第32話です!
ではどうぞ!
「さて! 撮るよー! エマさーん! こっち向いてー!」
日を改めて、今日はPVの撮影日のため、俺たちは学校の中庭に来ている。
昨日服飾同好会にお邪魔させてもらってから、PVの方向性が定まったので、早速今日撮影といった感じである。
ただ、俺はそれ以上に果林ちゃんとエマちゃんのことが気になって仕方がない。
今日のお昼休みにエマちゃんの元へ行こうかと思ったのだが、彼女が所属している国際交流学科の棟には行ったことがない。その上、その他の学科に比べてかなり雰囲気が違うためなかなか行きづらいのだ。
結局今日の同好会の活動で会うのだから、その時に聞くことにした。
……のだが……
「……」
何だかエマちゃんの様子が変なのである。ちゃんとPVの撮影を見守っていて、みんなからの声掛けには笑顔で応えているのだが、ふとした時に神妙な面持ちをしているのだ。出来るだけ悟られないように笑顔を取り繕っているのだろうか。
それに俺は心の中で動揺してしまい、撮影が始まる前に訊くことが出来なかった。
……服飾同好会にいた時は、果林ちゃんを誘った時に見せた表情を除いて、非常に楽しそうな、いつもの穏やかなエマちゃんだったのだが……
となると、俺たちが解散した後に何かあったのだろうか。
……それに、もう一つ不自然なことがある。
それは、果林ちゃんがこの場にいないことだ。
いつもの果林ちゃんならエマちゃんのために見に来てくれるはずなのだが……
まあ、用事があるから来れなかったのかもしれないという可能性も否めない。
だが、今まで俺が気になってきたこととこの出来事は何か関係があるのではないかと思える。
……まあ、今は撮影に集中しなきゃな。考え始めたら切りがない。俺は撮る側じゃないけど、しっかり見守らなきゃ。
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「はぁ……」
エマのPV撮影が終了し、彼女は同好会の部室で衣装から制服への着替えを済ませていた。
彼女は深い溜息を吐いた。
エマは、なぜ果林が同好会に入ること、スクールアイドルになることを頑なに拒むのかを考えていた。
(果林ちゃんにとって、私が同好会に誘ったことは迷惑だったのかな……)
コンコン
「エマちゃーん、徹だけど、少し入っていいかな? もしかしてまだ着替え途中?」
「えっ? あ、うん! もう着替え終わったから、入っていいよー」
そうすると、部室のドアが開き、徹が入ってきた。
「おっす、今日はお疲れ様。はいこれ、しっかり水分補給しといてな」
徹は、差し入れにペットボトルのスポーツドリンクを買ってきた。
「お疲れ様〜。これいいの? でも何だか申し訳ないよ〜……」
「いいっていいって。それに今エマちゃんがこれ貰ってくれないと俺ペットボトル500ml2本分飲んで水分取り過ぎになっちゃうからさ〜。ここは貰ってくれ」
「……ふふっ、じゃあありがたく受け取るね」
エマちゃんは、少し微笑みながら徹の差し入れを受け取った。
「それで徹くん、ここに来たってことは何か用事?」
「うん、ちょっとエマちゃんのことで気になったことがあってね」
「私……? 何か変なことがあった……?」
「んー……ここは単刀直入に言おうか。……果林ちゃんと何かあったか?」
「……!? ……ど、どうして……?」
「昨日から気になってたんだ。果林ちゃんがなんかそっけないし、なんかみんなで写真撮る時も、エマちゃんが果林ちゃんに誘いを断られた時の表情とか、気になってたんだ。それで今日、現にエマちゃん元気ないなーって思ったから」
「そ、そうなんだ……」
「うん。……それでさ、出来ればで良いんだけど……何で悩んでいるか教えてほしいんだ。俺も何か力になれるかもしれないし、俺が悩んでる時に支えてくれたエマちゃんみたいに、今度は俺がエマちゃんの力になりたいんだ」
「……! ……ホントに徹くんは優しすぎるよ……
……あのね……」
それからエマは、悩みを話し始めた。
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「……なるほどな。うーむ、果林ちゃんがそこまで頑なに断る理由ね……」
「うん……それに果林ちゃん、本当はスクールアイドルが嫌いなんじゃないかって思っちゃって……」
「……いや、それはほぼないと思う。練習中とかミーティングの時に果林ちゃんを見てみたらさ、興味津々に活動を見てたから」
「そうだよね……果林ちゃんこれを持ってたから……」
そう言って彼女が取り出したのは、スクールアイドル専門雑誌だ。
「ほう、果林ちゃんがそれを……なら、その線は完全に消えるな」
「うん……でも、それだともっと分からないんだよ〜……」
「頑なに断るんだもんな……うーむ、まあ新しいこと始めるは、誰だって悩むだろうし、色々渋ったりするからね……ただちゃんと知りたいなら、やっぱり直接本人に訊くのが良いだろうな」
「なるほどね〜……でも私、果林ちゃんにどうしたら……」
「あっ、エマさん! もう着替え終わってたんだね!」
すると、誰かがやってきた。
「お、侑と歩夢か」
「あれ? 何で徹さんがここに……?」
歩夢が疑問を浮かべた。
「あぁ、少しここに用があってさ。そしたらエマちゃんと話し込んじゃったのさ。な? エマちゃん」
「あはは、そうなんだよね〜……」
「なるほどね〜……それで、エマさん大丈夫ですか?」
「えっ? 大丈夫って何が?」
「何かエマさん、あまり元気なさそうなので、心配してたんです……」
侑と歩夢もエマの様子を心配していたようだ。
「……うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとね〜」
「そうですか……
……あっ! それスクールアイドル雑誌の最新ナンバー! 読んでもいいですか?」
侑の視線が先程エマが徹に見せたスクールアイドル雑誌に行った。
「いいよ〜」
そうエマが言うと、侑は雑誌を取り出して、開いて読み始めた。
すると、ヒラッと一枚の紙が落ちた。どうやら雑誌に挟んであったようだ。
それに気づいたエマは、紙を拾い、中身を見る。
「……! ……これは……!!」
「ん? どうした……
……お……!」
エマは何かを見つけ、思わず声を上げた。そばにいた徹もそれを覗き込み、興味深いものを見たような反応をした。
「……ちょっと3人とも、行ってくる!!」
「えっ!? ちょっと、エマさん!?」
すると、エマが急に走り出し、部室の外へ出て行った。
「徹さん! エマさんを追いかけなきゃ!」
歩夢が焦った顔でそう言うが……
「……いや、追いかけなくて大丈夫だ」
「「えっ!?」」
「あのエマちゃんの逞しい顔見ただろ? なら大丈夫だって」
徹はそう言って、侑と歩夢を安心させる。
(エマちゃん……果林ちゃんの本当の気持ち、聞いて来いよ……)
……そう、あの紙は果林が書いたアンケート用紙で、『興味があるものは?』という欄には、『スクールアイドル』と書かれていた。
この後、果林はエマの励ましにより、同好会に入部することになった。
その時、果林がエマのパフォーマンスを撮っていたので、それをPVに入れることにした。
それは、優しさ、大らかさが感じられる、とてもエマらしさが溢れるパフォーマンスであった……
今回はここまで!
エマちゃんに癒されるのも良いですが、たまには自分からエマちゃんに力になりたいなって思うんですよね…
そんな私こと主の欲望が体現された話かなと思います!
さて、アニガサキ第5話の内容が終わったということで、またオリジナル回を挟むかもしれませんのでよろしくお願いします!
ではまた次回!
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