Vibes Star   作:Crina

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 そろそろ彼女が動き始めます。


3-4話 警戒

フォトンが暁のリミックスを披露した日から数日が経ち、ハピアラのりんくとむにとの間でギグシャクしている頃にスピカは曲が完成してそれを特設ページにて応募が完了し、衣舞紀と一緒に帰っていた。今日は両親が丁度、結婚記念日とかで沖縄に旅行に行っているらしく、家にはスピカしかいない状態らしいので、衣舞紀が泊まって行くとのことらしいので、まずは衣舞紀の家に行って着替えとかを用意することになった。衣舞紀と咲姫はよくスピカの家に遊びに行ったり泊まったりはしているので、慣れてはきたりしていた。

「明日の朝さ、一緒にランニングに付き合うよ。たまには体をしっかりと動かさなきゃ訛りそうだし」

「良いの?知っている通り私のはスピカにとってはハードでしょ?」

「たまには...ね?」

 そうこうしていたら衣舞紀の家に着いたので、荷物が用意できるまで神社の方でゆっくりと待っていた。スピカはその時ある人物のことを考えていた。その人物は中等部まで一緒にいて、高等部に上がった時にはデネボラのいる共学の学校に転校していた。中等部1年の頃はその人物と今はライブポスターを書いたりと手伝ってくれる唯と一緒にユニットを組んでいた。

「はぁ、あいつは絶対に陽葉祭に来るはず...もし来るとなればケリを付けなければならないのかもな」

 そう思いながら冬の風を浴びながら衣舞紀を待っていた。

 

 衣舞紀の用意が出来てスピカの家に二人は向かっていた。スピカの家に到着した時には玄関の前にデネボラとアルタイルが制服姿で待っていた。

「やっと帰ってきた」

「あれ?二人が合うのって久々じゃないの?」

「まあそうなんだけどね、それよりスピカ、デネから事情は聞いたわよ」

「話したのね、デネボラ」

「今年のあいつは私だけでは制御しきれないから、アルタイルに手伝ってもらうことにしたのよ」

 何のことかわからない衣舞紀をみたアルタイルが機転を利かしてスピカの家に入ってから説明はすると言ったので、そのまま4人はスピカの家に入っていった。時間も時間だったということもあって4人分の夕飯をスピカと衣舞紀がせっせと作っていた。その時の2二人の関係はとても良くて、ほっこりするような雰囲気をしていた。

 食事を済ました4人は、今回二人がスピカの家の前で待っていたことの本題に入ることとなった。

「衣舞紀ちゃん、単刀直入に言わしてもらうよ、陽葉祭はスピカと一緒に行動しないで。スピカと一緒にいると視線を感じることがあるでしょ?」

 急なことを言われて驚きはしたが、実際のところその視線というのは感じてはいた。

「えぇ、見られている感じがしていたわ。でもそれとこれと何か関係があるの?」

「それが大ありなことなんだ。その視線の正体はかつてスピカが中等部の時に一緒にユニット活動をしていたメンバーの一人なんだ。いざこざを考慮して今は私がいる共学の高校にいるけどさ」

真剣な顔でデネは衣舞紀に伝えた。その元ユニットのメンバーの特徴を教え、その娘が目の前に現れたら濁した感じで答えてほしいとも言われた。どうやらさっきまでの夕飯を作っている姿を見て、この関係を壊されたくないとデネとアルタイルは思っている。

「私は陽葉祭の時は屋上で様子を見ることにするわ。サンセットステージには何とかして合流できれば良いのだけれど...」

「それがベストだし、そのためにも私達二人も陽葉祭には一般参加として当日陽葉学院にはお邪魔するわ」

 そうして4人で当日の作戦会議は夜深くまで行っていた。

 

 アルタイルは家がここから距離があるということもあって折角の再開で話をしたいからとデネボラの家に泊まることとなった。そしてスピカの家ではスピカと衣舞紀の二人っきりとなった。さっきの話のこともあってか空気は重かった。けど、その空気をスピカの一言で変えた。

「少しDJプレイでもしよっか」

 スピカの部屋にあるDDJ-400を作業等で使っているデスクトップPCに繋ぎ、軽くセトリを作ってからUSBに曲を入れ、そのままDDJ-400にそのUSBを差し込んでDJプレイが始まった。曲は衣舞紀が昔から好きだというプロデューサーである姫神紗乃の曲を主にしたセトリとなっており、衣舞紀は驚いた顔をしていた。辛くなった時などによく聴いていたこともあってか、流してくれたおかげで重かった空気は良くなっていた。それだけだはなく、空気を察して行動していたこと、DJプレイや音ゲーをプレイしているスピカの普段とは違ったカッコよさによるギャップに衣舞紀はどんどんとスピカに対して好意を抱いていることが手に取るように分かる。あの話を聞いて衣舞紀はスピカを他の人に取られたくないと思い始めていた。

「本当にスピカは可愛い見た目のわりにカッコいいよね...そこが良いところで、好きなところなんだけどさ」

 衣舞紀はスピカに聞こえない声でそう呟いた。スピカの本心は一体どう思っているのか分からずに...。

 

 その姿をスピカの家の前で誰にも気づかれずにずっと見ていた存在がいた。その容子はデネボラが話していた特徴と完全に一致していた。

「ワタシノスピカハダレニモユズラナイワヨ、ソレガデネダロウトモネ」




 次回から陽葉祭始まります。

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