単独の任務を終わらせたあたしを出迎えてくれたのはロジェっちだった。
ロジェっちも、いつもより暗い表情をしていた。
あたしと同じように、殺したという実感を強く感じていたからかもしれない。
「そのその、一緒に還していけば、きっと寂しくないと思いますのでそのように頑張ってみますっ」
そう言葉にしていた彼女の声は、どこか淀んでいるようにも思えた。
微笑んでこそいるけれど、心からそう思っているかはわからない。心が擦り切れた結果、そういう発想に至ったっていっても納得はできてしまうし。
(あたしは、あたしにできることをやっていかないと)
殺していった奏官が無駄死にしたということにならないように。
殺害したキル姫の怒りを忘れないように。
痛みを抱えて、前に進んでいくしかない。
それが、あたしにできる贖罪であり、世界に対する償いだ。
自分勝手なことをしている。
村を襲っていたマスターとやっていることは変わらないかもしれない。
それでも、あたしたちは世界を救う為に戦っているはずだ。そうでなければ、この犠牲にどう向き合えばいいのかわからない。
(……ドルチェ、ごめん。あたしは、進むよ)
あたしが優しい人なんて大嘘だ。
人を大量に殺す人が優しいなんてそんなのおかしい。
それでも、使命の為に進まないといけない。コマンドキラーズとして、世界を救う為に。
『混沌のユグドラシルに永遠の静寂を』
その言葉が、呪いのように心に張り付いていたとしても。
あたしは、前に進み続けないといけない。
そうでないと、殺してきた人を無駄にしたことになる。
(あたしがやってしまったことを無駄にしてはいけないんだ)
無意味に死んだ人なんてきっといないはずだ。
あたしが最初に殺してしまった父さんと言われていたマスターにも、なにか正義があったかもしれない。その後に殺したマスターだって、父親を思っていっぱい泣いて、悲しい声をあげていた。
全部に意味があるはずだ。
自分の手でマスターを還した日にドルチェに会ったことも、犠牲にしてしまった人々にも、あたしがやったことにさえも。
……だから、あたしは進まないといけない。
間違っている行為なら、きっといつか罰が下る。
それもきっと仕方がないことだ。悪いことをしたら、その分だけしっぺ返しが来るなんて、よくある話だし。
……でも、動いてしまったなら、やり遂げないといけない。殺してしまった人に報いる為に、正しいことをしていたと自分に信じ込ませる為に。
……行こう。
いつか、世界が平和になる日の為に。
みんなが笑顔でいられる世界の為に。
この心が軋む音に向き合って戦っていく。そう、決意した。