Vibes Star   作:Crina

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 今回から数話はオリキャラ達の過去をピックアップした話となります。


3-9話 彩芽の過去

 スピカと彩芽を探している4人はいると思われる中等部の練習スペースに到着した。開けようとすると鍵が掛かっているのか、開かなかった。仕方なしに唯は中等部の職員室に急いで鍵を取りに向かった。そんな中、スピカは彩芽の過去を聞かされていた。

 

 陽葉学園の中等部に入学した彩芽はすぐにクラスの子達と打ち明けてすぐに楽しいスクールライフを楽しんでいた。だが、そんな中で一人だけ、なかなか仲良くならなかった存在がいた。それは中等部時代の真珠星スピカだった。彩芽とスピカは中等部一年の頃は同じクラスだった。だが、そのスピカだけが彩芽とはすぐに打ち解けることはなかった。その頃のスピカはたった一人で作曲をしていた。勿論のことながら、当時は粗削りの曲ばかり作っていて、周りからは酷評ばかりが飛んでいたわけなのだが...。

 だがそんなスピカの曲をただ評価していた存在がいた。当の本人である彩芽だった。粗削りではあるのだが、自分のスタンスというものをしっかりと持っていて、折れることのない信念を感じていた。

 ある日のお昼時、スピカが教室で一人昼食を食べながら作業している姿を見て彩芽は一言スピカに伝えた。

「真珠星さんの曲が皆に認められなくても私は認めるよ。だって私は真珠星さんが作る曲好きなんだから」

その一言にスピカは衝撃を受け、何故認められる曲が作れないのか教えてほしいと彩芽に質問を投げた。彩芽は自分のスタンスを守ってとだけ答えて食堂の方に向かった。

 

 それから数日が経ち、スピカが彩芽に声をかけた。手には音楽プレイヤーを持っていて、その曲を聴いて欲しいと言われたので、その曲を聴いた。その時彩芽は衝撃を受けた。それはリミコンの課題曲で、スピカがリミックスをしたものだった。その曲のレベルはこれまで以上に高く、その中でもスタンスというものを壊していないもので、とてつもなく聴いていて心地よかった。そのリミックスをした曲でスピカは見事優勝を掴み取ることができた。彩芽はそのことに対してとても嬉しかった。自分がアドバイスをしたことが結果として良い方向に向かったことに歓喜していたのだ。その時のスピカはStardustに所属している幼馴染であるデネの兄もレオことレグにDTMのやり方というものを教えてもらっていたのだ。

 そしてそのことがきっかけでスピカと彩芽は次第に打ち解け、気づけば二人で曲を作っていた。スピカが曲を作り、その曲の出来を彩芽が聴いて手直しをする箇所を教える。そんな日が夏まで続いていた。夏になった頃には彩芽が作った曲に作詞をして歌うというスタイルに変わっていた。そして二人はライブをすることまでしていた。最初の2回ほどは二人のみだったが、ライブポスターを作っていたスピカの友人の唯にVJを頼み、3人で活動をするようになった。それはとても楽しく、凄く幸せな環境だった。

「ねえ、3人で活動するならユニット名を決めようよ」

 彩芽がそう言うと二人はすぐに納得してユニット名を決めていた。スピカ、彩芽、唯の3人は悩んでいたが、結局は唯が決めたユニット名【STAR】になり活動をすることになった。

 

 それから月日が流れていくにつれて次第に彩芽はスピカにかなり好意を向けるようになっていた。自分にないものを持っていて、それでいて支えていなければいけないと思えば思うほどにその好意は過激な方へ向かっていった。更にはスピカが他の友人にと話している姿を見て彩芽と話している以上に楽しそうにしていたことに嫉妬をするようになっていた。

 そんな中で冬休み前に事件が起きた。サンセットステージ出場がほぼ確定に近い状態まで来ていた。当時はピキピキはおらず、本当の意味で頂点に近かった存在というのが彩芽達、STARだった。確実的に出場を手にするためにもということでスピカと彩芽は新曲を作っていた。スピカの方は相変わらずの出来の曲が出来ていた。だが、彩芽の方は相変わらずではあったのだが、歌詞を読んだ唯は危機感を覚えた。それは過剰なほどにスピカに対する好意を綴っていた歌詞だったのだ。次第にエスカレートしていたことは分かっていたのだが、ここまで異常にも思える歌詞にスピカにそのことを伝えると、スピカもそのことに関しては無視できないと答え、彩芽を突き放す形になりながらSTARは解散することとなってしまった。だが、スピカに対する好意はおさまりが利かず、解散した後も必要にスピカに近づいていた。さらにはスピカの友人である葵に一度、利き手である左手を負傷させた実害が起き、スピカは彩芽と口を利かなくなり、次第には疎遠となってしまっていた。だが、それでも彩芽は必要にストーキングをするようになってしまった。その時のスピカはDTMの実力を高めようとして音楽レーベルに所属するようになった。

 

 中等部卒業の時、彩芽はスピカと一緒に高等部に行くことができなかった。その理由は、葵に被害を与えたことがきっかけで周りにも被害を及ぼす可能性があるとして彩芽の両親が別の高校に進学するように彩芽を説得させ、デネが進学する共学の高校に行くこととなった。

「あれは全部スピカが悪いのよ?私を突き放さなければこうもならなかったかもしれないのに」

「あんなことをされたら身の危険を感じるものよ」

「へえ、だったらこれから見る景色をじっくり見たらいいわ。スピカが選んだ選択肢で大切な友人がどうなるかね」

 不敵な笑みを浮かばせた彩芽は扉の鍵が開くのを目にし、鞄に隠していた包丁を手に持って開くのを待っていた。

「や、やめて!!」




さて、どうなることやら...。
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