踏み台から串刺し公×凶獣へと変わった彼。   作:めんどくさがりや

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「さあ、第二ラウンドだ」


死を喰らう者との戦い

あの日からさらに数日が経った。

現在は守護騎士達への対策をとっていた。

 

「今回の作戦だが二手に別れよう」

 

クロノはそう言って龍宮の方を見る。

 

「守護騎士達は僕達が。そして、協力者は夜刀達が相手をするという具合だ」

「それに異論はないんだが・・・向こうの協力者の人数はどれほどなんだ?」

 

協力者がたった一人とは考えにくい。複数人いる事が普通だ。するとそこで夜刀が言う。

 

「数は既に分かっている。二人だ」

「二人・・・思ったより少ないね」

 

刑夜の言葉にフェイトはそう言う。

 

「まあ、たしかに少ねえかもしれねえがお前らではあいつらには勝てねえ。いや、ただの魔導士では聖遺物の使徒を傷つけられないって言った方がいいな。何にせよ聖遺物の使徒はーー」

「同じ聖遺物の使徒が叩くか?」

「まあ、そういうこった」

 

そう言って笑みを浮かべる。すると園城が口を開く。

 

「そういえば天道寺はどうしたの?」

 

その疑問にクロノが答える。

 

「彼には外れてもらった。前回の件での独断専行に任務妨害。これらは決して見過ごせるものではない」

 

前回の件、というのは刑夜とベアトリスの戦闘の事だ。天道寺が余計な横槍を入れた為に刑夜の逆鱗に触れてしまった。これは天道寺のためでもあるのだ。もし今回も下手に横槍を入れて刑夜がキレたら本当に死んでしまうかもしれない。無論、天道寺がだ。

 

「当然だわな。あの野郎のせいで俺はアイツを取り逃がした。正直、もう一度邪魔されたらマジで殺っちまうかもしれねえ」

「刑夜の邪魔をした?なんだそいつは。度し難いな」

 

ラウラから殺気が漏れ始める。

 

「ラウラ、殺気を消せ」

「む、すまない」

 

刑夜に言われて殺気を抑える。見ると高町などが殺気に怯えを見せていた。

 

「刑夜。何か手伝う事はないかな?」

 

ユーノがそう言う。

 

「いんや、お前は高町達のサポートに徹してくれ」

 

そう言って刑夜はSSの制服の形状をしたバリアジャケットを身に纏う。

 

「やっぱりそのバリアジャケットが君には似合うな」

「そうか?あんがとよ」

 

そう言って刑夜は言う。

 

「そんじゃ、行くかね」

 

□■□

 

とある無人世界。砂漠のような場所でシグナムはワームのような生物と戦っていた。

 

「はあ‼︎」

 

触手による攻撃をかいくぐり攻撃を当てていく。ワームはかなり手強いようで苦戦を強いられている。

 

「チィ‼︎」

 

時間がない。早く魔力を蒐集しなければいけないというのにこのような生物に手こずっているわけにはいかない。

シグナムの中の焦りが大きくなっていく。

 

「しまっ、ぐあぁ‼︎」

 

ついにシグナムがワームに捕らえられてしまった。触手に身体全体を強く締め付けられるシグナムは苦悶の表情を露わにする。

 

「ぐう・・・‼︎」

 

するとワームがその口を開きシグナムを捕食しようとする。その時、

 

『創造』

 

『雷速剣舞・戦姫変生

Donner Totentanz――Walkre』

 

 

シグナムを拘束していた触手が一瞬で切り裂かれワームが絶叫を上げる。

 

「油断は禁物ですよ」

 

ベアトリスがそう言って降り立つ。

 

「時間がないのはわかりますが焦っては元も子もないですから」

 

そう言ってワームに目を向けるとワームの前に聖遺物、『黒円卓の聖槍』を持った戒がいた。

 

「・・・僕達の行いが咎められるものであるのはわかる。でも、彼女を救うためにはこれしかないんだ」

 

そう言って黒円卓の聖槍を構えると戒はその呪詛を口にする。

 

『血の道と 血の道と 其の血の道 返し畏み給おう』

 

黒円卓の聖槍から禍々しい瘴気が溢れてくる。

 

『禍災に悩むこの病毒を この加持に今吹き払う呪いの神風』

 

櫻井 戒の渇望は『大切な人たちが美しくあるよう、全ての穢れを己が引き受ける』。自己犠牲による他者の救済と防衛の祈りである。

 

『橘の 小戸の禊を始めにて 今も清むる吾が身なりけり』

 

掠れた呪怨の如く戒の口から紡がれる。

 

『千早振る 神の御末の吾なれば 祈りしことの叶わぬは無し』

 

もう二度と、失うわけにはいかない。

 

『創造』

 

彼女を救うためならば、全ての穢れを引き受けようーー

 

『許許太久禍穢速佐須良比給千座置座』

 

禍々しい瘴気を身に纏った戒はワームへと向かっていく。ワームは触手で戒を捕らえようとする、が。

 

「無駄だよ」

 

触手が戒に触れた瞬間、それらが全て腐り落ちてしまった。

 

ーーギャアアアアアアアア!!!!

 

戒の能力は自己の腐敗毒への変生、すなわち己を毒の塊へと変える創造。生きたまま身体を腐敗させられるのは想像を絶する苦痛であろう。

 

「終わりだ」

 

ワームへととどめの一撃を振るう。腐敗の一撃をくらったワームは全身を腐らせ絶命した。

 

「戒、一度離脱しましょう。全員を集めてーー」

 

その時、遠方より凄まじい殺気が放たれた。シグナムはそれに驚愕する。

 

「これは・・・‼︎」

 

ベアトリスと戒はそれに驚きはしたが、同時に既知感を感じていた。

 

「ベアトリス」

「ええ、間違いありません」

 

そう言って遠方を睨めつける。何かが来る。強大な力を持った何かが。

 

「彼です」

 

その瞬間、三人の耳にそれは響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらばヴァルハラ 光輝に満ちた世界 (Fahr' hin,Waihalls lenchtende Welt )

 

聳え立つその城も(Zarfall' ) 微塵となって砕けるがいい(in Staub deine stolze Burg)

 

さらば 栄華を誇る神々の栄光 (Leb' wohl, prangende Gotterpracht )

 

神々の一族も 歓びのうちに滅ぶがいい (End' in Wonne, du ewig Geschlecht )

 

 

創造(Briah)

 

死世界・凶獣変生(Niflheimr Fenriswolf )

 

 

 

瞬間、それは現れた。

 

「ヤーーーッハーーー!!!!」

 

殺意の塊、駆け抜けし凶獣、最速の狼が現れた。

 

「よお、ヴァルキュリアにカイン。おっと守護騎士もいやがんのか。たしか名前はーーシグナムだったか?」

 

シグナムはその言葉に反応できなかった。刑夜から放たれる威圧感は人のものではない。これはーー化物だ。

 

「ま、俺らが相手すんのはそこの二人だけだ。てめえら守護騎士はーー」

 

そう言って上を見て、

 

「アイツらが相手する」

 

すると転移魔法によってフェイトが現れる。

 

「・・・テスタロッサか」

「はい。彼に片方を任せるのは正直不安ですが、今は私が相手をします」

「・・・そうか」

 

その言葉の次の瞬間二人は爆発的な速度で互いに武器を振りかざした。バルディッシュとレヴァンティンが激しくせめぎ合う。

二人の眼には強い意思が宿っている。

 

「今度こそ貴様のリンカーコア、貰い受ける‼︎」

「此方こそーーー今度こそ、貴女を捕まえる‼︎」

 

□■□

 

シグナムとフェイトが戦っている場から離れた所に、刑夜達はいた。

 

「そんじゃ、こないだの続きだ」

「まさか一人で僕達の相手をするとでも言うつもりかい?」

「あァ?誰がんな事言ったよ。さっきも言っただろうが」

 

ーー"俺ら"が相手するってよ。

 

その瞬間、ベアトリスへと鋭利な刃物のような殺気が叩きつけられる。

 

「ーーッ‼︎」

 

ベアトリスが咄嗟に戦雷の聖剣を振るう。するとラウラの剣がベアトリスの剣とぶつかり火花を散らす。

 

「(速い‼︎いつの間に⁉︎)」

 

創造の位階に達しているベアトリスにも劣らない速度で攻撃するラウラ。

当然である。彼女は刑夜と繋がっており聖遺物の加護を受けている。刑夜が強ければ強いほどラウラも比例して強くなる。言わば、ラウラ自身が聖遺物と化していると言っても良い。

 

「ふむ、流石は聖遺物の使徒だな。これでもそれなりに速いと自負していたのだが」

「充分すぎますよ。まさか刑夜以外にもあなたほどの存在がいたなんて」

 

ベアトリスはこれと似たような状況が前にもあった事に気づいた。

凶暴な笑みを浮かべた白髪白貌の少年に眼帯を着けた華奢な身体を持った少女。

 

「ははっ、あの日を思い出しますね」

 

思わず笑みがこぼれる。

 

「では、あらためて名乗りましょう。ベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼンです」

「ふん、乗ってやる。ラウラ・ボルネフェルトだ」

 

そして、二人はぶつかり合った。

 

□■□

 

一方、こちらでは刑夜と戒が戦っていた。

 

「はあっ‼︎」

 

戒が黒円卓の聖槍を振るい、

 

「オラァ‼︎」

 

刑夜が腕より生える刃を振るう。

二人の攻撃は正反対であった。戒は洗練された動きで聖遺物を振るうのに対して刑夜は荒々しい攻撃で戒を攻め立てる。

 

「なんて荒々しい・・・流石はあの二人の聖遺物を宿しているだけの事はある」

「はっ、そりゃすまねえなっと‼︎」

 

その言葉と共に杭を射出する。

そして、さらに刑夜はさらに速度を上げて動く。

 

「(なるほど、シュライバー卿の創造は僕の相手をするために使用したというわけか)」

 

戒の創造と死森の薔薇騎士の相性は最悪だ。もちろん戒を超える魂を持っている刑夜が負ける可能性は低いだろうが刑夜は確実性を選んだのだ。

 

「(でもーー)」

 

ギィン‼︎

 

「ーーへえ」

 

戒は刑夜の最速の一撃を聖遺物で受け止めた。

 

「僕は負けない。負けるわけにはいかない」

 

決意のこもった顔。戒はそのような表情をしていた。

 

「面白れェ」

 

そう言って刑夜は両腕から刃を生やし高速で攻撃する。

 

「オラァ‼︎まだまだ行くぜェ‼︎」

「くっ、舐めるな‼︎」

 

そう言って戒も聖遺物を振るう。だが、

 

ガキィン‼︎

 

「な⁉︎」

 

両腕の刃で受け止められる。

 

「餓えてんだよ乾いてんだよ満たしてみろやこの疼きをよォォォォォ!!!!」

 

そう叫び杭を射出する。

 

「チィ‼︎」

 

舌打ちしながらも戒は攻めていく。それを刑夜は弾き膝蹴りを入れようとする。

それを避け、戒は逆に後ろ回し蹴りを放つ。

 

「ハッハー‼︎」

 

それを腕で受け止めた。

 

「隙だらけだこの阿呆」

「しまっ‼︎」

 

咄嗟に防御しようとするが、刑夜のデバイスから高密度の魔力弾が放たれる。本来ならただの魔力弾だが、創造の使用により不完全ながらも聖遺物と融合しているために魔力弾すらも聖遺物の一撃へと変わる。

 

「ぐはっ・・・‼︎」

「俺の勝ちだな」

 

そう言って銃口を戒へと向ける。

 

Auf Wiedersehen(あばよ、くたばっちまえ)

 

そして引き金を引く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、

 

 

 

 

 

「うぐぁ⁉︎」

「な・・・⁉︎」

 

ラウラの苦悶の声と、ベアトリスの驚愕の声が聞こえる。刑夜はそちらを向き目を見開く。

 

 

 

 

 

「さあ、奪え」

 

背後からラウラのリンカーコアが仮面の男に抜き取られていた。

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