第31話です!
ではさっそくどうぞ!
「では、まずこれを見ていただけますかぁ〜?」
ミーティングが始まった直後、かすみちゃんが俺らの方を見ながらマウスを操作し、パソコンの画面を見せた。みんなでその画面を見ると、ネットの動画サイトに投稿されたある映像が再生されていた。
「これは……あの時撮ったPVだね!」
その映像を見てピンと来た侑が少し興奮気味にそう言う。
「その通り! あの時侑先輩が撮ってくれた歩夢先輩のPVです!」
「おー……あの時のやつか! どれどれ……お、再生回数結構伸びてるな!」
「「「お〜!!」」」
俺が画面に近づいて覗くと、動画タイトルの下に載っている再生回数が数千回になっていることに気づいた。
それに加えて、動画へのコメントも沢山届いていた。
「歩夢、凄いよ!」
「そうかな……えへへ、ありがとう」
「流石歩夢ちゃんだな! ……そういえば、かすみちゃんの方はどうなってるの?」
「むむっ! 徹先輩、よくぞ聞いてくれました……出でよかすみん!」
俺の問いかけにかすみちゃんが嬉しそうにしながら、画面を切り替えた。
「おっ、これがかすかすのPVだね〜」
「かすみんです!! こちらの動画の再生回数も! 見てください〜!」
「えーっと……おっ、かすみちゃんのも伸びてるな!」
かすみのPVも数千回の再生回数になっており、コメントも沢山来ていた。どっちも伸びてるようで何よりだ。
「やっぱりかすみちゃん、可愛いなぁ……!!」
「ふふっ、流石侑先輩! 分かってますね〜!」
侑が素直な感想を述べると、かすみちゃんは満足そうな表情で胸を張った。
「それで私から提案がありまして……こんな感じで皆さんも、それぞれのPVを撮りませんか!?」
すると、かすみちゃんの隣にいたせつ菜ちゃんがみんなに問いかけた。
彼女の言う通り、実はかすみちゃんと歩夢ちゃん以外はまだPVを撮っていないのだ。
あの時はその場にかすみちゃんが歩夢ちゃんしか居なかったもんな。同好会も復活した上に新たなメンバーも加わったし。この同好会のメンバー全員が世に知られるようになるためには不可欠だ。
「確かに、世間へのアピールにはPVは必須だな!」
「アピールか……ねぇ、私の良いところって何だと思う?」
すると、俺の言葉を聞いた歩夢ちゃんが隣にいた侑にそう問いかけた。
「歩夢の良いところ? そうだね〜……ちょっと笑ったかと思ったら、泣いたり、頬膨らませて怒ったり……表情見てると楽しい感じ?」
「もう! それ全然良いところじゃないよ!」
歩夢ちゃんは頬を大きく膨らませて抗議した。
「あっ! その顔だよその顔!」
「もう、侑ちゃんったら〜!」
侑は完全に茶化してるなこりゃ……このままだと収拾つかなさそうだから止めるか。
「はいはい、歩夢ちゃんで遊ぶのもほどほどにな〜? ……そうだな、みんなの良いところとか、みんなで話し合う場を設けないか?」
「それは名案です! さっそくやってみようと思いますが、いかがでしょうか?」
せつ菜ちゃんの問いに全員が首を縦に振った。
ということで、どんなPVにするかの話し合いが始まったのであった。
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「エマさんはどんなスクールアイドルになりたいですか? PVにしたいとかでも」
せつ菜ちゃんがこの話し合いを仕切っている中、今度はエマちゃんに話を振る。
「あのね、私みんなをポカポカさせられるスクールアイドルになりたいって思うんだ〜」
ほう……確かにエマちゃんらしい。普段からそんな感じだもんな。そしてそれがみんなを和やかにさせて、とても魅力的だ。
「ポカポカさせる、か……確かにエマさんらしいですね! でも実際どうすればできるんだろう……」
確かに侑の言う通り、実際にどうしたら心がポカポカするってなかなか難しい問題だ。そもそも『ポカポカする』という言葉が非常に抽象的なのである。
それから、みんなが思う心がポカポカすることを挙げていったのだが……
枕、演劇、かわいいもの、アニメ、ゲームにぬか漬け……綺麗にバラバラであった。まあ予想はついてたけども、見て分かる通り誰がどれを言ったのかは一目瞭然。いい意味でこの同好会らしさが出たと思う。決まらないのは問題だが……
そんな感じで頭を悩ませていると──
「演劇部だと、衣装を着たりするといいイメージが湧きやすいんですけどね……」
「衣装か……いいね!」
しずくちゃんの呟きに、エマちゃんはピンと来た模様。一体何を思いついたのだろうか?
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「ここが服飾同好会か……すげぇ服の種類だ」
後日、俺たちは服飾同好会にお邪魔していた。
エマちゃんは服飾同好会で色々な服や衣装を着ることで、何かインスピレーションが得られるかもしれないと閃いたようだった。その結果、服飾に通じている果林ちゃんに頼んで、果林ちゃんがこの服飾同好会に掛け合ってくれたようだ。
「許可してくださってありがとうございます!!」
「い、いえ……」
部室の一角では、せつ菜ちゃんが興奮のあまりに服飾同好会の部長さんに迫っているのだが……顔を赤くして満更でもなさそうだ。もしかすると服飾同好会の部長さん、せつ菜ちゃんのファンだったりしてな。
まあそんなことは置いといて……
「果林ちゃん、今日はありがとうな。助かったぜ」
「別に、お礼を言うならエマに言ったら?」
「そりゃもちろん。……もしかして、俺がお礼を言うべき人にお礼を言えない失礼な人だと思った?」
「えっ!? ……そ、そんなことはないわよ!?」
「ハハッ、冗談だって。果林は相変わらず面白いな〜」
「ちょっ、あんたね……!」
ははっ、思わず果林ちゃんをいじってしまったぜ。ホント、彼女はとてもいじりがいが……んん、あまり巫山戯すぎるのもよくないな。
同好会に入ってないにも関わらずこんなにも同好会に手を貸してくれる果林ちゃんにはとても感謝している。これが正直なところだ。
ただ、少しだけ気になってることもある。
彼女が同好会の活動に力を貸してくれるのはエマちゃんのためだと本人は言っていたのだが、俺にはそれだけが理由だとは思えないのだ。単刀直入に言えば、彼女はスクールアイドル自体に興味を持ち始めているからという理由もあるのではないか、ということだ。
彼女は、同好会が再開してからストレッチなどの身体のトレーニングに関わってくれているが、最近になってから彼女の視線がスクールアイドル全体の活動に向いてきていると思っている。この同好会に入りたがっていると言う線も否めない。
正直彼女がこの同好会に入ってきてくれたらとても嬉しいし、彼女みたいなクールで大人びたタイプの子はうちにはいないからな。
まあこんなにペラペラと推論を述べたところで、所詮俺の勘でしかないし、実際彼女がどう思ってるかは分からないから下手に働きかけは出来ないけども。
そう考えながら、エマちゃんは色々な衣装を試着しているのを眺めていた。
メイド服とか、チアガールとか、クマの服とか……すごい似合うな。こりゃもしその場に男が100人いるとしたら、全員落ちるんじゃないかってくらいだ。まあ言ってしまえば、眼福って感じだな。これは目に入れても痛くないやつだ。
まあそれで、侑がクマの服を着たクマ・ヴェルデちゃんをとても気に入ったようで、その衣装のままみんなで写真を撮ることになった。
……あっ、クマ・ヴェルデっていうのは本人が付けたものだ。エマちゃん、なかなかネーミングセンスがあるし、お笑いの素質もあるかもな。
「ねぇ! 果林ちゃんも一緒に撮ろうよ!」
「えっ……わ、私はいいわよ!」
みんながクマ・ヴェルデちゃんの周りに集まる中、果林ちゃんは未だに撮影するカメラの隣にいたので、こっちに来るように声をかけると、彼女はそれを拒絶した。
「……?」
すると、果林ちゃんは携帯を見たあとこちらに向き直りこう言った。
「先行ってるわね」
そして、彼女はその場を去った。
「……」
果林ちゃんの行動に困惑の顔を浮かべるエマちゃん。
なんだろう。今日もさっきから感じていたが、果林ちゃんの態度が素っ気ない気がする。
……少し気になるな。エマちゃんの表情を見る限り何か知ってそうだし、ちょっと後で聞いてみるか。
この後みんなと解散してエマちゃんと会おうと思って探したが、彼女はすぐに帰ってしまったようで、見つけられなかった。
今回はここまで!
この回でついに原作第5話の本題に触れてきました!
エマちゃんと果林ちゃんの間には何が……?
そういえば、虹ヶ咲3rdライブが無事に終わりましたね!
そしてアニガサキ2期も制作発表!!!
2022年に放送ということで、割と先ですね。
内容がとても気になる…!
ではまた次回!
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