年が変わり1月、スピカは年末に行われた冬コンが終わり、やることが終わった状態で少し余裕があった。そんな中スピカはというと、ミサミサと明日に行われるハピアラとフォトンの直接対決の準備のために、一緒に昼食を食べながら話をしていた。ずっとフォトンの傍にいたからこそ分かること、どっちが勝つだろうかという予想をしていた。
「私は今の状況だとフォトンが勝つだろうと予想しているよ。曲の作りやライブパフォーマンスからしたらハピアラはしんどいかもしれないね...でも今のフォトンの雰囲気...特に咲姫の今の心境だとちょっと悪いかもね」
「なるほどね、参考になるよ。そういえばスピカの活動はどんな感じなの?」
「冬コンは終わったし、今は手が空いている状態かね。ここまでのStardustの活動で更に私の作曲スキルは断然上がったよ」
そう話していると昼休みの時間が終わり、自分の教室に戻ることにした。そうしていたらミサミサから一言言われ、そのことでスピカの表情が強張った。
「ねえスピカ、陽葉祭はどうするの?」
「...あいつに会わない場所、今回は屋上にでもおるよ。本当は衣舞紀達と一緒に楽しみたいんだけどね」
放課後、スピカはライブに出る為に楽屋で待機していた。だがスピカは浮かばない顔をしていた。
(ねえスピカ、陽葉祭はどうするの?)
「...いつかは決着をつけないといけないんだけど、どうするか...まあ今日のライブ頑張るか、今日のライブは今年の成果をふんだんに出すライブだからな」
今日の放課後は陽葉祭までの校内ランキングが決まるスピカの最後のライブが行われる予定になっていた。セトリはこの一年作成した曲やリミックスを出しているのを基に色々とセトリを組んでいた。その中にはスピカがフォトンの楽曲募集で作った曲も流していた。そこには咲姫も見ていて、その時の雰囲気は水色の色をしていたらしい。
「今日は来てくれてありがとう、皆、ぶっ倒れる用意はできてますか~~~!!」
ライブが終わり、そのまま少し予定があったのでStardustの事務所に向かっていた。その時に後ろから視線が感じていた故に咲姫だと分かっていたので、声をかけて事務所まで一緒に歩くことになった。勿論、話の内容は今日のライブのことや明日のライブのこと、今の状況でハピアラに勝てる勝算があるのかとかの話が主だった。今のままだとフォトンは勝てるとは読んではいるのだが、ライブが始まる前までにハピアラのこれまでの活動を見返していたら確実的にハピアラは新しいことに挑戦して挑んでくると思えてしまい、勝機が大分変わると思えてしまっている。勿論の事ながらフォトンも新曲である『暁』を出すわけであって、絶対不利という訳ではない。しかし、ずっと心残りにある一つの疑問が着いて回って完全な予想というのが出来ていない状況なのだ。
「ま、いつもの通りやれば大丈夫だとは思うよ。まあ少し咲姫の心境さえ直せばね」
そうこうしていたらStardustの事務所に着いたので、咲姫と別れることにした。
「ま、いつもの通りやれば大丈夫だとは思うよ。まあ少し咲姫の心境さえ直せばね」
その一言に咲姫はずっと考えていた。やはり分かる人には分かるのかもしれないと思えていた。明日はハピアラとの直接対決本番、DJとしてやるべきことをしなければと気合いを入れ、そのまま就寝しようとしていたらスピカからL〇NEのメッセージが届いた。
【寝る前に咲姫に伝えておくよ、どんな結果になっても自分を悔やまないで】
【今の実力を出して負けたならそこから次に繋がることが見つかるはずだよ】
そのメッセージだけでも咲姫としては嬉しかった。陽葉学園に転校してずっと見てもらっていた人だからこそのアドバイスはとても温かい感じがした。そして同時に咲姫にとっては今まで以上にスピカに対しての一つの感情が大きくなりつつあった。
翌日の放課後には遂にハピアラとフォトンの対決が始まろうとしていた。スピカは勿論見るためにライブスペースに足を運んでおり、始まる前にミサミサと軽く今回の行く末とここまでの校内ランキングの話をしていた。スピカ自体は裏の方で有名とされているが、実際の校内ランキングでは2位ではある...が、スピカはサンセットステージには参加する気は毛頭もないので、ミサミサに頼んでサンセットステージの枠を用意していた。その一つの枠をこの二つのユニットが戦ってライブをすることになったのだ。
そして時間になりライブが始まった。先頭はフォトンから始まった。最初からいきなり新曲である暁を披露した。パフォーマンスのキレとメンバーとのシンクロ性はやはりフォトンの強みではあるのだ。しかし、咲姫の雰囲気は昨日とさほど変わっていなかった感じがしてはいた。
「惜しいかもしれないわね、ハピアラの演奏を見ないと分からないけど」
フォトンのライブが終わり、次はハピアラの番となった。現れた4人を見てスピカは良い雰囲気だと感じていた。そしてライブが始まり、何をしてくるのかと思ったら、ハピアラのこれまでの曲にしては物凄い珍しいおとなしめな曲の始まりをしており、そのことに対してスピカは驚きを隠せなかった。更にはボーカルはりんくではなく、ショルダーシンセを持っている渡月麗がボーカルをしていたのだ。というのも、一応はこれまでのハピアラの曲も今回の対決のために聴いており、ボーカルをしているりんくがメインではないこととかなりおとなしい曲に対する範囲の広さにスピカは驚いていた。
「なるほどね、これはハピアラの勝ちだろうな。流石に相手が悪かっただろうな」
ライブが終わり、ミサミサが仕切って投票が始まった。見てみるとやはりハピアラの色が多かった。そして結果はハピアラの勝ちで、ハピアラがサンセットステージ進出を決めた。ライブが終わってスピカはフォトンの楽屋に駆け寄った。意気消沈をしていたフォトンのメンバーを見てスピカはそっとメンバーの頭を軽く撫でた。
「お疲れ様、見ていたよ。結果としては負けてしまったけど、それで何か掴めたんじゃない?」
その一言にフォトンのメンバーは何も言えなかったが、衣舞紀だけは違っていた。
「そうね、負けたのは事実ね。でも、これが始まりで、今まで分からなかったことが分かるなら...それはPhoton Maidenとしては良いことなのかもしれない」
「衣舞紀ならそう言うと思ったよ。プロデューサーの所に行きなよ。もう結果は知っているはずだから...」
そうしてフォトンのメンバー4人はそのまま事務所の方に向かっていった。
「これで良い。この結果がこの先の4人を成長させるわ。私がそうであったようにね」
そう言いながらスピカはミサミサと一緒に帰ることにした。影が一つだけ、その姿をずっと見ていたことは二人は知らなかったようだが...。
お久しぶりです。仕事で指を負傷しまして、1ヶ月ほど休止をしていました。今は直って普通に生活できているので、そのことに関しては大丈夫ではあります。これからまたコツコツとこの話を完結まで書いていこうと思います。(完結まではまだまだ先ですがw)