踏み台から串刺し公×凶獣へと変わった彼。   作:めんどくさがりや

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「ったく、面倒事を押し付けやがって」


訳ありの人物

「うぅ・・・」

 

窓から差し込む日光の眩しさを感じ、呻き声を上げながらうっすらと目を開ける。

 

「眩しっ。朝か・・・クソッ日の光が忌々しい」

 

太陽を軽く睨みながら言う。

ため息を吐いた後ベッドから降りる。

あの日から刑夜は日の光が苦手になってきていた。朝日を浴びると何故かテンションが下がる。

 

「ったく、俺は吸血鬼かっての」

 

ブツブツ言いながら制服へと着替える。そして着替え終わった後、ベッドを見て再びため息を吐いて言う。

 

「遮光カーテンでも買うか」

 

□■□

 

「Kam'rad, reich' mir die Hände,Treu woll´nzusammen wir steh´n.」

 

歌を歌いながらベーコンを炒める。

刑夜は一人暮らしのため、一応は自炊が出来る。

というのも刑夜の親ーー義理のだが仕事の都合で海外にいるため、自炊せざるを得ないという状況であったため、覚えるしかなかったのだ。

 

ーーチン♪

 

「お、焼けたか」

 

トースターから焼けたパンを取り出し皿にのせる。

 

「Mag man uns auch bekämpfen,Der Geist soll nicht untergeh´n.」

 

ベーコンを目玉焼きの乗った皿に移す。そしてそれらをテーブルの上に並べていき、席に座る。

 

「うし、んじゃ『Mahlzeit(いただきます)』」

 

そう言って朝食に手をつけようとした瞬間、

 

プルルルルルル。

 

「あん?」

 

受話器から音が鳴り響く。

 

「チッ、誰だよこんな朝っぱらから」

 

そう言って席を立ち、受話器を取る。

 

「誰だ?」

『やあ、元気かな刑夜?』

「は⁉︎おふくろ⁉︎」

 

相手はドイツにいる筈の義理の母親、ユリアーネ・アウフシュタイナー。

 

「どうしたんだよいきなり」

『おや、愛しの息子の声を聞きたいという理由ではダメかな?』

「切るぞ」

 

義母の言葉に1フレームで電話を切ろうとする。

 

『ま、待ってくれ。いくらなんでも一切の容赦無しに切るのは冷たくないか?』

「いいから要件を言え。せっかく作った朝飯が冷めちまうじゃねえか」

『わ、私の愛が朝食以下だtーー』

「要・件・を・言・え」

 

これ以上は時間の無駄だと思い、少し強めに言う。

 

『うぅ、息子が冷たい・・・そちらにとある人物を送ったから少しばかりあずかってもらいたい」

「とある人物だあ?」

『少し訳ありでな。場所は外れにある工場。時間は18時で頼む』

「あんたが訳ありって言うんだから相当なんだろうな。わかった後はこっちで動くから、あんたはもう寝ろ。そっちは深夜だろうが」

『おや、心配してくれるのかな?』

「当然だろ。一応、家族なんだしよ」

 

その言葉に受話器の向こうで嬉しそうに笑う声が聞こえる。

 

『ふふ、わかったよ。では頼んだ。『Gute Nacht(おやすみ)』」

「おう、『Gute Nacht』」

 

そう言って受話器を切る。そしてため息を吐いた後、朝食を食べる。

 

少し冷めていた。

 

□■□

 

「Und wenn wir marschieren,dann leuchtet ein Licht」

 

歌を歌いつつ歩く。

先ほど義母が言っていた訳ありの人物。自分のように本当の親がいないか、虐待を受けたか、もしくは何か犯罪を犯したか。何にせよ自分のやる事は変わらない。

 

「っと、教室に着いたか」

 

そう言って扉を開ける。

それと同時に何かが吹き飛んで来る。

 

「危ねっ」

 

それをヒョイと避ける。

見るとそれは某英雄王に似た少年であった。名前は天道寺 雅臣といい・・・踏み台転生者である。

 

「こいつが吹き飛んで来たっつー事は」

 

教室に目を向けると一人の少女がいた。

黒い髪、白い肌、整った顔、藍青色の瞳。

彼女の名前は園城 麗奈。龍宮や自分と同じ転生者である。後ろに高町、月村、バニングスがいるという事は前まで自分もやっていたThe・俺の嫁宣言だろう。

とりあえず天道寺は放置して教室に入る。すると園城がこちらに気づき三人を守るように立ち、こちらを睨む。

 

「めんどくさ」

 

刑夜はそう言って自分の席に向かい腰を降ろすと寝息を立て始める。

それに園城は困惑した。いつもならここで笑いながら素直になれよ的な言葉を発するのだが、今日の彼はまるで興味が無いかのように自分の席に行ってしまった。

後ろの三人も困惑しているようだ。

 

「(なんなのよ。調子狂うわね・・・)」

 

刑夜を警戒しつつ席に座る。

そこでふと、今は学校にいない龍宮が通信で言っていた事を思い出す。

 

『凶月が別人のように変わった』

 

それを聞いた時には冗談かと思った。だが、今の彼を見ればそう思わざるを得ない。

まるで、自分たちへの興味なんてないと言った目

さらには自分の心臓を抉り潰したなどという事もやったという。

信じがたいが、彼がわざわざ嘘をいうとも思えない。

 

「(もうわけがわからないわ・・・)」

 

頭を抱えてため息を吐く。

 

□■□

 

昼休みになった。刑夜は弁当を取り出してさっさと食べて寝ようと蓋を開けた時、

 

「嫁達、一緒に昼飯を食おうぜ‼︎」

 

などと言う声が響く。クラスの生徒達は、ああまたかという顔をしている。

 

「(そういや俺も色々やってたな。今はどうでもいいが)」

 

そう思いながら昼飯を食べる。その間にも後ろから会話が聞こえる。

 

「だから私達はアンタの嫁なんかじゃないって言ってるでしょう⁉︎」

「毎回毎回鬱陶しいのよ。もっと痛い目を見ないとわからないのかしら?」

 

敵意100%の言葉。それを言われても天道寺はこう言う。

 

「そう照れんなって。素直になれよ(ニコッ)」

 

見当違いも良い所な発言。勘違いフィルターは今日も絶好調のようだ。

そして再び絡む天道寺。いつもならここで刑夜が割り込み天道寺と喧嘩になりその隙に逃げるか龍宮が止めるのだが、今日に限って龍宮がいない上に刑夜は我関せずといった具合に昼飯を食べている。

 

『(誰でもいいからなんとかして)』

 

そう生徒全員が思った時、後ろで言い争っている五人以外の生徒がその声を聞いた。

 

「いつまでもギャーギャー喚きやがって・・・」

 

刑夜はそう言うと立ち上がり、五人の元に歩いていく。

 

「おい、そこのパチモン野郎」

「ああ⁉︎モブ風情が俺に話しかけんじゃ・・・ぶっ‼︎」

『・・・は?』

 

天道寺が言い終わるより先に刑夜が殴り飛ばす。それで今朝と同じように廊下の壁に叩きつけられる。生徒達はそれにポカンとなる。

 

「目障りなんだよこの金髪ファッキンが。邪魔くせえから逝っとけガキ」

 

そう言うと席に戻り、昼食を食べ始める。生徒達は未だほうけていた。

 

□■□

 

数時間が経った。学校は隙に終わり、現在は目的の場所へ行くべく外にいる。

 

「やっぱ日が沈むと五感が冴え渡るな・・・ったく、ホント吸血鬼っぽいな」

 

目的地の場所を頭に浮かべながら歩いていく。そして目的地に着いた。

 

「さーて、目的地に着いたは良いが訳ありの人物はどこにいやがんだ?」

 

そう言いながら歩いていくと途中、黒塗りの車を数台見つけた。中にはアタッシュケースがあり中には大量の現金が入っていた。

 

「どうもきなくせえな。どうしたもんか・・・」

 

その時、

 

ーーギャアアアアアァァァァ。

 

「あ?」

 

突然聞こえる悲鳴と銃声。

 

ーーやめろ、来るな、来るなあああああ。

 

立て続けに響く悲鳴。そして研ぎ澄まされた五感が肉を切り裂く音と血の匂いを感じ取る。

 

「おいおい、マジでどうなってやがんだ?」

 

怪訝に思いながら工場へ入っていく。

噂によるとここの工場は取り壊しが決定しているのだが立て続けに不審な事故が相次いでいるため先送りになったらしい。

 

「その割にはそれらしい奴は一匹もいねえが。やっぱガセネタか?」

 

まあどうでもいいかと思いながら奥へと進んでいく。

そしてその途中、それがいた。

死体。間違いない。黒服の男は首を切られておりすでに事切れていた。

 

「鋭利な刃物で首を切られて絶命。訳ありってのはあれか。殺し屋でもやってたって事か?」

 

そう言いながら杭を死体に突き刺す。すると死体がだんだんと朽ちていき、最後は灰になった。

そのまま進んでいき、血の匂いが濃く漂って来る部屋の前に立つ。

扉を開けると中は数人の男が死体で転がっていた。

そしてその中心、おそらくこの惨状を作り上げたであろう人物が血がベットリと着いた全長49cmのナイフを持って佇んでいた。

 

「よお、あー・・・その、なんだ。お楽しみだったところ悪いんだが。ちとてめえに聞きたい事があんだわ」

「誰だ・・・?」

 

声音からして相手が少女だという事がわかる。

 

「名前を尋ねるってんならよ、まず自分から名乗るってのが筋だろうが。てめえの親父は礼儀云々を教えちゃくれなかったのかい?」

「・・・父親などいない。とっくの昔に死んでいる」

「あー・・・そりゃ御愁傷様」

「だが、たしかに名乗った方が良いな」

 

そう言って彼女はくるりと振り向く。

 

「は・・・?」

 

その顔を見て思わずそんな声を上げる。

銀髪のロングヘアー、色白の肌に紅い瞳。その左目には眼帯がつけられている。

 

「私はラウラ。ラウラ・ボルネフェルトだ」

 

彼女の容姿は、『IS』のラウラ・ボーデヴィッヒであったのだ。

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