では、どうぞ。
試験を終えて通常のペースで授業を進めていく上杉と斗真。
そんなこんなで起きていた目の前の出来事は・・・。
「何これ?」
「・・・コロッケ」
三玖が上杉に食事をしていないと言う話をしていたのだが今回も三玖が食事を作る事になった。
しかし、いざ作った物がコロッケという名の
出来上がった物はコロッケとは言わず石ころと言われてもおかしくないだろう・・・。
斗真は、晴れて恋人となった三玖の料理スキルの進展を見ては見たものの大きな進歩はなかった。
「(精進あるのみだな・・・)」
などと思っていた斗真だった・・・。
そして、いざ食してみたのだが・・・。
「コロッケか!普通にうまいな」
「あんまり美味しくない!」
上杉は貧乏舌、四葉はハッキリと不味いと言い切った。
「(・・・どっち?)」
三玖は、2人の意見の違いで頭を悩ませた。
「こうなったら、新城さんがジャッジして下さい!!」
「!?」
三玖は、四葉にそう言うわれるとビクリッ!と反応した。
斗真は、三玖に視線を移した。
それに気づいた三玖は、決意を固めた表情で頷く。
斗真もその決意を受け止め三玖のコロッケを食べた・・・。
「・・・どう?」
モグモグと噛み口の中に入ったコロッケを飲み込んだ。
そして判定は・・・。
「・・・トウマ。嘘偽りなく教えて欲しい」
「分かった。結論から言うと旨くない」
三玖は、ハッキリと言われて意気消沈とするが・・・。
「だが、この場合は揚げ過ぎだな。
中の具材を予め下処理をしていれば揚げ時間を短縮できる」
「「「えっ?」」」
斗真は、手に持っていたコロッケを置き、キッチンの方に向かう。
「新城さん?」
「すまないが食材を使わせて貰う」
「それはいいですけど、何をするんですか?」
「今日は番外編だ。
家庭科の授業。コロッケの作り方の勉強だ」
「「「えええ!?」」」
斗真の思いがけない発想でビックリする一同だった。
場所は変わり五月の部屋。1人である程度できそうな勉強はやっていた。
一通り終えると時刻は昼を過ぎていた。続きは、食事をとってからにしようと言うことになった。
部屋を出てキッチンの方に向かうと・・・。
「それじゃあ、最後の工程をやるぞ〜」
「トウマ。これ、調理用タイマー」
「よし、これを1分位に設定しようか」
三玖と一緒に料理を教えている斗真。
それをただ眺めている上杉と四葉。
その4人の様子を見て五月は思わず・・・。
「どう言う状況ですか?」
「あ、五月!!」
四葉は、五月がきている事に気づきこちらに来るように手招きする。
「今日は家庭教師の日じゃなかったんですか?」
「アイツらにとってはそうだ」
「どう言う事ですか?」
事の経緯を説明中。
そして五月は・・・。
「三玖ずるいです!!私も混ぜて下さい!そして出来上がりのコロッケを下さい!!」
「オイ」
上杉は、思わずツッコミを入れてしまった。
「お、折角だから五月に食べて貰うか」
「え?」
「・・・うん」
そして、三玖に料理を教えながら作って行き・・・。
「・・・できた」
三玖は、そう言い五月の前に出来上がったコロッケを出す。
見た目は、こんがり狐色。盛り付けもキャベツが備え付けられている。
「見た目は、さっきのと全然違いますね・・・」
「ああ、三玖が作ったものとは思えないな・・・」
上杉は上杉で失礼な言い様だった。
「では、いただきます・・・」
箸にコロッケを差し込む。すると・・・。
サクッ!
「「「!!」」」
皆が驚くのも無理は無い。
先程出来上がったものは音はなるが出来上がっているものとはぜんぜん違う。
五月は、ゆっくりと箸で取ったコロッケを口に運び味を噛み締めた・・・。
すると真剣だった表情がどんどん笑顔になっていった。
「三玖、このコロッケ凄く美味しいです!!」
今まで見た事ない位と言っていい程の眩しい笑顔を出す五月。
その言葉を聞いた三玖も思わず笑みが溢れた。
「せっかくだから上杉と四葉も食ってみろ。俺が保証する」
「それじゃあ・・・」
「遠慮なく・・・」
そう言い上杉と四葉は、斗真に勧められてコロッケを食べた。
「美味しい!!」
「ああ、美味いな!」
2人を美味いと唸らせると三玖は笑顔になった。
「よく頑張ったな」
斗真は、三玖にそう伝えた。
そして、笑顔で頷いたのだった。
そんな時・・・。
「何してんのよ。みんなして」
二乃が現れた。
「何かようか?」
「五月をランチに誘おうと思ったんだけど・・・。
何知らぬまに美味しそうなコロッケ食べてるのよ?」
「あげませんよ?」
「いらないわよ!!」
「三玖が美味しいコロッケを作ってくれたんです。
今日は外に出なくていいほどです」
「・・・は?」
三玖が作ったと言われたら二乃は思わず何を言っているか分からなかった。
「ま、まさか・・・」
「本当だよ。私も食べたもん」
四葉の追撃で言葉を詰まらせた二乃。
そう言い三玖は、少し多めに作っていた残りのコロッケを二乃に出した。
「・・・少し、小さいけど味の判断はできると思うよ」
そう言い三玖が差し出してきたコロッケを食べた。
「・・・お、美味しい!」
二乃は信じられない表情を浮かべていた。
「何で・・・」
「今日は家庭教師の番外編。トウマが先生になって作り方とコツを教えてくれた」
「はあ!?」
思いがけない話を聞いて二乃は斗真に視線を向けた。
「・・・アンタ、料理なんて出来たの?」
「一人暮らしをしているからな。
ネットのレシピ通りだが2年も自炊していれば色々とできるようにはなる」
改めて彼のハイスペックに驚きを隠せない姉妹達。
するとここで、四葉がある疑問を投げた。
「新城さんと上杉さんってどうやって知り合ったんですか?」
「「はっ?」」
「言われてみれば確かに・・・」
四葉の発言に頷く五月。
彼女達は視線を上杉と斗真に向けた。
「まあ、コミュ症の上杉を見ていれば嫌でもそうなるか」
「お前な・・・」
「そりゃそうだろ。勉強バカもここまでくれば呆れを通り越して尊敬する」
「それは褒めてるのか?」
「褒めてるのと貶してる」
「ひでぇ!?」
まさかのダブルパンチだった・・・。
「でも、上杉君の性格を考えると仲良くなるなんて思えませんし・・・」
五月の言い分も最もだ。
上杉は、勉強に全てを捧げていると言っていいほどの勉強バカだ。
その上杉が何故こうも色々と正反対な斗真と仲良くしているのかが理解できない。
「まあ、話してもいいか」
「それもそうだな。隠すほどでもないし」
上杉と斗真は、せっかくだから話をしようと言う事になった。
「俺と斗真が出会ったのは、今から1年前・・・」
※ここから回想シーンに入ります。
当時の中間試験の結果が張り出され、上杉は自分の順位を確認していた時だった。
「(500点満点。学年1位。まあ、当然か・・・。ん?)」
この時も、上杉の視点は僅かだけ下にずらした。
そこに書かれていたのは点数が全く一緒だった。
「(俺と同じく500点・・・。名前は・・・新城斗真?
ウチのクラスにそんな奴いたか?)」
と考える上杉。
その当時は、上杉と斗真は、同じクラスだったのだがこの当時の斗真は、防衛省の方に通い詰めだった為、上杉だけでなく他のクラスメイトも斗真の存在は都市伝説扱いされていたのだ。
斗真は、流石に欠席ばかりだとマズイと考え何か策は無いかと考えた。
そしてその策は、身体が弱い為、寝たきりの生活をしていると偽装したのだ。
因みに、偽装工作をしたのが烏間さんにバレてまたしても殺人拳骨を受けたのは言うまでもない・・・。
そして、上杉が斗真の点数の秘密を探れないか考えた。
そんな時、ある起点が訪れた。
「すまないが新城の家にプリントを届けて欲しい」
と、先生に頼まれた。
いつもは担任の先生がプリントを届けに言っているのだがこの日は急な出張が入ったため代わりに届けて欲しいと頼まれた。
上杉は、この手を利用しようと考えた。
先生に頼まれ、教えて貰った住所に向かった。
到着した場所は、それなりにいい住宅マンションだった。
「しかし、一人暮らしだったとは・・・」
などと呟く上杉だった。そして部屋番号を確認し部屋に到着した。
ベルを鳴らしたが誰も出てこない。
「留守か?」
体が弱いと聞いていたから部屋の中にいるかもしれないと思いポストの中に入れようと思ったその時だった。
「ウチに何か用?」
「えっ?」
上杉が声をかけられ振り返ると・・・。
腕にギブスをした斗真だった。
※一度回想終了
「「「いやいやいや!!!」」」
一花以外の姉妹達は、思わずストップをかけた。
「何だよ?」
「新城君が身体弱いのは驚きましたが何故骨折しているんですか?!」
「色々とやらかしてポキリと」
「身体弱いなら寝てないとダメでしょうが!?」
「知るか」
姉妹達の話を強引に終わらせ話の続きをする斗真。
※回想シーン再開
「えっと、新城斗真で良いのか?」
「ああ。君は?」
「俺は上杉風太郎。先生の代わりに来た」
「代わり?」
上杉は、ここにきた経緯を話した。
「そっか」
それだけ話すとドアの前に立ち鍵を開けた。
「入りなよ。麦茶くらいは出すよ」
「え?ああ」
斗真に促され彼の自宅に入る上杉。
中に入るとそこは何も変哲もない一人暮らしに適している部屋といっていい。
「(あるはずだ。こいつが学年首席になれた秘密が)」
しかし、部屋の周囲を見回しても特に変わりはない普通の部屋だった。
「珍しいか?一人暮らしの部屋は」
「え?あ、ああ。先生に話を聞いた時、思わずビックリしたぜ」
「母親は、前に亡くなった。父親ももういない。
親戚が保護者をしていて仕送りをして貰ってる」
「・・・すまない」
「もう前の話になるからな」
そして、適当に座らせて麦茶の用意をする斗真。
「流石に怪我人にさせるは悪い」
上杉は、それを言うと予め用意されていたコップに麦茶を注ぐ。
一先ずリビングに持っていきお茶を飲みながら一息つく。
「それで?君がここに来た理由は何?」
「な、何のことだ?」
上杉は、目的を指摘され思わず動揺してしまった。
「仲のいい友達ならこういったことは頼まれるのはおかしくない。普通だったら先生だしね。
それでも先生の中にはそれすら面倒でプリントを用意して封筒に入れて当日配達するように用意をしたりする。
けれど、今日来た君は、全くの初対面。そんな人がここに来るのは不自然とも思える。
クラス委員長か余程のお人好しでない限りね」
上杉は、思わず固まった。
彼に勉強方法を教えてくれと頼みに来ただけなのにそれを答え一歩手前まで導き出されてしまった。
指摘のあまり冷や汗が止まらない上杉だった。
「安心しろ。別に取って食おうって訳じゃない。
ただ、気になっただけだ」
「待った!話すよ。俺がここに来た理由」
そして上杉は、ここに来た理由を包み隠さず話した。そして・・・。
「ブハハハハハハ!!!!べ、勉強法を教えて欲しいってだけでここに来るなんて。
あ、だ、ダメだ!お腹痛い!ブフフフ!!」
「おい、ここまで笑うことないだろ!」
「いや〜スマン・・・。ここまで変な奴だとは思わなかった・・・」
「へ、変な奴・・・」
上杉は、斗真に言われた言葉に思わず心臓にグサリと刺さった音が聞こえた。
「まあ、笑ったお詫びも兼ねて教えるよ。
俺がやってる勉強法」
「本当か!?」
こうして、上杉は、斗真に勉強を教わることができた。
※回想終了
「「「・・・・・・」」」
一通り話を終えたのだが思ったことは・・・。
「やっぱ上杉君/さん/フータローはブレない・・・」
「失敬な!斗真の勉強法は効率を上げるのに最適なんだ!」
「じゃあ何故教えてくれなかったんですか!?」
「意地張って教えなくて結構ですってほざいた後に自滅したのはどこの誰だ?
普通に教えてくれって言ったらちゃんと教えたぞ」
「うぐっ・・・」
五月の言い分に斗真が黙らせた。
「・・・はあ、バッカみたい」
二乃はそれだけ言って外に出かけた。
こうして、三玖の家庭教師番外編は、滞りなく?終了した。
今回はここまでとなります。
次回から林間学校編に入ります。
では、次回。