかしら...でもあの女の子、凄い見覚えがある人だった.....いやまさかね....でもあり得るかもしれない....」
「だって、ここ何年も私のことを付けてきているんだもんね」
今回は少ないですがこれまで、あと2話で次の話に移ります。