今回は第23話です!
それでは早速どうぞ!
「あ〜、あんなこと言ったけど具体的に何すればいいんだろ……」
今、俺の妹・侑が悩んでいる。
放課後、同好会のメンバー+果林ちゃんと集まり、せつ菜ちゃんの正体について明らかにされた。果林ちゃんの正論とも言える発言にみんなが沈黙を続ける中、せつ菜ちゃんが戻ってくるよう説得する役として、侑が買って出たのだ。
そこから俺たちは解散し、家に帰ってきたのだが、侑はせつ菜ちゃんを戻ってくるための策を考えて行き詰まっているのか、リビングのソファーに寝転がって悶えている。
「……なあ、侑。ちょっと訊いていいか?」
「あ、うん。何?」
俺は侑に対して少し気になることがあったので、寝転がっている彼女の隣に座って質問をしてみる。
「あの時どうしてあんなことを言ったんだ?」
「えっ……? それってどう言う意味?」
侑は驚いて起き上がって、こちらに向き合った。
しまった。少し言葉が足りなかったか。
「なんかあの時話を切り出した時の侑の顔がさ、少しいつも以上に真剣だったなって思ってな。何かあったのかなーって思って」
俺は自分が感じていたことをそのまま言葉にして、彼女に伝えた。
ほぼずっと一緒にいる俺でさえ、あんな真剣な顔をする侑を見たことがないからね。家に帰ったらすぐに聞こうと思っていたのだ。
「あー……なるほどね〜……」
すると、侑は天井を見上げてしばらく考えると、俺に向き直って口を開いた。
「……あのね、今日昼休みに音楽室に行ったんだけどさ。そこで生徒会長に見つかっちゃったんだよね」
「ほう……ってお前もしかして無断で使ったか?」
「……えっと……あ、あははは……まあそれはいいとして……その時にたまたませつ菜ちゃんの話になったの」
俺の指摘に対して、焦った侑は即座に話を進めた。
いや良くねぇけどさ……まあいいや。菜々ちゃんが注意してくれただろうし。
「それでその時私、『何でスクールアイドル辞めちゃったのかな……』って言っちゃったの。なんかその言葉、今思えば無神経すぎたなって思ってさ……」
うーん……まあ俺も何も事情を知らないファンだったら、そういう風なこと言っちゃうだろうけどな……
「あとね、その時にせつ菜ちゃんがスクールアイドルを辞めた理由も聞いて、『幻滅しましたよね?』って言われたんだ。それも、あれがせつ菜ちゃん本人の言葉だったんだと思うと、なんだか気持ちが抑えられなくて……」
侑はとても悔しそうな表情で言った。
「……なるほどな。分かった」
俺はソファーから立ち上がり、侑へと手を差し伸べた。
「俺もせつ菜ちゃんが気持ちよく同好会に戻ってこれるよう、どう説得するかを考えるよ」
「……! ……うん!!」
侑と菜々ちゃんの二人にそういうエピソードがあったとはな……彼女の本気を見させてもらった気がする。
お兄ちゃんとして、侑が真剣に何かを考えることが見つかったことに感動を受けたよ……だったら、俺も彼女の手伝いをしなきゃいけないな。
それに、主な動機はそれだけじゃない。
俺の居場所の一つだった同好会のメンバー、アニメ・ラノベを愛する同志───優木せつ菜が再びスクールアイドルへ没頭できるように何とかしなければ。
こうして、せつ菜ちゃんを説得する方法、またそれまでどう持ち込むかについて、夜遅くまで話し合った。
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翌日の放課後。
学園の屋上で、侑はそこから見える景色を眺めていた。
このようになる前に、かすみちゃんと歩夢ちゃんが放送委員会に頼んで、中川菜々と優木せつ菜を同時に呼び出す事によって『彼女』がここに来ることを確実にした。
中川菜々であり、優木せつ菜でもある『彼女』だからこそ為せる策だ。
こうして侑は『彼女』がここに来るのを待っている。
ちなみに、俺と同好会の仲間達は屋上にある、『彼女』にバレないような物陰に隠れて見守っている状況だ。
そうしていると、屋上の階段に繋がるドアがガチャっと開く音がした。さて、来てくれたのかどうか……
「……! ……高咲侑さん」
期待通り、『彼女』は来てくれた。今は中川菜々の姿なので、菜々ちゃんと呼ぶべきか。
「あっ、来ましたよ……! 皆さん……!」
「しーっ! バレちゃうよ……!」
しずくちゃんが慌てて声を出してしまい、それをかすみちゃんが制止する。
君たち、かなり危なっかしいなぁ……
「こんにちは、
「あっ……エマさん達に聞いたんですね」
侑が発した
「まあ、そうだね」
「……それで、どういうつもりですか?」
菜々は問いかけた……菜々ちゃん、かなり警戒している感じだな。これに対して侑がどう切り出してくるか……
「……ごめんなさい! 昨日、何でスクールアイドル辞めちゃったのって聞いちゃったから、無神経過ぎたかなって……」
すると、侑は頭を下げて謝った。菜々ちゃんは急に謝られたのに少し驚きながらも、納得したのか調子を戻した。
「はあ……気にしてませんよ。正体を隠してた私が悪いんですから……用がなければ……」
すると、菜々ちゃんは帰ろうとした。
「……! 待って! まだあるよ! ……私は……幻滅なんてしてないよ」
「……!?」
すると、侑が待てと言わんばかりに話を続けた。その中の言葉に対し、菜々ちゃんが驚く。
そして侑は菜々ちゃんの手を握ってこう続けた。
「私、せつ菜ちゃんとして、同好会に戻ってきてほしいんだ」
侑は、彼女に伝えたいことを伝えた。
「……もう……みんな分かってるんでしょ!? 私がいたら同好会が上手くいかないんです!
私がいたら!! ラブライブに出れないんですよ!!!」
菜々ちゃんの心の奥深くにあった感情が爆発した。
「だったら!! ラブライブなんか出なくていい!!!」
「……!?!?」
迷いのない侑の言葉に菜々は驚いた。
「……あっ、いや、ラブライブがどうとかじゃなくて……せつ菜ちゃんが幸せになれないのが嫌なだけ。ラブライブみたいな最高なステージに出なくて良いんだよ……! スクールアイドルがいて、ファンがいる。それでいいかなって! ねっ!
侑は微笑むと、菜々ちゃんからしたらいないはずの人を呼んだ……おい、ちょっと待て!?
「お兄ちゃん……?」
菜々ちゃんは疑問を浮かべた。
どうしよう、俺はここから出るべきか……いや、俺たち隠れているからそれを貫くべきか……?
「徹先輩、何ボーっとしてるんですか! 呼ばれているから行ってきてください!」
「ほら〜、早く早く〜」
「……ちょっ、どわっ!?」
すると、俺の後ろにいたかすみちゃんと彼方ちゃんに押され、物陰から姿を現してしまった。
「うぅ……お前らそんな勢いよく押すなって……」
しゃがんでいるところで押されたので、体を強打して痛みに堪えながらも押された張本人達を見た。
すると、みんなはニヤニヤしたり、苦笑いをしていた。これは俺に『頼む!』という目線だな。仕方ない……
「えっ!? て、徹さん!?」
「え、大丈夫!?」
菜々ちゃんは俺がここにいることに、侑は俺が転げながら現れたことに驚いた。
「……あ、ども。なんか申し訳ないけど、二人のちょっと覗かせてもらってたよ」
俺はすぐに立ち上がって、何も無かったかのようにそう答えた。
「そうでしたか……って、お兄さんってことは……!」
おや、やっと気づいたか。
「あーそうそう、侑は俺の妹なんだ。てか、苗字同じな時点で分かるんじゃないか?」
「……あっ……」
菜々ちゃんは少し恥ずかしそうな表情をした。
さて、話を戻すか……と思うと菜々ちゃんが咳払いをして話を進める。
「……んん……それで、侑さん。どうして、こんな私に……」
「ふふっ、言ったでしょ。大好きだって! こんなに好きにさせたのはせつ菜ちゃんだよ!」
「……! いいんですか……? 私の本当の我儘を……大好きを貫いていいんですか……?」
「もちろんだ。それを俺たちが全力で支えるからな!」
「……!!!
……分かっているんですか?」
「「ん?」」
すると、菜々ちゃんは二人の視線の先に歩き出し、止まってこちらを向いた。
「貴方達は今、想像以上に、凄いことを言ったんですからね!!」
そして、結んでいた髪を解いた。
「「……!!」」
「どうなっても知りませんよ!」
「わぁ……!」
侑がパァっと笑顔になった。
「……これは、始まりの歌です!!」
菜々ちゃん、もといせつ菜ちゃんは、歌い踊り始めた。
屋上の下はいつの間にか多くの虹ヶ咲の学生の観客で溢れた。
それは、菜々ちゃんの決意、そしてせつ菜ちゃんの情熱が感じられる素晴らしい歌だった。
そうだ……それで良いんだ。待っていたぞ、せつ菜ちゃん。
今回はここまで!
いやぁ、アニガサキでこの回が一番好きなんですよね〜
制服のせつ菜ちゃんが可愛くて可愛くてもう…(せつ菜推しの主)
ここは割と力をいれて書いたと思います笑
では、また次回!
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