今回は第6話!
新しいキャラが登場します!
はぁ……
あ、皆さんどうも。高咲徹だ。
今ちょっとため息を吐いてしまったのだが、それには理由がある。
それは、昼休みに校内の見回りをしなきゃいけないが故に、今までずっと大事にしてきた侑と歩夢ちゃんと一緒にいる時間が失われてしまうからだ。
一緒に昼飯を食べる時間はあるのだが、その後のんびりと三人で駄弁り合うという癒しの時間はその仕事によって無くなった……
まあ、校内の見回りは決して義務ではないのだが、今までの生徒会長はそれをするのが普通だったという。だから、それで俺がやらないってなると生徒会長としてのメンツがね……やらざるを得ない。
いやーでも悲しいなぁ……一番最初に見回り行く時に、その事を侑と歩夢ちゃんに伝えたら、侑は「えー!? お兄ちゃん行っちゃうのー!?」と驚き、歩夢ちゃんは少し寂しそうな表情をした。この時俺は胸が張り裂けるような思いだったよ。
まあ流石にこのまま居座る訳にも行かないから、後日に3人で遊ぶ約束をしてきた。これで2人と一緒にいる時間は取り戻される訳だ!
てな感じで現在中庭辺りを見回りしている。まあ、問題事が起きるのも滅多にないし、俺としてはほぼ散歩してる気分なんだがな。これじゃ見回りという名の散歩になっちまうね、ハハッ。
ん? あの子は……
うちの学校の中庭は草が生えており、よくそこで昼飯を食べたりしている人がいることは日常なのだが……
「すぅ……」
今見つけたその子は、そこで寝ているのだ。
俺の記憶によれば……この子はライフデザイン学科2年の、
前からここら辺を通る時、三分の一くらいの確率でそこで寝ているのを見かけたりする。
ほんと、ここ男子いるんだからな……そんな無防備で大丈夫なのかって毎回思う。
まあ、いつもはあまりに気持ちよく寝てるもんだから、声を掛けずにそっとしておくけどね。
「んん……!」
ん? なんか今日はちょっと様子が変だな。
なんか、とても苦しそうな表情だ……
「……! だ、ダメ……!」
すると、手を伸ばして悲痛な寝言を呟いた。
……かなり苦しそうだ。ちょっと起こすか。
「……あの、もしもーし?」
俺はしゃがみ、芝生で眠る彼女の肩を少し揺すって起こそうとする。
「……はっ! て、テストは……!?」
そうすると、彼女は即座に目を開けて、勢い良く起き上がった。
テスト……? もしかして……
「おはよ。どうやら悪い夢を見てたようだな」
「んー? ……あっ! え、えぇと、君は……?」
「俺の名前は高咲徹だ。君は近江彼方さんで合ってるよな?」
「あ、うん! ……でも、初対面なのになぜ彼方ちゃんの名前知ってるの……?」
「あぁ、俺は生徒会長だからな。ここの学園の生徒の名前はある程度覚えてるのさ」
……っていうか、全員覚えてるんだけどな……全員とか言ったら気味悪がられるから言わなかったが。
「生徒会長……? ……あ〜、たしかに、今年の生徒会長が男の子だったのは彼方ちゃんも覚えてるよ〜」
そこ覚えてたのか!? ……まあここは女子の比率が多いし、男が生徒会長になったらそりゃ印象に残るか。
……にしてもこの子、とてもおっとりした感じの子だな。
彼方という名を持つその子は、長くゆるふわな栗色の髪に、紫色の目を持つ、とても穏やかそうな雰囲気を持つ少女だった。
そう印象を持ちながらも、俺は話の本題に入ろうとする。
「そうなのか。まあそれが俺ってわけさ……ところで、なにやらさっき苦しそうな感じだったんだが、何か悪い夢でも見てたのか?」
「なるほどね〜……うん、ちょっと、ね……大した夢じゃないんだけどね」
「そうか? ……なんかテストーとか言ってたし……もしかして、定期テストで悩んでるか?」
「……!」
すると、彼女は目を見開いてから無言で頷いた。
まさか本当に当たるとはな……
実は今、期末試験まであと1週間というところなんだ。俺も今日帰ったらテスト勉強しようと思ってたところだったのさ。まあ、テストは憂鬱だよなぁ……
「そうか……もし良ければ相談、乗るぞ?」
「え!? ……そ、そんな〜、なんか申し訳ないよ〜」
「いいっていいって! それに……あんな苦しそうにしていたら、放っておけないぞ?」
これは生徒会長だからというより、俺個人としてっていうのもある。
「あ、ありがとう……実はね……」
それから彼女は自分の悩みについて語り出した。
「なるほど。理数系の科目が苦手で、このままだと赤点コース、か……」
「そうなんだよ〜……彼方ちゃん特待生で、成績良くないと奨学金貰えなくなっちゃうから〜……」
彼女は目を潤ませ、今にも泣きそうな表情でそう言った。
それだけ悩むことなのだから、奨学金が出なくなってしまうことが彼女にとってとても深刻な問題なのだろうと予想がつく。
しかし……
「……ちょうど良いな」
その科目だったら……いけるな。
「俺は情報処理学科に所属してて、そういう科目は得意なんだよね。だからさ……俺が教えようか?」
「えっ!? ま、まだ会ったばかりなのに、良いの……?」
「うん。それに、人に教えるほど自分の理解は深まるって言うしさ。むしろ教えさせて欲しいくらいだぜ」
「そんなこと言う人、初めて見たよ……でも、ありがとね」
そうすると、彼女は温かい微笑みを見せた。
「おう。じゃあなんなら、昼休みの終わりまで少し時間あるし、今教科書とか持ってるか? 教えるよ」
「あ、それなら、ここにちゃんとあるよ〜じゃあ、よろしくお願いします、生徒会長〜」
「ああ。呼び方なら徹でいいぞ? 同じ学年なんだしな」
「あ、そっか〜じゃあ、私のことは彼方ちゃんって呼んでね〜」
「わかった。じゃあよろしくな、彼方ちゃん」
こうして、少しの時間ではあったが、彼方ちゃんに数学を教えた。
そして、また教える機会を約束したのであった。
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そこから午後の授業、そして生徒会の仕事を終え、今家に帰ってきた。
「ただいま〜」
そう言って家に入り、自分の部屋に移動した。
「ふぅ……よし、少しやるか」
そう言って、教科書や参考書などを机の上に出した。俺も勉強しなきゃな、めんどくさいけど。
すると、自分の部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「はーい」
「お兄ちゃん……ちょっといい?」
「おう、どうした? 侑」
すると、妹の侑が部屋に入ってきた。
……なんか元気なさそうだが。
「うん……あのね、今度期末テストあるじゃん? だからさ……」
「……ん? いいぞ、言ってみ?」
何だろうな……宿題代わりにやってくれーとかだったら流石に断るぞ。
「その……べ、勉強教えてくれない!?」
「……えっ!?」
マジか……!
なぜこんなに俺が驚くのか。それは侑が勉強に関してあまり執着心がなく、今まで定期テストがあっても「勉強を教えて!」と言われることはなかったからだ。
それだったのに……
「……いやー、侑からそんな言葉が出てくるなんてな! お兄ちゃん嬉しいぞ」
そう言って勢いのまま侑の頭を撫でた。
「えへへ……そうかな……?」
すると、侑は少しはにかみながらも、嬉しそうな様子でそう言った。
ふふっ、可愛い妹の成長は嬉しくないはずがないからな。
「そうだぞ? ……よし、早速やろうか! 教科書とか持ってきて」
「はーい……持ってきたよー! じゃあ……よろしくお願いします、徹先生!」
「うむ。しっかり聞くんだぞ、侑くんよ」
こうして、夕飯まで侑の勉強を教えたのであった。
……なんか今日は勉強を教えることが多かった1日だったな。まあ、そんな日があってもいいだろう。
はい!今日はここまで!
今回は彼方ちゃん回にする予定だったのですが、先日高咲侑ちゃんのビジュアル発表から1年と言うことで!少し文字数に余裕もあったので侑ちゃんの話も入れてみました!
ほんと侑ちゃんが侑ちゃんでよかった…
ではまた次回!
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