ドアが開き、勢いよく包丁を持って相手を刺しに掛かった彩芽だが、開いた瞬間に衣舞紀が一番先に現れ、彩芽の手に上手い具合に蹴りが入って彩芽の持っていた包丁は宙を舞い、地面に落ちた。
「スピカ!!無事だったんだね」
「衣舞紀、咲姫、皆」
衣舞紀の他にも咲姫、デネ、葵、唯、鷲莉愛が現れた。はだけた服装になっているスピカの姿を見て唯はかなり怒っていた。
「アー、スーに一体何をしたの?」
「ふふふ、スピカハワタシノモノヨ、ダレニモワタスツモリハナイノヨ」
その時の彩芽の目にはハイライトが無くなり、完全に狂気の雰囲気を出していた。更にはスタンガンを持ち出してきて、いよいよ空気が悪くなっていった。その間に咲姫が椅子に縛られていたスピカを救出し、スピカは彩芽の前に立っていた。
「イッタイナンノツモリナノ?」
急なことに困惑をした彩芽だが、唯とスピカは他の三人に手を出さないでと伝え、彩芽に向かい合っていた。
「アー、どうしてこうなったのかしらね。僕たちがこうもおかしくなったのはやはりあの日から?」
唯がそう言うと続いてスピカも「突き放して疎遠になったのは事実、でも過去に捉われるのは今日で終わりなのよ」と声を上げて伝えた。前回の話で過去話を書いたとおり、唯とスピカは過度になるスピカに対する好意に察し、突き放す形になったことになったことに対して後悔していた。もう少し良い方向に向かえる選択もあったのじゃないかと思っていたほどに。
「でも、あの日捨てられたと思って私は悲しかった。スピカも私の気持ちを全然わかってくれなかったじゃないの!!」
と同じように彩芽も大きな声を出して返してきた。その辺もスピカは後悔をしていた。分かってやりたかったし、彩芽がスピカが作る曲を好きと言ってれたことは嬉しかった。知っての通りスピカの両親はかつて有名なDJユニットを組んでおり、知っている人からは比べられていた。両親の影響でDJを知り、自分も同じようにDJをするとして陽葉学園に入学したスピカは当時はそこまで良い評価を貰っていなかった。そんなスピカを一番に認めたのは彩芽だった。
「でも彩芽は次第に私に好意を向けていったよね?嬉しかったんだけど、それを歌詞にするのはやりすぎよ」とスピカが言うと彩芽は「じゃあどうすればよかったの?」と言った。それについてはスピカは何も言えなかったが、それついては唯が答えた。
「直接伝えるのが良かったと思う。僕ならそうする」
その一言に彩芽は何も言えなかった。そのことに対して図星だったらしく、好意を持っていてもそのことを一度もスピカに伝えていなかった。それに続けて唯は彩芽に自分が思っていたことを伝えた。
「アー...いや、彩芽、実は僕だって君に伝えたくても伝えれなかったことがあるの。それはね、僕は彩芽のことが好きだったんだ。そのことは今もそう、別れた時は言えなかったことに後悔したの」
そう、唯は彩芽に対して告白ともいえる一言を伝えた。それに対して彩芽は、驚いていた。
「唯が私に?嘘じゃないの?」と拍子抜けたことを言ったのだが、唯の目は本気だった。これまでに言おうと思っても言えなかったことに後悔をしてした唯だからこそ、今こうして言えなかったことを伝えた。そのことに唯は「嘘じゃないの、覚えてる?VJの映像を見せたあの日のこと」と言うと彩芽はパッとその日のことを思い出した。初めて三人でライブをするということが決まり、VJとしての腕を見せてもらった時に、ハイレベルな映像を作って二人に見せたこと。かなりのレベルに彩芽は驚きを隠せなかった。そしてこう評価したことも...。
「ハイレベル、こんなに凄い物を持っているなんて霜月さんは凄いよ」
次第に彩芽の目には涙が流れ、スピカにだけ集中して周りのことを見れていたかったことを後悔していた。そしてスピカも同じように彩芽に話せれていないことを話し始めた。
「覚えてる?夏の日のことを、あの日の合宿の日、作曲に詰まっていた私にそっと声をかけて三人で一緒に海に行ったことを」
その一言に彩芽は更に涙を零すことになった。詰まって悩んでいたスピカを思って声をかけてこと、それから詰まっている日には気分転換で色々と遊びに行ったこと...そのことから、彩芽は気遣いの上手さがあるとスピカが彩芽に持っていたことを全て打ち明けた。そして彩芽がデネと同じ高校に入学すると決まった時に、デネに監視してもらっていたことも打ち明けた。
それから数分が過ぎ、静寂な時間が過ぎていた。その時、デネの一言で静寂な時間はそこで終わった。
「だったらさ、スピカ、本当に今好きな人物がいるんでしょ?それを今この場所で想いを伝えないと」
急なことだったが、過去のケリがつき、残ったものはスピカが今、本当に好きな人がいることを言わなければだめだとデネに言われた。
「そうね、出なければ終わらないもの」
そう言うとスピカの前に三人が向き合う形になった。それは衣舞紀、咲姫、そして彩芽だった。
「スピカ、私、実は初めて一緒にゲームセンターに行った時から好意を持ち始めていたんだ。上手くは言えないけど、私、スピカのことが好きなんだ」と衣舞紀はぎごちない言葉でスピカに告白をした。
「私、スピカさんに曲のヒントを貰った時からモヤモヤとした黒い色に襲われていました。でも今なら言える気がするんです。スピカさん、貴女のことがとても好きなんです」と包み隠さずに思っていることを咲姫は言葉にして告白をした。
「今でもスピカは好きなの、この二人よりもずっと、だから私と付き合って、昔のように!!」と彩芽は言えなかった告白を今こうしてスピカに伝えた。
決めるのは一人だけ、スピカは真剣に考えていた。衣舞紀は出会ってからずっとスピカのことを思っていたこと、メンバーだけではなく、スピカにまで気遣う姿を何度も見ていたからだ。咲姫は純粋というのもあるが、その中にある芯の強さを持っていて、次第にスピカのことを思い始めていたこと、彩芽は昔の出来事はあるものの、初めて認めてくれた存在だった。考えた中、決心がつき、スピカはその人物の前に立った。
「私は、確かに三人が好きだし、他の三人も好き。でも、本当に好意も持って好きと言えるのは君しかいないんだよ...衣舞紀」
スピカの前にいたのは新島衣舞紀だった。そのことに当の本人である衣舞紀は驚いていた。
「え!?本当に私!?」
「嘘じゃないよ、私のことを気遣ってくれたし、一緒にいてとても居心地が良かったの」
そのことを他の二人は見ていた。咲姫は一瞬では理解できなかったが、これまでの色と、今見えている色からとてもお似合いのカップルだと思い、手を引くことにした。彩芽は自分じゃないの?と頭の中がそれにいっぱいになっていったが、次第に納得をすることにした。
「嬉しい、スピカ...これからよろしくね」
「...んで、どうして私じゃないの...けど、確かに雰囲気はすごくよかった、認めざるを得ない...」
落ち込んで暴走するかもしれないと思った四人は彩芽を抑えに掛かろうとしたが、彩芽はさっぱりとした笑顔を見せていた。
「スピカ、そして衣舞紀!!二人はとっても良いカップルになれる、だからこれからも続いていくことを応援しているよ」
スピカは衣舞紀と付き合うことを決めました。