天元の花(偽)、異世界に降り立つ。 作:久しぶりに投稿したマン
一話
肌寒さを感じゆっくりと瞼を開くとボサボサ髪の毛を雑にまとめた無精髭のおっさんが起きた自分の方へ視線を向けた。
「ん、起きたか......ガキ」
「(は?何これ)」
あれから早十八年も経過した。当時は、ただ只管に困惑してばかりだった。ベッドで寝ていた筈なのに、目が覚めたら知らない男の顔が目の前にあったものだから、大きな声で叫んでしまった事は今でも覚えている。転生とはっきり自覚したのは、五歳になった頃風呂に入っている時水面に映る自分の顔が武蔵ちゃんの顔を見て理解した。
そこからはこれから出くわす先の未来で生き残れる様に必死に剣技を磨き続けて、何とか五輪の真髄の片鱗らしきものは身に付けられたが、そこからはスランプ的なものに陥り日々修練をしている。
「?」
休憩がてら雑にこれまでの事を思い返していた所にひらりと現れた白い手紙はゆっくりと私の膝に落ちた。辺り一面をキョロキョロと見渡して見るが、私以外の気配も形もなかった。
此処で深く考えても進まないので、落ちてきた手紙を開くと空に放り上げられていた。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その
私以外の叫び声が聞こえる最中、周囲の状況を確認する事が出来た事に「これも武蔵ちゃんbodyの恩恵か?」っと、余分な思考ができる程に落ち着いていた。今の状況は私と他三人と動物一匹が落ちている事が分かる。後は、落下地点には何かしらの物で作られた膜が見えているので死ぬことはないと考えたと同時に飛び込んだ。
落ちた場所は何処かの湖だった。他の三人と一匹は陸地の方へと向かっていたので、その後を付いていった。陸地に着くと、各々濡れた衣服を絞りながら愚痴り始めた傍ら、私は自分の刀を吹いていた。
「最後に、そこの着物の貴女は?」
「おお!俺も気になってたぜ!」
「......同じく」
拭きながら聞き耳を立てて、自己紹介する流れだというのは知っているけれど、私の前に派手な自己紹介をした金髪の男のせいで、変にハードルが上がってしまい不安ではあるがこのまましないで黙っている方がもっとヤバいので、勢いよく述べた。
「
『っ!』
三人共、私の名前を聞いて驚いた表情をした。まぁ、正史では宮本武蔵と言ったら男性というのが常識だから、驚くのは問題は....無い筈.....多分と言い聞かせている私と三人の様子を草陰から見ている
「(え!?)」
それから三十分程経過した頃、痺れを切らした金髪の男___十六夜は、草陰からはみ出ているうさ耳をぎゅっと力強く握りしめ、引っ張り出した。
「いい加減出てこい!」
「ふぎゃ!何するんですか!痛いじゃないですか!」
「何するも寝ぼけたことをを言うな!こっちはお前が出てくるのを待っていたんだぜ!」
「えっ!?そうなんですか!」
うんうんと頷く私たちにを見て、さっと青ざめた表情を浮かべた黒ウサギは勢いよく腰を曲げで謝罪した。
「大変お待たせして申し訳ございません!宜しければ、此処__〝箱庭〟について説明してもよろしいでしょうか?」
涙目になりながらも黒ウサギは何とか話を聞いてもらえるような状況にできた。私を含んだ四人は黒ウサギの前に座り込み、話だけは聞こうというぐらいには耳を傾けた。
「それではよろよろしいでしょうか。皆様、定例文で言いますよ!ようこそ!〝箱庭〟へ!我々は皆様に与えられたギフトを所持している者しか参加できない『ギフトゲーム』への参加資格をお渡ししたいと思い召喚させていただきました」
「ギフトゲーム?」
「そうです!皆様にお気づきでしょうが普通の存在ではありません!その特異的な力は、神仏や悪魔、精霊等の超常なる存在から与えられた恩恵でございます。『ギフトゲーム』は与えられた〝恩恵〟を用いるゲームとなっております。そして、箱庭はそういった恩恵を持つ様々な方々が自らの欲を満たすために造られたステージも存在します!以上で簡潔にこの世界の事を説明しましたが質問はありますか?」
発言をする為に久遠飛鳥は真っ直ぐと挙手をした。
「まずは初歩的な質問をさせてもらうわ。貴女の言う〝我々〟っていうのは、貴女を含めた集団なのかしら?」
「YES!異なる世界から呼び出されたギフト所持者は箱庭で生活するには数多の〝コミュニティ〟に必ず属していただきます♪」
「嫌だね」
「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの〝
「.....〝主催者〟って誰?」
「うーん。それは様々ですね。というのも___」
流石に話が長いので略すと、このような内容だった。
・試したい、力を誇示したい等の者たちの事を主催者とされて、リスクはあるがちゃんとリターンもある。
・ギフトゲームは〝主催者〟が開催するものと互いの金品や土地、権利等の様々ものを賭けて行われる。勝者は賭けられたものを総取りする。
・法自体は存在するけれどギフトゲームを介した事は適用外とされる。なお、ゲームに参加した以上は自己責任となる。
「さて。皆様を呼んだ義務として、箱庭世界の説明をしてきましたが全てを説明するにはもう少しお時間を頂きます。しかし、いつまでも皆様を野外に出しておくのは忍びない。なので、残りの説明は我々のコミュニティでさせていただきますが、......よろしいですか?」
一通りの説明を終えたのか、息を整えながら一枚の封書を取り出した。
「おい、まだ俺が質問をしてねぇし、そいつもしてないだろ」
静かに聞いていた十六夜は声を上げながら私を指さした。話し始めから出ていた軽薄な笑みがなくなっている事に気づいた黒ウサギはは聞き返した。
「......どういった質問ですか?ルールでしょうか?ゲームのことでしょうか?」
「俺より先にまずはお前が答えろ」
へっ?てっきり、こいつから答えると思って考えてたんですけど......うーん。まぁ、これにしようかな。
「うどんってある?」
「えっ!?.....勿論ありますとも!では、十六夜さんはどういうことをお聞きになりたいでしょうか?」
「俺がただ一つ.....これだけ聞きたいのは手紙に書いてあった一文」
十六夜は視線を黒ウサギから外し、飛鳥、春日部耀、私の順で見回し、此処から見える都市へと向けた。小さく息を吸い込んで吐き出すかのように発した。
「この世界は......
「.........」
この世界に呼んだ手紙には確かに己の全てを捨ててこいと書かれていた。その価値があるのかと黒ウサギの返答を無言で待った。
「____YES。『ギフトゲーム』は人知を超えた者達が参加することができる至上の遊戯。この箱庭の世界は外界のどれよりも格段に面白いと黒ウサギは保証いたします♪」
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黒ウサギについていくとそこには一人の男の子がいた。
「ジン坊ちゃん!新しい方々を連れてきましたよ!」
「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性三人が?」
「はい!此方の御四人様が___」
そうですっと言い切りながら、こっちに振り替えると一人欠けていることにカチンっと固まった黒ウサギは、声を震わせながら聞いてきた。
「.......えっと、あれ?もう一人いませんでしたっけ?全身から〝俺様問題児!〟ってオーラを発している男性が?」
思い出したかのように飛鳥は黒ウサギの質問に答えた。
「あぁ、十六夜君の事?彼なら〝ちょっくらぁ世界の果てまで行ってくるぜ〟とか言いながら駆け出して行ったわあっちの方角に」
飛鳥が指をさした方角には空中から見えた断崖絶壁だった。あまりの出来事に呆然と立ち尽くした黒ウサギは怒髪天を衝くが如く私たちに問いただした。
「ど、どうして止めてくれなかったんですか!」
「〝止めるなよ〟って言われたもの」
「なら、何で黒ウサギに教えなかったのですか!」
「〝黒ウサギには何も言うなよ〟と言われたから」
「あー、何かごめんね?」
「そう言われると何とも言えないのですが.....そこの御二人はただ面倒だったのでしょう!?」
『うん』
飛鳥と耀の返事にガクリと膝から崩れ落ちた黒ウサギは数時間前の新たな人材に胸を躍らせた己が妬ましく思った。召喚したギフト所持者た達がこんな問題児ばかり来るなんて嫌がらせにも程がある。
そんな落ち込んでいる黒ウサギとは対照的のジンは顔面蒼白になりながら叫んだ。
「た、大変です!あっちにはギフトゲームの為に野放しになっている幻獣がいます!」
「幻獣?」
「そうです!ギフトを持つ獣を指す事で、主に生息するのが先ほど指をさした方角にある〝世界の果て〟付近にいます。出くわしたら最後、とても太刀打ちできません!」
「あら、それは残念。もう彼は終わりかしら?」
「ゲーム前にゲームオーバー?.......ギャグ?」
ジンの発言に焦る処か肩を竦める二人を横目に私は久方ぶりに滾るものを感じていた。
そんな私達を尻目に黒ウサギはため息を吐きながら立ち上がった。
「はぁ、仕方がありません。ジン坊ちゃんは黒ウサギの代わりに御三方の案内を頼みます」
「わかった。黒ウサギはどうするの?」
「一刻程であの問題児を捕まえてきますので!皆様はゆっくりと堪能して下さいませ!」
そう話し黒い髪を朱に染めて〝世界の果て〟へ高く跳び去り、あっという間に遠くの方へ消え去っていった。吹き上がる風から髪を抑えていた飛鳥は呟いた。
「......箱庭の兎って随分と速く跳べるのね。素直に感動したわ」
「黒ウサギは箱庭の創始者の眷属で力もそうですが様々なギフト以外にも特殊な権限を持ち合わせた貴重な種族です。余程の幻獣でなければ大丈夫です。」
ふーんっと空返事を返す飛鳥は心配そうにしているジンに向き直って話しかけた。
「じゃ、黒ウサギも堪能して下さいと言ってたし、お言葉に甘えて私達は先に箱庭に入るとしましょうか。エスコートは貴方がして下さるのかしら?」
「は、はい!コミュニティのリーダーを担っているジン=ラッセルです。齢十一の若輩ですが、よろしくお願いいたします。あの、三人の名前は?」
「久遠飛鳥よ。そこの猫を抱えているのが」
「春日部耀」
「そして、着物を着ている彼女は」
「
ジンが礼儀正しく自己紹介したのを倣って、私たちもしっかりと自己紹介した。
彼の後から続いて、門を潜ると空から眩しい光が降り注がれた。上を見上げると透明の天幕越しに太陽が燦燦と輝いていた。外からだと中の都市が見えなかったの筈なのに、そう考えた私達を見抜いたが如く説明し始めた。
「箱庭を覆っている天幕は内側に入ると不可視化になるのです。この巨大な天幕は太陽を弱点とする種族の為に造られたものですから」
飛鳥は空を見上げながら皮肉を発した。
「へぇ~気になる話ね。此処には吸血鬼でもいるのかしら?」
「はい、います」
「.....そう」
自身が生まれた世界には存在しない生き物が、ごく当たり前ように存在する事にどこか複雑に感じた表情を浮かべる飛鳥。私はその二人の話を聞きながら街並みを眺めていた。すると、目の前に色々な種族達が賑わう噴水広場に視線を向けた。その周りには清潔感のあるお洒落な喫茶店が幾つも並んでいた。
「この中でお勧めのお店はあるのかしら?」
「すいません。今回の段取りの全てを黒ウサギに任せていたので、よかったらお好きな店を選んで下さい」
「それはなんとも太っ腹ね」
私達は近くにあった獣の傷跡のようなものが刻まれたが旗が掲げれている喫茶店に入った。そこに注文を取りに来た猫耳の少女が現れた。
「いらしゃいませー、ご注文はどうなさいますか?」
「そ、それじゃあ、紅茶を....と緑茶を二つずつ。後は軽食にこれとそれで」
『ネコマンマを!』
「はい!それでは注文を確認しますね。ティーセット四つにネコマンマを一つですね」
私と飛鳥、ジンは?を浮かべ首を傾げた。そんな私達を気にも留めずに耀は驚きの表情をしていた。
「三毛猫の言葉、分かるの?」
「それはもう分かりますよ!だって、私は猫族ですから」
猫耳の店員は長い鍵尻尾を振り回しながら店内に戻っていった。その様子を傍から見ていた私達は興味津々に質問をした。
「え?もしかして貴女も猫と会話する事って出来るの?」
動揺が隠せない飛鳥の質問に首をコクリと頷いて答えた。続けてジンが質問をした。
「猫以外にも意思疎通が出来るのですか?」
「うん。生きているのなら、どんな生物だって話は出来る」
「じゃあ、今までどんな生き物と話してきたの!?」
「雀や烏とか.....最近だとライオンか__」
「ライオン!?」
「う、うん。動物園で知り合った。他にも、虎とかゴリラ達とも友達になった」
ライオンと話す機会がある事に驚きを隠せない飛鳥とジンは耀の声を遮って声を上げた。私は一応前世の知識で知っていたので、特に驚きはしなかった。
「久遠さんと宮本さんは__」
「飛鳥でいいわ。春日部さん」
「私も武蔵でいいよ」
「う、うん。二人はどんな力を持っているの?」
「先に私から言っていい?飛鳥」
「.....ええ、構わないわ」
よし、これで変にハードルが上がらないぞ。でも、なぁ。武蔵ちゃんに特異な力ってあったっけ?それっぽいのを言おうかな?
「天眼というものよ。わかりやすく言えば、目的を果たすにはどうすればいいかを見極める眼って言う事」
「流石と思う力ね。羨ましいわね.....だって、私の力は___」
「おんやぁ?そこにいるのは東区画の最底辺コミュ〝名無しの権兵衛〟のリーダージン君じゃないですか?」
飛鳥の話を遮った野太い声が入ってきた。声のする方向にはぴちぴちの紳士服を着ている___包んでいる男がいた。
・文章量を修正しました。