夏コンが終わり、Stardustの活動もオフだったので久々に羽を伸ばそうと決めていた。丁度この日は友達のミサミサと会う約束にしていたということもあって朝からゲーセンに開凸(開店時間にゲーセンに行くこと)しに行っていた。私はホームとしているゲーセンでは店内3位の実力を持っていて(1位はあいつ)、まだPerfect取れていない物を粘着して潰しにかかっていた。
この日は調子がかなり良かったので一気に5曲程終わらせていて、次の曲をやっていたのだが、その時に店内2位の実力を持つ男性に会うことができたので、一緒になってプレイをしていた。その店内2位の男性は1位の親友と同じように全国大会に出てはいるのだが、決勝になかなか上がれないことが多く、今年こそはと闘志を燃やしていたのだ。
「ヴァルゴさんの曲のここの階段どうしてます?」
「素直に指押しで取ってはいますけど、L.E.さんの取り方なら2ノーツずつの餡蜜(ずれた配置を同時押しで処理するという運指)で取るやり方とかどうですか?赤は出やすいですが、ミスは出ないかと思いますよ」
そうやって私達2人がスコア詰めをしていたら店内1位を取っている親友が現れ、高レベルな戦いをしていたこともあってギャラリーが集まり収拾が付かなくなっていた。
昼になり私は2人と分かれてミサミサが待っている喫茶バイナルへと向かうことにした。到着した時にはもうミサミサは席について珈琲を飲みながらくるのを待っていた。
「遅かったね、またトラックメイクで躓いたとか?」
「そうじゃないよ、音ゲーしていたら収拾付かなくなっていただけだよ」
「ま~た【青薔薇】とやり合ってたわけ?」
「あいつとL.E.さんの3人だよ、それで最近気になったユニットとかあるの?」
ミサミサは放送部としてお昼時間のDJを担当したりしている存在で、近頃のユニットの動きとにはかなり敏感なのだ。そして今日もその気になっているユニットについて長くは話しているというわけである。
「そうだねぇ、最近となると新しく活動し始めた【Photon Maiden】は気になるかな。なんでも、芸能事務所が作り出したユニットらしくて、そのプロデューサーというのがかつてDJ活動をしていた姫神紗乃と来たもんだ。これは目が離せないよ」
「Photon Maidenか、ライブ映像とかあるの?」
「そういうと思って用意してきてるよ、これを見てみなって」
そういってミサミサが取り出したタブレットでライブ映像を見ることになった。曲もプロが作成しているというだけあってとても完成度が高く、振付も芸能事務所所属というだけあって相当レベルが高いものだったが、ちょくちょくミスをしている所を見るとまだ粗削りなんだろうと思ってしまった。
「成程ね、ミサミサが気になるという理由が分かる気がしたわ」
「でしょ、噂によると、活動がこちら側になるということで陽葉に転校してくると言われているんだよね」
「あくまで噂でしょ?実際にそうなるか分からないよ?」
「確かにね」
Photon Maidenの活動というのはミサミサが気になるというだけじゃなく、さっきのライブ映像から私も興味を持ち始めていた。引き込まれる世界観に魅入ってしまっていた。でも、もし本当に陽葉学園にPhoton Maidenのメンバーが転校してくるのであれば、どんなことをしているのか、曲自体はどうしているのかとか色々と興味をこの時は持ち始めていた。その後のスピカの環境を大きく変えることになるとも知らずに...。
「今日は楽しかったよ、また今度ね」
「OK、今度スピカのアルバムの感想じっくり話すね~」
そうしてミサミサと別れ、家に帰宅する前に楽器屋に足を運んだのだが、特に良いものが見つからずに帰宅した。青薔薇から新曲Perfect出たよと報告を受けたので、追いつくためにと夕飯まで音ゲーをしていた。勿論のことながら夕飯後は趣味で作っている曲の続きを作っていた。今回は意外にもDAWが落ちずにある程度のところまでで納得がいくものが出来て上機嫌になっていたのだった。
はいという訳で、1部は終わりです。前回でも言いましたが、タグに関しては次の話から回収することになります。この1部は真珠星スピカというキャラはどんな存在なのかといういわば0章みたいな立ち位置にあると思ってくれれば幸いです。あと、話の基盤はアニメの時間軸+グルミクの時間軸と思ってくれれば早いと思います。