高咲兄妹とスクールアイドルの輝き   作:Ym.S

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どうも!
今日は鐘嵐珠ちゃんの誕生日ということで、特別回を書きました!
話に入る前に注意事項です。
前回のミアちゃんの時もそうでしたが、この話は時系列的に本編より後の話になってますが、本編の展開とは関わりがありません。ifストーリーとして読んでいただけると幸いです。

ではどうぞ!


鐘嵐珠誕生日記念回

 

 

 飲食店で食べ物を注文する時、期間限定のメニューが入っていることがあるだろう。

 

 それはある期間中にしか注文をすることができず、そのようなものを目にすると、つい物珍しさにそれを注文してしまう……そのようなことを、俺はよく耳にする。

 

 

 ちなみに、俺は基本いつもの決まりきったメニューしか頼まない。大体新しいメニューを試してみたいという意欲より、いつものあの味を食べたいという欲の方が勝ってしまうからな。外食だと大体そんな感じだ。

 

 

 ───だが、甘い物となれば話は別だ。

 

 

「よし、着いたな……」

 

 

 そんな訳でどうも、甘い物には目がない高咲徹だ。

 

 

 俺がやってきたのは、お台場の中でも一二を争うほどの大きさを誇る商業施設だ。

 

 実はこの中に、複数のたこ焼き屋さんが集まったフードコートがあるのだ。今日俺がここに来たのは、そこに用があるからだ。

 

 

 ……ん? たこ焼きは甘くないだろって? 確かに、スタンダードなたこ焼きはそうだろう。

 

 しかし、この時期にはその常識をぶち破るメニューが登場する。それも……チョコレートや生クリームをトッピングとするたこ焼きだ! 

 

 

 この情報を聞いたのはつい昨日のことで、同好会の練習もない休日の今日に食べに行こうと画策して、今に至っている。

 

 

 そんな訳で俺は、早速商業施設内に入り、一つ上の階にエスカレーターを使って上る。

 

 

 そこには、レトロさをモチーフにしたテーマパークが存在し、沢山のゲーム機が置いてあり、駄菓子なども販売されている。俺が目的としているたこ焼き屋さんが集まったフードコートは、そのスペースを通り抜けた先にある。

 

 

「さて、この昔ながらのゲームが集まってるコーナーを通り抜けて……ん?」

 

「あっ……」

 

 

 すると、そのレトロなテーマパークの入り口に見覚えのある姿が目に入った。ボランティア活動で知り合い、学校でもよく話をする三船栞子ちゃんだった。

 

 丁度俺と目が合い、お互い歩み寄る。

 

 

「よ、よう。栞子ちゃんがこんなところにいるとは珍しいな」

 

「は、はい。実は……」

 

「ねぇ栞子、この人誰? 知り合いなの?」

 

 

 二人で会話をしようとすると、栞子ちゃんの後ろから見知らぬ女の子がひょこりと顔を出した。

 

 栞子ちゃんの名前も呼んでるし、彼女の連れだろうか? 

 

 

「えっと……そうです。ボランティアでよく一緒に活動を共にする、私の高校の先輩です」

 

 

 ……やっぱり、栞子ちゃんの友達みたいだな。ここは相手に失礼のないように、ちゃんと自己紹介をしとかなきゃな。

 

 

「初めまして、高咲徹っていう者です。よろしくお願いします」

 

「なるほどね! 私は(ショウ) 嵐珠(ランジュ)、香港から日本にやってきたわ! ……ところでアナタ、栞子とはよく仲良くしてるのね?」

 

「ん? あぁ……そうですね、校内で会ったら世間話したりするくらいには。それに、ボランティアでは彼女によく助けられてますね」

 

「そんな……高咲さんも要領が良いので、私の方が助けられてますよ」

 

 

 要領が良いなんて……栞子ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいな。

 

 

 そんな風に少し照れ臭くなっている最中、鐘さんが真剣そうに考え込んでいることに気づかなかった────

 

 

「……ねぇ栞子、ここではゲームが出来るんだったわよね?」

 

「えっ……? はい、ここではレトロなゲームを楽しめると、ホームページにも書いてありましたが……ランジュ、一体何を……」

 

 

 俺は、彼女の次の一言に言葉を失った。

 

 

「アナタ───私とゲームで勝負しなさい」

 

「……え?」

 

 

 ────────────────────

 

 

 

「これが昔の日本のゲーム達なのね〜! どれも面白そうだわ!!」

 

「……なあ栞子ちゃん、これは一体どういう状況なんだ?」

 

「えっと……私にもさっぱり……」

 

 

 鐘さんにドヤ顔で宣言されてから、俺はこのレトロなテーマパークへと連れて来られていた。

 

 

 えっ、俺とゲームで勝負をしたい、だよな? なんでまた唐突に……

 

 何の前ぶりもない出来事に、俺は困惑を隠せない。

 

 

 ……てか、そういえば彼女と栞子ちゃんの関係をまだちゃんと訊いてなかったな。

 

 

「なぁ、あの子は三船の友達なのか?」

 

「そうですね、友達であり……前に高咲さんにも話したこともあると思いますが、私の幼馴染です」

 

「えっ……? あっ、そうなのか……」

 

 

 あの子が、俺が前に聞いた栞子ちゃんの幼馴染……

 

 栞子ちゃんの幼馴染だから、きっとお淑やかで落ち着いている子なんだろうなぁと勝手に想像していたが……想像と全然違うな。

 

 

「あの……ごめんなさい! ランジュはたまに人を振り回す節がありまして……」

 

「あぁ……確かに、結構快活で元気そうではあるな」

 

 

 鐘さんは、見た目も割と派手だな。薄桃色の長髪をベースとしながらも、両サイドを特徴的に結んでおり、頭頂部にはアンテナのように髪の毛が立っている。水色をした瞳で、右目には涙ぼくろがある。とても活発な性格で行動力のある、お転婆な子と言えるだろう。

 

 その性格故、今の俺と栞子ちゃんが相手のように、人を振り回してしまうのだろう。もしかすると、以前から栞子ちゃんもそれで振り回されてきたのかもしれないと考えると……栞子ちゃん、相当の苦労人なのかもしれないな。もっと彼女を労ってあげたいものだ。

 

 

 さて……俺はどうしたものか。

 

 

「あの、本当によろしければなんですけど……ランジュに付き合っていただけませんか? こうなると、私じゃどうしようもなくて……」

 

「ふむ……」

 

 

 俺がもしここで立ち去ってしまえば、鐘さんは怒るだろうし、それで困るのも栞子ちゃんだろう。ここは俺が鐘さんに付き合ってあげることで、鐘さん本人も満足するだろうし、栞子ちゃんだって困らないはずだ。

 

 

 ……よし、たこ焼きは一旦後回しにしよう。

 

 

「……分かった。彼女の意図はよく分からないが、少しだけ一緒に楽しもうかな」

 

「っ! ありがとうございます!」

 

 

 栞子ちゃんの表情がパァッと明るくなった。

 

 

 さて、気を取り直して……鐘さんはどこに行ったんだ? 

 

 

「あっ、栞子! これやりたいわ!」

 

「これは……エアホッケーですか。これなら、私にも出来そうです!」

 

 

 おぉ、エアホッケーか。今でもゲーセンでたまに見かけるが、これも昔からあるゲーム機だよな。どうやら、鐘さんはエアホッケーに興味があるみたいだが……

 

 

「じゃあ栞子、アタシとチーム組みましょう! それで、彼を倒すのよ!!」

 

「えっ!?」

 

 

 俺は耳を疑った。

 

 鐘さんと栞子ちゃんがチームを組む……すなわち、その二人と俺一人で対戦するということ、だよな……? 

 

 

「おいおい、二対一か? それは流石に不公平だろう。俺は相手にならんぞ」

 

 

 これには俺も黙っていられず、鐘さんに抗議する。

 

 

「なによぅ……私に文句言うの?」

 

「いや普通に文句ありまくりなんだか!?」

 

 

 当たり前のように言うのはおかしいだろう……思わず全力でツッコんでしまったんだが。

 

 

「ランジュ、私は見てるだけで十分です。だから、お二人で楽しんでください」

 

「えぇ!? ランジュ、栞子と一緒にやりたいのに……」

 

「っ……それは……」

 

 

 おいおい、栞子ちゃんを困らせるんじゃないぞ!? 栞子ちゃんがそう言うんだからそこは納得してくれよ!! 

 

 

 ……しかし、これじゃ収拾がつかない。どうしたものか……? 

 

 

 ……いや待てよ? 案外二対一なら丁度良いかもしれんな。

 

 

「……分かった。二人まとめて、かかってこい」

 

「よく言ったわね! じゃあ、それでいくわよ!」

 

「えっ!? 高咲さん、そんな無理しなくても……」

 

「良いんだ良いんだ、男と女の子の一対一じゃ力の差があるだろう? そう考えたら、二対一が丁度いいんだ。だから気にするなよ?」

 

「でも、ランジュは……」

 

 

 そう、この時俺は大きな勘違いをしていることに気づかなかった。

 

 

 ────────────────────

 

 

「私達の勝ちよ! 圧勝だったわね!」

 

「はぁ、はぁ……そんな強いショットを連発するなんて聞いてないんだが……!」

 

「大丈夫ですか……? すみません、私が何も出来ないばかりに……」

 

「ははっ、良いんだ。俺が二人を甘く見たのが悪いのさ……」

 

 

 結果、俺は五点くらいの点差に離され、あえなく惨敗をしたのであった。

 

 ここで一つ分かったことがある───鐘さんの運動神経は尋常じゃない。もしかすると、うちの同好会の愛ちゃんを超えているかもしれないぞ……! 

 

 栞子ちゃんはほぼ動いてなかったし、俺と鐘さんのタイマンでも勝てなかったったことだよな……ちくしょう、悔しいな……

 

 

「さあ、次のゲームを探すわよ! ……あっ、ねぇ栞子! とても面白そうなゲームがあるわよ!?」

 

「これは……何か生き物がウヨウヨ動いてますね。一体何のゲームでしょうか……?」

 

 

 休む暇もほぼなく鐘さんは続けてテーマパーク内を歩き回り、辿り着いたのは一台の大きな画面のついたゲーム機だった。

 

 あぁ、これは……

 

「パッ◯マンじゃないか……これはまた懐かしいなぁ」

 

 

 俺が中学二年生くらいにこんなゲームをプログラミングして作ったよな……

 

 

「アナタはこのゲームを知ってるの? だったら、アタシにこのゲームがどんなゲームか、教えてちょうだい!」

 

「うむ、良いだろう。この黄色くてパクパクして動いてるのをプレイヤーが操作するんだが、これで制限時間までに生き延びたプレイヤーが勝ちになるというゲームだ。ただ……」

 

「へぇ、そんなに簡単なの? なら、私がこのゲームでアナタにまた勝つわ!!」

 

 

 おっと、まだ説明は終わっていないというのに……もう鐘さんは画面に夢中みたいだ。

 

 ……なら、このまま始めてもいいか。重要なことを話してないけど。

 

 

「あはは、それは全然気にしてない。ただ……果たして、この俺に勝てるかな?」

 

 

 ────────────────────

 

 

哎呀(アイヤ)〜、あと少しで勝てたのに〜!!」

 

「よっしゃ! これで五分五分だな!」

 

 

 結果、鐘さんは敵の存在を認識しておらず、序盤は即ゲームオーバーで負け続けると言う事態になった。話が違うだろうと途中で抗議を受けたが、そっちだって不公平な勝負仕掛けたんだからこれでおあいこだと返しておいた。

 

 ただ、最後らへんは彼女も勝手が分かってきたのか、大分粘られた。まあ、そこは俺の長年のゲーム歴をもって勝つことが出来たが。

 

 

 そんな訳でこれで終わり……と思いきや、すでに鐘さんは次のゲーム機を見つけてまっしぐらだった。

 

 しかもそのゲームは────

 

 

「悔しいわ〜! ……もうこうなれば、今度はこれで勝負よ!!」

 

「ん、どれって……それは───」

 

「……電車のゲーム、ですか!?」

 

 

 そう、俺でさえ全く触れたことのないゲームだったのだ。

 

 筐体には、大きな文字で電車でG◯! と書いており、ブラウン管の画面の下には二つのハンドルがあった。

 

「これなら、アナタもどうやるか知らないでしょう!? なら、私でも勝てるわ!!」

 

「えぇ……」

 

 

 確かに俺もこのゲームはやったことないが……なんか鐘さん、かなりヤケクソになってるだろ。

 

 そう困惑しながらも、鐘さんに急かされるようにゲーム機の前に座り、初めての電車ゲームをプレイすることになった。

 

 

「ん、これもう発車していいのか? てか、発車はどうすれば……って、右手のハンドルを回して……あぁ、なんとか動き出した……」

 

 

 このゲームが、電車の運転をするゲームであることは知っている。ゲーセンでも、少し新しい感じの筐体を見かけたからな。

 

 ただ、どのように操作をするかは全く分からない。やってみた感じ、右のハンドルがブレーキ、左のハンドルがアクセルの役割をしているらしいが……画面に書いてある残り時間というのは何だ? もしかすると、持ち時間のことだろうか? 

 

 

「もう駅近づいてませんか……?」

 

「えっ? ……あっ、本当だ!! ブレーキ!! ……えっ、何で残り時間減っていくんだ!?」

 

 

 色々考えてるうちに駅が近づいていることを、栞子ちゃんに声を掛けられてやっと気づいた。咄嗟にブレーキを勢いよく回すと、荒ぶるようなSEとともに残り時間が減り始めたのだ。ブレーキを緩めると減少は止まったが、一体何だったのだろうか……? 

 

 

 それで、このゲームは駅に電車を停めるんだよな? どこに停めれば……そう思っていると────

 

 

「うわっ、そこに停めるのか!? あっ……かなりオーバーしちまった」

 

 

 線路の横にあった目印らしきものを見つけ、ブレーキをかけるが間に合わず、結果オーバーランになってしまった。

 

「電車の運転ってこんなに難しかったのか……?」

 

「残念だったわね。なら、アタシがお手本を見せてあげるわ!」

 

 

 意気消沈ながらも、鐘さんとプレイヤーを交代する。

 

 

「おいおい、ちゃんとプレイ出来るのか?」

 

「大丈夫よ、無問題ラ!」

 

 

 こんなに自信満々だから、大丈夫なのかな……と、思っていたが───

 

 

「ちょっ、そこ制限速度遅いぞ!? ほら、段々残り時間が減っていくじゃないか!!」

 

「あれ? おかしいわねぇ……速く走れば、点を貰えるんじゃないの?」

 

「な訳ないだろう!?」

 

 

 言っちゃ悪いが、鐘さんの方が俺以上にダメみたいだ。駅を出発してから左のハンドルを緩めることなく、制限速度を超えて残り時間をどんどん減らしていく。このゲームはレーシングゲームじゃないんだぞ……

 

 

「ほら、左のハンドルを元に戻して……!」

 

「あぁ!? なんで助けるのよ! ランジュ達勝負してるのよ!?」

 

「このままだと勝負にならないからだ! せめて駅に停めるところまでは行ってもらうからな!!」

 

 

 つい見るに耐えずに、鐘さんの持つハンドルを横から持って操作をする。このままだとオーバーランどころかゲームオーバーになっちまって勝負にならないからな。

 

 これには少し不満そうな鐘さんだったが、駅になんとか停められた時には嬉しそうだった。

 

 

 ────────────────────

 

 

「では、私はお手洗いに行ってきますね」

 

「栞子、行ってらっしゃい!」

 

「おう、ゆっくり行ってこい」

 

「はい!」

 

 

 栞子が休憩をしたいからって私に言ってきたの。私としては、もうちょっとゲームをしていたいところだけど……まあ、この古そうなベンチで休んで次の対戦に備えることも悪くないわ! 

 

 

 あっ、你好(ニーハオ)! 鐘嵐珠よ! 今日は私の大切な幼馴染、栞子と一緒にお台場のゲームセンターに来たわ! 

 

 ゲームセンターって聞いてたから、画面に集中して遊ぶゲームがいっぱいあるんじゃないかしらと思ってた。でも、意外とそうじゃないゲームも多かったわね! とても楽しいわ! 

 

 

「あぁ〜あともう少しだったのになぁ……ホント、君ゲーム上手いな。全部初めてプレイしたんだろ? それであそこまで俺と戦えるなんて凄いぞ」

 

 

 すると、隣で一緒に休んでいた徹がそう話しかけてきたわ。ふふっ、やっと私を認めてくれたのね? 

 

 

「ふふん、でしょ? アタシに出来ないものはないわ! でも、アナタもなかなかやるじゃない。よくゲームをやるの?」

 

「あぁ、まあな……」

 

 

 あら、徹は少し疲れてるみたいね。まあそうよね。彼、凄く集中してたもの。私が疲れてないのも、私が特別だからだわ。

 

 

 でも、まさか栞子以外とも一緒にゲームをするとは思わなかったわ。徹、栞子ととても仲良さそうな感じだったから、どんな人だか確かめようと彼を誘っちゃったけど……

 

 

「はぁ、こんなに対戦に集中したのは久々だなぁ……にしても、まだ疲れてないなんて凄いな。まだまだ元気有り余ってるって感じだね」

 

「……まあ、そうね。私はいつでも元気よ!」

 

 

 ……やっぱり、彼に訊くべきかしら。でも私、また余計なことを訊いちゃわないかしら……? 

 

 

 ……ううん、こんなのアタシらしくないわ。ちゃんと聞きましょう、栞子のことを─────

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

「……ねぇ、栞子は学校でどんな様子かしら?」

 

「ん? どんな様子、とは?」

 

 

 鐘さんと穏やかに会話をしていると、突然彼女は少し心配そうな表情でそう訊いてきた。質問の意図が読めないが、どういうことだろうか? 

 

 

「私、つい最近まで香港に行ってたのよ。この日本に戻ってきたのも、大分久々。だから……栞子が最近学校でどうしているのか、気になってるのよ」

 

「……なるほどな」

 

 

 

 

 鐘さんは自己紹介の時に、香港から日本にやって来たと言っていた。つまり、つい最近日本に帰ってきてまだ時間が経っていないということだろう。そうなると、鐘さんは普段の学校における栞子ちゃんの様子を知ることが出来ていないということだ。

 

 そうか……無鉄砲で、幼馴染を困らせたりして大丈夫かと思っていたが、割と幼馴染のことを気にかけているんだな。

 

 

「栞子ちゃんか……実は知り合ったのもつい最近で、学年も違うから、あまり詳しく知ってる訳じゃないんだ。でも、俺から見たことを話すと……彼女はとても真面目で、人の事を想って行動できる優しい子だ。あと教養も深いから、タメになるアドバイスをくれて助かるな。俺もそれで助かったことがあったし、感謝してるよ」

 

「そうなのね……流石栞子よ」

 

「ははっ、そうだな。俺もそう思うぞ」

 

 

 少し笑みを見せた鐘さん。

 

 あまり当てになる情報は言うことが出来ていない気がするが、少しでも安心してくれたらいいな。

 

 

「……徹、だったわよね? 徹は、栞子とこれからも仲良くしようと思ってるの?」

 

「……! ……あぁ、勿論だよ。まあ、これは一方的な感情かもしれないけどな」

 

 

 一瞬名前で呼ばれたことに少し動揺しちまったな……これまで名前で呼んでくれなかったが、一体何の心境の変化があったのだろうか。

 

 

「そう……やっぱり、私の見込み通りだったわね」

 

 

「見込み通り……?」

 

 

 今のは、彼女の独り言だろうか? もろに俺の耳に届いてるのだが……

 

 

 見込み通りって、多分俺のことだよな……いや、まさか……!? 

 

 

「……もしかして俺と勝負しようって誘ったのって、俺を見極めるためだったのか!?」

 

「……!? そ、そうよ! 悪かったわね!!」

 

 

 やっぱりそうだったのか……というか、悪気があったんだな。

 

 なるほど……唐突に俺と勝負しようと言い出したのも、栞子ちゃんと関わりがある俺が悪い人間かどうかを確かめるため、か……

 

 

「……ははっ、そういうことだったんだな」

 

「な、なんで笑ってるの……?」

 

「いや、凄く幼馴染想いなんだなってな。俺を試したってことは、三船を変な奴から守りたいと思ったからだろ? とっても三船のこと大事に思ってるんだなって感じたんだ」

 

「そんな……怒ってないの? 私がいきなり徹を誘ったから……」

 

 

 なんだ……少し不器用だが、根は人のために行動できる良い子じゃないか。

 

 

「んー……最初は結構困惑したな。でも、ゲームをしていくうちに気がついたらそれに夢中になっててさ。それも、俺を夢中にさせてくれたランジュちゃんのおかげだ」

 

「……徹って、優しいのね」

 

「いやいや、そんなことないよ。まあでも、一つ言うなら……二対一は卑怯だったってことだな」

 

「も、もう! それを言ったら徹だって、ちゃんとルールの説明しなかったでしょ!?」

 

「いやいや、鐘さんだってちゃんと俺の話聞こうとしなかったのもあるだろ!」

 

「……ははっ」

 

 

 何だか、これだけ気を遣わずに言い合うのは久々かもしれない。こんなにムキになるのも、()()()からほぼ無くなったからな……

 

「? どうしたの?」

 

「いや、何でもないよ。それより、栞子ちゃんが帰ってきたらどうするか? この後も対戦続けるか?」

 

「そうね……あっ、徹がやりたいことをしたいわ! 何かあるかしら? ランジュもそれをやりたいわ!」

 

「んー……あっ、ゲームじゃなくなっちゃうんだが……ここを奥に行くとたこ焼き屋さんがあってな。そこのたこ焼きを食べに行きたいな」

 

「えっ、ここにたこ焼きもあるの!? 是非行ってみたいわ〜!」

 

「おっ、そう言ってくれると嬉しいな。というか、たこ焼きを知ってるんだな。香港でも有名なのか?」

 

「そうね! 香港にもたこ焼き屋さんはあるわ! それでね……!」

 

 

 こうして、栞子ちゃんがお手洗いから戻ってきた後、三人でたこ焼きのフードコートに一緒に行った。とっても美味しかったぜ。

 

 

 

 




今回はここまで!

ランジュちゃんの良さを引き出すような話にしてみましたが、いかがだったでしょうか? 早く本編でも出したいところですね……
本編も近いうちに更新すると思います!
ではまた次回!
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