高咲兄妹とスクールアイドルの輝き   作:Ym.S

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どうも!
第101話です。


原作2期編
第101話 心地良い朝


 

 

『♪〜』

 

「んん……眠い……」

 

 

 時間は朝の六時半頃。俺は、スマホのアラームによって目を覚めさせられた。気がつけば、カーテンからは眩い朝日が僅かに漏れていて、本当に朝なんだなと実感させられた。

 

 あぁ、まだ寝ていたいなぁ……そんなことで甘えることなど言語道断だと言う風に自分に言い聞かせ、身体を起こして洗面所へ向かう。

 

 

 そんな訳で、Good morning. 高咲徹だ。

 

 

 しかし、こんなに起きるのが辛いと思うのはかなり久々だ。別に何か悩み事があって眠れなかった訳でも、夜更かしした訳でもないのに。

 

 まあ、最近は同好会の活動に加えてバイトが忙しかったということがあり、夏休み後半は割と起きるのも遅めだったからだろう。今日から二学期が始まるということもあって久々に平常通りに起きた訳だが、この眠気はヤバいな……

 

 まあ、そんな眠気は冷たい水で洗顔して吹っ飛ばすのさ。

 

 

「ふぅ……さて、朝飯の支度をしに行くとするか」

 

 

 洗面所で顔に水を二回ほど掛け、バスタオルで顔を拭いた後、俺はリビングの方へと向かった。キッチンに入る前に、リビングのカーテンを開け、朝日をリビングに通した。今日も相変わらず夏らしい気候で、相変わらずまだ気温と湿度が高い。もう夏休みは終わったというのにな……

 

 

 そういえば、今年の夏休みはいつもより十二分に楽しめたんだよな。同好会の合宿から始まり、スクールアイドルフェスティバルを開催して、侑と歩夢ちゃんと一緒にショッピングしたり……あと、初めてのボランティアで三船と一緒にゴミ拾いしたり、しずくちゃんと演劇を鑑賞したり、愛ちゃんのもんじゃ焼き屋さんでアルバイトもしたり……

 

 あっ、みんなでお祭りに行ったことは忘れちゃいけないな。最初は学年別で分かれて行動してたけど、結局みんな合流しちゃって、花火はみんなで見たんだよな。それで、夏休み終わりにはみんなで勉強会も開いて、みんなで夏休みの課題を終わらせたり───なんだかこう振り返ると、俺ってかなり濃密な夏休みを過ごしてたんだなって実感する。

 

 まあ、もう少し休みを堪能したい気持ちはない訳ではないが、これからも楽しみなことはある。その楽しみを迎えるためには、今こうして夏休みを終わらせるしかない。どこかのアニメみたいに夏休みを繰り返すなんてことにはなりたくないもんな。

 

 

 そんなことを考えつつ、今日の朝飯に使う食材を用意していた。

 

 

 すると───

 

 

『♪〜』

 

「ん? この音は……」

 

 

 どこからか、ピアノの音が聞こえてきた。音量的に外からではなく、うちからだ。

 

 侑が弾いてるのか……? それに、このメロディーって……

 

 

 気になった俺はキッチンから離れ、侑の部屋の前にやってきた。やはり、侑の部屋から聞こえてきているようだ。

 

 

 やっぱりこのメロディー……間違いなくあの曲だ。いつの間にか弾けるようになったのか? 

 

 というかそもそも、うちでピアノを弾く時はいつもイヤホンを装着して弾いてるから、このようにキッチンまで聞こえてくるということはイヤホンをつけ忘れたんだろうな……

 

 

 ……でも、聴いててとても心地いいな。

 

 

 気がつけば俺は、部屋のドアを開けて侑の部屋に入っていた。

 

 侑が弾いていたピアノは、数日前に侑に贈った電子ピアノだった。愛ちゃんの家で夏休み中アルバイトしたおかげで、何とか二学期が始まる前に贈ることができたのだ。

 

 ……しかしまだ侑は寝起きのはずなのだが、そうとは思えないほど気持ちよさそうにピアノの音色を奏でているな。それに、俺が部屋に入ってきているとも気づかないほど、夢中のようだ。

 

 

 俺も夢中で侑のピアノを聴いていると、曲のサビを弾き終えたところで彼女の指が鍵盤から離れた。

 

 そのタイミングで、俺は侑に声を掛けた。

 

 

「いい音色だったな?」

 

「ん? ……うわぁ、お兄ちゃん!?」

 

 

 俺の声に反応してこっちを見た瞬間、侑は椅子から転げ落ちるくらいの勢いで驚いた。

 

 

「ははっ、流石に驚きすぎじゃないか? そりゃ、いきなりピアノの音が聞こえてきたんだから聴きに来て当然だろ?」

 

「えっ? ……あっ、イヤホン付けるの忘れてた!? ごめんなさい! 次からは気をつけるから!」

 

 

 やはり、自分がイヤホンを付けていないことに気づかず、そのまま弾いていたようだ。まあ、寝起きだったんだな。

 

 

「まあそれはそれで全然良いんだが……さっき侑が弾いてた曲って、あの時の曲か?」

 

「え、えっと……そうだよ。まだ全然下手なんだけどね、あはは……」

 

 

 侑が弾いてた曲───それは、スクールアイドルフェスティバルの最後を飾った、同好会全員で歌ったあの曲だった。あの曲は、俺が作曲を手掛けただけあり、イントロが聞こえてきた時にすぐに分かった。

 

 

「そんなことはないぞ。そもそもその曲の楽譜は俺しか持ってないし、楽譜のない状態で弾くことが出来る時点でなかなか凄いからな……しかし、どうやって覚えたんだ?」

 

「そ、そうかな……でも、動画サイトに上がってる動画を見て耳コピしたかな」

 

 

 やはりそうか……というか、主旋律だけではなく大まかな伴奏のメロディーまで捉えるなんて、そう簡単に出来ない。

 

 さっき侑は、右手で主旋律のメロディーを弾き、左手でコードを弾いていた。コードはまだ音数が少なく、右手に集中しているせいかおぼつかないところもあった。しかし、そんなことは今の俺にとって重要なことではなかった。それよりも───

 

 

「なるほど……あの曲を、何回も繰り返し聴いてくれたんだな」

 

 

 俺は、侑がピアノで弾くために何度もあの曲を聴いてくれたのだろうと思うだけで嬉しかったのだ。

 

 

「うん! だって、今までソロで頑張ってきた同好会のみんなが、私のために力を合わせて、全員で歌ってくれたんだよね。それがとても嬉しくて……今思い出しただけで、涙が出てきちゃいそう」

 

 

 侑は、額縁に入れて部屋に飾ってある、スクールアイドルフェスティバルで撮った集合写真を眺めながら、あの日を思い出すように話す。

 

 集合写真には、同好会のスクールアイドル九人がそれぞれの衣装を着ており、その中央には制服姿の侑が両側の歩夢ちゃんと俺の肩に手を回して立っている。この写真だけでも、みんなが心の底から楽しんでいたことが分かる。侑もその一人だ。

 

 

「それに、私が初めて作ったフレーズがあんなに綺麗な一つの曲になるんだって……私、思わず感動しちゃって」

 

 

 すると、侑は俺と向き合って、目をキラキラと輝かせてこう言い放った。

 

 

「やっぱり、お兄ちゃんは凄いよ。私、あの曲が大大大好きになっちゃったもん!」

 

「侑……」

 

 

 その言葉を聞いた俺の心の中では、親しみのある温かい何かを感じていた。

 

 ……ははっ、また侑に褒められちまったな。

 

 

「ありがとな。でも、その言葉をもう少し早く聞きたかったかな〜?」

 

「えっ!? それは……だって、音楽科の転科試験とかで忙しかったし、言うタイミングがなかったんだもん……」

 

「あぁすまんすまん……冗談だ。分かってるぞ、一生懸命だったから仕方なかったもんな」

 

「えぇ!? もー、お兄ちゃんの意地悪……」

 

 

 困った表情を見せたり、不機嫌な表情を見せる侑。

 

 

 そしてまだ寝ぼけているのか、甘えるように俺に抱きついてきた。ピアノを弾き終わってスイッチが切れたのかな。そんな侑の頭を、俺は優しく撫でた。

 

 侑も中学の時と比べたら結構大きくなったよな。今じゃ甘えることはほぼ無くなったが、侑が甘えん坊なところなのは変わらないな。

 

 

「ははっ……ホント、可愛いやつだなお前は」

 

「ん? お兄ちゃん今何か言ったー?」

 

「ううん、何でもない」

 

 

 侑に聞こえない程度の小さい声で呟いたつもりだったが、少し聞こえていたようだ。

 

 

「え〜、ホントかな〜?」

 

「本当だ。それより侑、そんなに寝ぼけているとダメだぞ? これから音楽科で頑張っていくんだからな」 

 

 

 挑発的な表情の侑に対し、俺は気合いを入れようと彼女に発破をかける。

 

 

「うっ……そ、それは分かってるよ! それで私、今度はお兄ちゃんの力になれるように頑張るから!」

 

「俺のか?」

 

「そうだよ! お兄ちゃんは、これから作曲活動を本格的に始めていくんでしょ? それに協力出来るようになるから!」

 

「なるほど……そういうことか」

 

 

 侑の部屋にもピアノがやってきたことによって、やっと俺も作曲活動に専念できる。しかし俺の作曲活動は、時に一人ではそう簡単には上手くいかないかもしれない。そんな時に侑が音楽科で音楽の知識を身につけていれば、俺にはないような発想で俺の作曲にアドバイスをくれるかもしれない、そういうことだろうか。

 

 ……いや、俺の作曲に協力するというレベルには留まらないだろう。むしろ二人の共作で曲が作れるかもしれない。それも、同好会のみんなで歌う曲を───

 

 

「その気持ちはとても嬉しいぞ。でも、侑は俺と肩を並べるくらいになると思ってるけどな?」

 

「えぇ!? そ、それは難しいんじゃないかと思うけど……でも、なれるのなら、なりたいな」

 

 

 一瞬自信のなさが見受けられたものの、侑の言葉にはポジティブさを感じた。

 

 

 ───もしかしたら、侑は俺を……

 

 

 すると、俺のズボンのポケットでスマホが小刻みに揺れた。

 

 

「ん? チャットか……」

 

 

 スマホを起動し、画面を見ると歩夢ちゃんからチャットが届いていた。

 

 

『てっちゃん、おはよう! 朝からピアノの音が聞こえたんだけど、もしかしててっちゃんが弾いてた? それも含めて、今から話せそうかな?』

 

 

 こんな内容だった。

 

 

「どうやら、歩夢ちゃんにも聞こえてたようだな」

 

「あはは……恥ずかしいな……」

 

 

 目を逸らして恥ずかしそうに頬を赤める侑。

 

 そういや、まだ朝飯の準備も碌に出来ていないな……まあ、歩夢ちゃんと話した後でも問題ないか。

 

 

「まあ、歩夢ちゃんが待ってるんだし、取り敢えずベランダに行こうか?」

 

「だね!」

 

 

 こうして、俺らはベランダに行って歩夢ちゃんと話しに行くことにした。ピアノの音の主が侑であると聞いた歩夢ちゃんは意外そうな反応をしたものの、とても嬉しそうだった。

 

 

 ────────────────────

 

 

 二学期の始業式を終え、俺は歩夢ちゃんと一緒に同好会の部室に向かっている。

 

 本来は侑も一緒に来るつもりだったのだが、音楽科の担任の先生と話があるらしく、今日は先に二人で来ている。

 

 

「侑ちゃんの新しい担任の先生、結構堅そうな先生だったね」

 

「あぁ、確かにあの先生は見た目そう見られがちだな。でも生徒会長の時に一度あの先生と話す機会があったんだが、意外と物腰柔らかくて話しやすい先生だったぞ」

 

「そうだったんだ! それが聞けてよかった〜」

 

 

 歩夢ちゃんと一緒に侑の新クラスに訪れた時に見かけた担任の先生について話しながら、部室棟の廊下を進む。

 

 

「もしかして、虹ヶ咲の生徒だけじゃなくて先生も全員名前覚えているの?」

 

「あー、流石に非常勤の先生は話す機会が無いものだからあまり意識して覚えていないんだけど、大体名前は覚えていたぞ。今は流石に怪しいけどな……」

 

「そうだったんだ! それだけ覚えられるなんて、てっちゃん凄いよ!」

 

「いやいや、大したことではないよ」

 

「もー、また謙遜してー! てっちゃんは凄いの! 分かった!?」

 

「えぇ……わ、分かったよ」

 

「それでよし♪」

 

 

 何だか急に怒られたのだが……別に謙遜してるつもりもなくて、実際生徒会長として当たり前だと思ってやってただけなんだけどなぁ……

 

 

 まあでも、歩夢ちゃんが満足そうにしてるからいっか。

 

 

 そんなこんなしているうちに、同好会の部室の前まで来ていた。俺が部室のドアを開けた。

 

 

 すると、何人かが集まって何やらワイワイと楽しそうに盛り上がっていた。

 

 

「よっすー、楽しそうにやってるみたいだな?」

 

「こんにちは〜!」

 

 

 俺と歩夢ちゃんは中に入り、集まっているみんなに声をかけた。

 

 

「あっ、歩夢にてっつーじゃん! ちっすちっすー! てっつーは身体、ちゃんと休めてるー?」

 

 

 すると、愛ちゃんが俺達に近づいてきて俺の肩に手を回してそう訊いてきた。

 

 

「おう。何とか休めてるぞ」

 

「そっかー! てっつーもゆうゆにピアノプレゼントできたんでしょ? だったらあまり無理しないうちに……うちのバイトも辞めちゃって大丈夫だからね!」

 

「そうだ、てっちゃん作曲活動も始めるんだよね? バイトもして、とても大変になっちゃうんじゃない……?」

 

「二人とも、俺の身体を心配してくれてありがとうな。確かにな……バイトとしては辞めざるを得ないかもしれんな」

 

「そっか……」

 

 

 すると、愛ちゃんが少し寂しそうな表情を見せた。

 

 

「……でも、愛ちゃんの家のバイト楽しかったし、たまにでよければ手伝ったりしてみたいな」

 

「……! うん! 大歓迎だよ〜! 気が向いたら、またウチに来てね!」

 

 

 

 バイトを辞めてしまったら、二度とあそこの厨房に入れないと思うと寂しかったが、愛ちゃんのその言葉を聞けて安心した。あそこで仕事するのは手応えがあるし、店の人や店に来る人みんな優しいから居心地が良いんだよな。それに、愛ちゃんもいるし。

 

「あっ、てっちゃん! それに歩夢ちゃんも! チャオ〜!」

 

 

 すると、今度はエマちゃんが俺達に声を掛けてきた。それと同時にその場にいたみんなが俺達の存在に気づき、各々反応してくれた。

 

 歩夢ちゃんは愛ちゃんと何か話しているようなので、俺がみんなに応じる。

 

 

「よう、みんな。調子はどうだ?」

 

「はい! かすみんは絶好調ですよぉ〜! ……あれ? そういえば徹先輩、侑先輩は?」

 

「あぁ、侑は音楽科の先生とちょっと話すみたいでな。後から来るって言ってたぞ」

 

「あっ、そういうことだったんだね! ……侑ちゃん、なんだか忙しそうだね〜」

 

 

 かすみちゃんの疑問に答えると、エマちゃんが納得した様子でそう言った。

 

 

「まあ、それは仕方がありませんね。新たな科に入る訳ですから、学業の進みに追いつくだけでなく、その科の勝手も知る必要がありますので」

 

「きっと侑ちゃんが安心して学びに集中出来るように、先生が気を利かせてくれたんだね〜」

 

 

 音楽科がどのような感じなのかは俺には分からないし、奇しくもこの同好会には音楽科所属の者がいないので聞きようもない。しかしせつ菜ちゃんの言う通り、侑が元々所属していた普通科とは明らかに勝手が違う。

 

 だから、彼方ちゃんが言うように、その勝手を知らないというブランクを、侑の担任の先生は埋めようとしてくれているのだろう。

 

 

「そういうサポートは非常に助かりますよね。私が転校してきた時も、担任の先生が親切に色々と教えてくださいましたから」

 

「えっ、しず子って転校生だったっけ?」

 

「そうだよ! 最初の同好会で言ったんだけど、もしかして覚えてない……?」

 

「てっきり最初からいるって勝手に思い込んでた……」

 

 

 そういえば、しずくちゃんは今年度の入学式の約一週間後に転校してきたんだったな。俺も、時々彼女が転校生であることを忘れてしまうんだよな。まあ、それくらい彼女が虹ヶ咲に馴染んでるってことだな。

 

 

「確かに、しずくちゃんは今年の入学式の直後に転校してきたからな。かすみちゃんがそう思うのも無理はない」

 

「そういえば、徹先輩は私が転校生であることを知ってるんでしたね」

 

「あぁ。確か転校初日にあったんだもんな?」

 

「そうでしたね……あれは電車の中で……っ!?」

 

 

 すると、しずくちゃんが急に話すのを止め、頬を赤く染めて俯いてしまった。一体どうしたのだろうか……?

 

 しずくちゃんと初めて会ったのは……あっ!?

 

 

「しずくちゃん? どうしたの?」

 

 

 エマちゃんが固まったしずくちゃんを心配そうに見ている。

 

 

 そうだ……しずくちゃんと初めて出会ったのは、満員電車の中だった!

 

 別に俺は何もしでかしていないのだが……これを周りに話してしまっては、変な誤解を生むこと間違いなし! ならば、ここで話題を切り替えるべし!! 

 

 

「……あー、そういえばさ! なんかさっき俺が部室に来た時に何か盛り上がってたじゃないか! 一体何を話してたんだ?」

 

「てっつーが来た時……あー、あの時ね! 第二回スクールアイドルフェスティバルについてだよ! せっつーが、今度ある説明会で宣伝したらどーお? って提案してくれたから、どうするか話してたんだー!」

 

 

 俺が無理やり話を切り替えると、いつの間にか歩夢ちゃんと話を終えていた愛ちゃんが反応してくれた。

 

 第二回スクールアイドルフェスティバルの開催は、侑の全面的な賛成によって全会一致で決まった。そして、愛ちゃんの言う説明会というのは、学校説明会のことだろう。毎年来年度に虹ヶ咲への入学を志望する生徒やその親が訪れる行事で、外部から来た人にこのフェスの開催を伝える絶好の機会と言っていいだろう。

 

 

「おぉ、学校説明会か……確かに良いかもな。それで、何か案は出たのか?」

 

「それが……ライブしたら一番良いという話にはなったのですが、その為には講堂を使わなければならないので……」

 

「あぁ……なるほど。となると、毎年恒例のくじ引きに参戦しなければならない、ってことだな?」

 

「そうです。くじ引きなんです……なので、万が一外れてしまった場合は、別の宣伝方法を考える必要があるということになりました」

 

 

 やっぱりそうか……あまり関わりたくないが、あのイベントが一番荒れるんだよなぁ……

 

 そう、俺とせつ菜ちゃんが言うくじ引きというのは、講堂を使うことが出来る部活をくじ引きで決めるというものだ。

 

 虹ヶ咲にはたくさんの部と同好会がある。その中で、学校説明会などの行事で講堂を使いたいと言う部や同好会は、両手では余裕で数え切れないくらいいる。だから、その数を絞るために、運任せで決めるのだ。これには各部・同好会が血眼になって、数少ない講堂使用の枠を取りに来る。だからこのくじ引き会を開催するのは気が滅入るんだよなぁ……

 

 

 まあ、そんなことは言ってられない。今度は参加する側として、外れてもいいような策を考えろってことだな。

 

 

「そこで、璃奈ちゃんが素晴らしい提案をしてくれたのよ。ねっ、璃奈ちゃん?」

 

「うん。果林さんが言うほど良い案かは分からないけど……」

 

 

 なんと、すでに策の案が出ているという。それに璃奈ちゃんは頭が良いし、良い案に違いない。

 

 

「ふむ……その案を聞かせてくれないか、璃奈ちゃん?」

 

「分かった──宣伝PVの放映をする」

 

 

 宣伝PV……つまり、以前に同好会全員が自己紹介するPVを出した時と似た感じで、カメラで撮影してその映像をどこかで流せばいいと言うことか。

 

 

「ほう……なるほどな。それは良いかもしれない」

 

「やはり徹さんもそう思いますよね! 校内には大きいディスプレイがありますので、そこで放映すれば沢山の人の目に留まります!」

 

 

 なるほど。確かにあそこにはとても大きいディスプレイがあったな。普段は何かしら天気予報やら校内の情報が放送されているが、学校説明会でそれを借りれば、実現可能だな。広告効果も期待できるだろう。

 

 

「それでね、実はそのPVに関しても色々話し合ったんだよ〜!」

 

「おぉ、もうそこまで話が進んでたのか……」

 

 

 流石、話が早すぎるような気はしなくもないが……まあ、早すぎても悪いことはないけどな。

 

 

「まあ、まだその策でいくって決まった訳じゃないんだけどね〜……ただ、それがねぇ〜……」

 

「何か問題があったんですか?」

 

 

 彼方ちゃんの反応が少し渋々としているのを見て、歩夢ちゃんがそれについて訊こうとする。

 

 

「取り敢えず、徹先輩と歩夢先輩……りな子のメモがそのパソコンにあるので、見てください……」

 

 

 すると、かすみちゃんが疲れたような表情で部室の横にあるパソコンを指差した。メモっているなんて、流石璃奈ちゃんだな。

 

 

「どうする? 見に行く?」

 

「見に行くか……えっと、起動してパスワードっと───」

 

 

 俺は歩夢ちゃんと一緒にパソコンの前に立ち、パソコンのパスワードを打ち込み、画面が映った。すると、どうやらメモ帳らしきページが立ち上がっており、見てみると……

 

 

「「えっ?」」

 

 

 これは……

 

 

 

 





 原作2期に関わる内容になりましたが、いかがだったでしょうか? 
 2期で新たに登場すらメンバーが本格的に絡んでくるのは少し先になります。

 ではまた次回!
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