ダンジョンで思い出を抱きつづけるのは間違ってるとは言わせない   作:魔剣姫の従僕

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一話 終わった後の後日談

「キラーアント・・・3匹」

壁から生まれてくるモンスターを確認し、床にさしていたダブルブレードを持ち直す

あえて片側の刃を潰し鈍器と化したそれで、甲殻を割る

持ち手を回し鋭い刃で本体を切り裂くが

甲殻で刃が止まり体が硬直する。その隙を狙い反撃が来る

(そろそろ限界かな)

手入れは欠かしていないけれど所詮素人の仕事、そう諦め

持ち手を放し、回避しつつ左腰のナイフで突き刺しトドメをさす

 

残り2匹

流石にナイフ一本で倒せるとは思ってない

(仕方ない・・・ね)

右腰にあるホルダーから抜き出した

 

それはこのオラリオ、いやこの世界のどこにもないモノだった

それはとある時代の人間が見れば、拳銃と呼ばれるものに近いのだろう

しかしそれには、撃鉄がなく弾倉もない

そして、引き金の代わりに鋭い刃が付いていた

 

照準を合わせるように先端を向ける

そして、人差し指を刃にあてつつ

 

「【放て、火雷】」

 

握りしめた指から血が流れる

それと同時に一匹のキラーアントが、まるで内側から潰れるように

魔石すら残らず消失した

 

最後の一匹が仲間を呼ぼうとする

「【堕ちろ】」

同じように潰れ、しかし次は魔石が残った

必要のなくなったソレをホルダーにしまい、ダブルブレードと魔石を回収

上層に向けて歩き出した

 

 

 

換金を済ませ、ダブルブレードとナイフを修理に出し

居候している教会跡へと戻る

「おかえり、ヨゾラ君」

ソファーで座っていた、ヘスティア様が私を迎える

「別に・・・待ってなくてもよかったんですよ」

 

彼女がもうバイトに向かっている時間なのは知っている

だからこそ、今このタイミングで帰ってきたというのに

 

「キミを待っていたかったから、じゃダメかい?」

「店長さんに迷惑じゃないんですか」

「キミのことを知ってるからね、少し我儘を聞いてもらったんだよ」

そんなふうに言われたら、店長さんの好意を無駄にはできない

 

「何を話すんですか、ベルさんを育てるとかは無理ですよ」

「あはは、流石にそれは頼めないよ」

そこで真剣な表情に変わり

「せめて、どうか夜までにはここに帰ってきてほしい」

そう懇願するように話す。私の答えは決まっている

 

そう、私の帰る場所は・・・

「ここは・・・私の帰る場所じゃないから」

傷ついた顔を浮かべる彼女に、あの人を重ね

「いつか、きっと・・・イザナミ様は帰ってきますから」

「うん、うん・・・そうだね。だけどキミを託されたのはボクだ」

突然、抱きしめられる

「アイツの代わりに心配する権利くらいあってもいいだろ?」

なすがままに抱かれていたが

「ゴメン、そろそろ行かないと!」

「はい、いってらっしゃい。ヘスティア様」

 

 

ごめんなさい、ヘスティア様

優しくしてくれているのはわかります

 

でも、それでも私のすべてを捧げたのはイザナミ様

もう、すべてを捧げたあとなんです

だからここにいる私はただの抜け殻なんです

 

あの人といた頃をなぞるだけのただの人型

だから、私に向ける優しさすべてを

あなたの大切な人達に捧げてください

 

 

 

 




ヨゾラのステータス

レベル 1
力   F 363
耐久 G 280
器用 F 319
敏捷 F 396
魔力 F 383

魔法  ????
    ????
    ーーーー

スキル ????
    ????
    ーーーー

(?は発現済み)


武器   ダブルブレード
     持ち手の両方に両刃の剣が付いた武器
     片方の刃を潰して鈍器にしている
     実用性が皆無なため買い手がつかなかったものを
     格安で購入した。
     そこそこいい素材を使っている

     ナイフ
     主神にプレゼントした簪に形状を似せてある
     突き刺すことに特化したナイフ
     お揃いの品のため、あまり戦闘で使いたくない

防具   基本的に回避を優先するため
     軽装の鎧、腰当、小手を着用している

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