天元の花(偽)、異世界に降り立つ。 作:久しぶりに投稿したマン
ドクンドクンっと心臓の音が聞こえる。......私、緊張しているのかな。それもそうか、今まで会ってきた人達と比べて、纏う雰囲気が違う。今の所.....勝ち筋なんて全く見えはしないが、
「さて、先手はお主に譲ろう」
正面に立っている白夜叉は余裕の表情を浮かべ、先手を譲ってきた。
「先手譲って、後悔しないでよね!」
そう呟くと同時に白夜叉へ正面からぶつかりに行った。すると、鉄扇を私に向け振るうと、幾つもの火球が飛んできた。
「これくらい、何のその....!」
火球と火球の間を潜り抜け、白夜叉に一太刀与えそうに瞬間。私は九十度右へ大きく逸れた。
「ほう?今のをかわすか。流石と言っておこう」
数瞬程いた所には小さな陥没した後があった。恐らく、最初の火球らが消えずに私の元へと飛んできたのだろう。白夜叉の周りを走りながら、隙を伺っているけど.....やはり最強の主催者と言われる事もあり、付け入る隙がない。無理して突貫しても返り討ちに合うだろう。
「......ふぅ」
落ち着け私、きっとある筈よ。うーーーーん.......
「やった事ないけど!ぶっつけ本番でやるしかないでしょ!」
一発で斬撃を飛ばす事に成功した私の中で「何となくこう振れば、飛ばせる」という奇妙な感覚を感じていた。
「ふむ。この程度見飽きる程受けたあるぞ」
「だと、思った。これならどう?」
呆気なくその斬撃を鉄扇で薙ぎ払った白夜叉に近づき私は勢いよく二刀を振り払った。その瞬間、私は近くいるのは拙いと考え、白夜叉から距離を取った。
「だから、言ったじゃろう.....見飽きたっと」
「なっ!.....ぐっ」
「惜しかったの~......もう少しで一撃を当てられそうじゃったな」
「.....っ」
全然惜しそうな顔を浮かべすに話す白夜叉に、私は先程の飛ぶ斬撃然り、もしかしたら宝具を放てる可能性が頭に過った。物は試しで、形から行う事にし_____持っている二刀を鞘に納め、目を瞑る。
___南無
それは正に己自身が出せる限界を超えた一撃であった。だが、相手は最強格の一人である白夜叉はいとも簡単に跳ね返して........
その後、十六夜、飛鳥、耀の〝試練〟の『ギフトゲーム』が行われ無事にクリアし、話はギフト鑑定についてなった。
「ふむ。ギフト鑑定は私の専門外というより無関係と言ってもいいところじゃがな」
白夜叉としては、ゲームの褒美で依頼を頼まれると思っていたようだ。困惑の表情を浮かべ自身の白髪を掻きながら、私達へ視線を向けた。
「ほうほう.....なるほどお主達全員の素養は高いのは見てわかる。とはいえ、お主達は自分の力はどの程度把握しておる?」
「わっかんない!」
「企業秘密」
「右に同じ」
「以下同文」
「はぁ、要するに教えたくないというわけじゃな。先程の事もあるが、話が進まんじゃろう」
「俺は別に鑑定なんざ、必要ねぇ。そもそも人に値札を貼られるのが嫌なんだよ」
十六夜の発言に同意するように頷く飛鳥と耀。その様な反応に困った白夜叉は、ふと妙案でも浮かんだのかニヤリとした表情で言う。
「ふむ。何がどうであれ〝主催者〟としては、〝試練〟制した者には褒美をやらねばならない。ついでに、武蔵にも与えようかの。ちょいとばかし豪華じゃが、コミュニティ復興祈願としてはいいだろう」
そう白夜叉が拍手を二度すると、私達一人一人の前に光り輝くカードが現れる。カードそれぞれには名前と自信に宿るギフトの名称が書かれていた。
それそれ名と
「ギフトカード!」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
十六夜、飛鳥、耀のボケに律儀にツッコミをいれる黒ウサギ達を放っておいて私は白夜叉に聞いた。
「さっきの空間を生み出す際に出したカードには〝サウザンドアイズ〟が刻まれてたけど、私達のギフトカードに何も刻まれてないのは何故?」
「それはじゃな、それはなお主らが〝ノーネーム〟だからの。少々味気のなくなっているが、文句は黒ウサギにでも言ってくれ」
「ふぅん。じゃあこの水樹ってやつも収納できるのか?」
茶番がひと段落したのか十六夜は持っている水樹にカードを向けてみると、光の粒子となって十六夜のカードへ吸い込まれていった。カードを見ると水樹の文字が【
「おお?これすげぇな。もしかしてこのまま出せたりするのか?」
「出せるとも、試しに出してみるか?」
水を出そうとする十六夜を止めようと黒ウサギがやって来た。
「だ、駄目ですよ十六夜さん!水の無駄遣いをしないで、コミュニティに使って下さい!」
チッ、とつまらなさそうに舌打ちをして水を出すのを止めた十六夜。黒ウサギはまだ安心していないのかハラハラと監視している。その様子を傍から見ていた白夜叉は高らかに笑っていた。
「そのギフトカードの正式名称は〝ラプラスの紙片〟といってな.....要するに全知の一端だ。そこに刻まれているギフトネームはお主らの魂と繋がっており、鑑定出来ずとも凡そのギフトの正体は分かるというもの」
「ということは、俺と宮本は特例って訳だ」
ん?と私と十六夜のを覗き込む白夜叉。そこには確かに【
「......いや、そんな事がある筈ない」
パシッと私達のギフトカードを取り上げた白夜叉は顔色を変えて、これ以上ないような雰囲気を発している。真剣な表情で不可解だとばかりにギフトカードを見ている白夜叉。
「【
「つまりそのラプラス?でも鑑定が出来なかったって事でしょ?」
「ま、そういう事だ。俺的にはこの方がありがてぇ事さ」
白夜叉から自分達のギフトカードを取り返して懐にしまった。それでも白夜叉にとっては腑に落ちないのか怪訝な表情で私達を見る。
「(強力な力を秘めている事は確かという事じゃな。しかし、全知のラプラスがが鑑定が出来ないという事は....無効化した?まさかな)」
白夜叉の脳裏に浮上した可能性を苦笑と共に振り切った。修羅神仏が集まる箱庭では、無効化にギフトはさして珍しくない。それは一つの事に特化した場合だ。逆廻十六夜と新免武蔵藤原玄信は強力な奇跡を宿している者が、その奇跡を打ち消すなんて矛盾を抱えているなど有り得ない。まだラプラス側に問題があった方が信憑性が高いというもの。
六人と一匹は暖簾が下げられている店の前へと移動して、白夜叉へと私達は一礼した。
「今更だが、聞かせてくれ。お主たちが所属しているコミュニティの状況を理解しておるのか?」
「ああ、名と旗の事か?聞いてるぜ」
「ならば、取り戻すには魔王と戦うことも?」
「聞いているわよ」
「.......では、全ての事を承知の上でコミュニティに加入するのだな?」
白夜叉の発言にドキリとした表情で顔を逸らす黒ウサギ。もしあのままコミュニティの現状を話さずに誤魔化し続けたら、折角呼んだ同志を手放す羽目になっていたのだから。
「だって、打倒魔王なんてワクワクするじゃん!」
「〝ワクワクする〟で済ましていい話じゃないのだが。......全く、若さゆえの無謀というか蛮勇か。まぁ、魔王というものがどういう存在かコミュニティに帰ればわかるじゃろう。それを見た後に魔王と戦う意思があるのなら止めんが。......そこの小娘二人は今のままじゃ死ぬぞ」
飛鳥と耀を指をさして、断言とも言える忠告をされた。二人はそんな事はないと言い返そうとしたが、魔王と同等かそれ以上の実力を持つ白夜叉の物を言わせない威圧感に圧倒された。
あの後さらに白夜叉に苦言を言われた二人は〝ノーネーム〟の拠点に向かう道中、終始無言で歩いていた。寂れた門前に着いたと同時に黒ウサギは口を開いた。
「ここから先が我らのコミュニティでございます。しかし、本拠の館まではさらに歩かねばならないのでご了承ください。この近辺はまだ魔王との戦いの名残がございますので......」
「ほう?魔王との戦いの名残か.....気になるなぁ?」
「私もその天災が残していった傷跡とやらを見せてもらおうかしら」
「......気になる」
「私も私も!是非ともこの眼で確認したいな!」
機嫌を悪くして無言だった飛鳥と耀は白夜叉に塵芥の如く扱われたのを気にしているようで、その訳を自身の眼で見定めようとしているのだろう。
「......では、門を開けますね」
黒ウサギは躊躇いつつも目の前にある門を開ける。すると、開く門の隙間から乾ききった風と砂塵が吹き抜けていった。完全に開いた先にあったのは一面に広がる廃墟だった。
「っ、これは一体?」
十六夜は元は木造建築の一部と思われる破片を拾い上げて、軽く握りしめると乾いた音と共に崩れ落ちていった。
「.......一つ聞くが、黒ウサギ。その魔王とのギフトゲームを行ったのは_______今から何百年前の話だ?」
「わずか三年前の事でございます」
「ハッ。おいおい、そりゃあ面白い話だな。いや、まじで......風化しきった街並みが
そう黒ウサギらのコミュニティは......何百年の時が経過したかのように崩れ去ったように見えた。周囲を探索しても、とても三年前まで人が住んでいるとは思えない有り様に、冷汗を掻く私達。
「......断言するぜ。如何に力を振るわれたとて、こんな事にはならない筈だ。それに木材のこの崩れ方なんて、数百年単位じゃないけりゃ無理だ。自然崩壊したとしか思えない」
黒ウサギは周囲にある建物から目を逸らして、俯きながら答える。
「......魔王とのゲームはそれ程__それ以上の凄まじい戦いでございます。この土地が奪われなかったのは自分達の力の誇示と見せしめの意味を兼ねてでしょう。彼らは力を持つ人間が現れると玩具と遊ぶ子供の如くゲームを挑んできます。そして、敗北した者達は心を折られて、去っていきました」
先程、白夜叉とのギフトゲームにて、ゲーム盤を出したのはこの為だった。力がある者同士の戦いは周囲を傷つけるからだ。魔王らはその光景を敢えて楽しんでいる。
しかし、私と十六夜だけは目を爛々に輝かせ、不敵に笑った。
「いいね、いいね!そう来なくっちゃ、面白くないしね!」
「ああ!魔王と戦うんだ!これ位じゃなきゃな!」